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おすすめ本

「春の雨にぬれても」

リサ・クレイパス「春の雨にぬれても」原書房

リサ・クレイパスの安心して読めるロマンス小説。
「壁の花」シリーズの最終巻。そういえば、読んでなかった‥!と思い出して(笑)

ロンドンの社交界で、パーティには出られるものの、それぞれ違う理由でろくに誘われずに壁の花となっていた4人が友達に。
3人まではめでたく結婚しましたが‥
アメリカから来た富豪の娘、ボウマン姉妹の妹のほうのデイジーが2年たっても、そのまま。
業を煮やした父親は、自分が決めた相手と結婚するように通告します。

デイジーは本当は綺麗なんだけど小柄すぎて目立たず、本好きで夢見がち。見た目も中身も少女のようなんですね。
姉のリリアンはウェストクリフ伯爵に嫁いでいるので、伯爵が適当な独身男性を数人招き、その中から相手を見つけようというシーズンが始まります。

父が決めた相手は父の会社でバリバリ働いているマシュー・スウィフト。
姉妹の印象にあったマシューは、数年前にはがりがりに痩せていて不恰好で傲慢な態度の若者でしたが、再会したらすっかり大人っぽく変貌していたのです。
じつはマシューのほうは元々デイジーが好き。
ただ、マシューにはある事情が‥
幼いデイジーの成長、意外にもマシューを好きになってしまったデイジーの思いがけない行動とは?
お茶目でユーモラスな展開。

気の強いリリアンがじつは妹離れできない様子、幸福になっているアナベルとエヴィーの今など、いろいろな要素も。
やっぱりウェストクリフはなかなか、いいなあ(笑)

「冬空に舞う堕天使と」

リサ・クレイパス「冬空に舞う堕天使と」原書房

ヒストリカル・ロマンスの佳品。
壁の花シリーズの3作目、エヴィー編です。

19世紀、イギリス。
前作で親友ウェストクリフの婚約者を奪おうとして失敗したセントヴィンセント卿セバスチャンのもとへ、意外な人物が。
赤毛のエヴィー・ジェナーは綺麗なのだが内気すぎて、上がると吃音も出るため、パーティーでも黙ったまま。
家は裕福なのですが、父は賭博場ジェナーズを経営している成り上がり。
その父が病の床に伏していて、エヴィーを育てた親戚は財産目当てに従兄と結婚させようと迫っていたのです。
思い余ったエヴィーが、セバスチャンに結婚を申し込みにきたのでした。

セバスチャンは、シリーズ中でも一番の美形で爵位もありますが、財産を使い果たしかけている放蕩者。
前作では悪役だったのに、意外に良いやつなのね~(笑)
セバスチャンはエヴィーの条件に応じるのでした。
スコットランドのグレトナグリーンまで行けば、簡単に結婚できるのです。
追っ手を逃れて雪の中を48時間馬車を走らせ続けるとは、かなり過酷でびっくり。
当時の風習が書き込まれていて、興味深かったです。

これまでは目立たなかった二人のキャラクターの特異性が余すところなく描かれて、面白い展開。
エヴィーは親戚にかなり虐待されていて、そのことにしだいに気づいたセバスチャンの怒りも頼もしい。
華やかな女性と次々に関係していたセバスチャンのことを心配するエヴィーに友人が「それは彼の日常。あなたは彼の理想なのよ」というのが面白い着眼。
エヴィーの優しさとしとやかさが、琴線に触れたのですね。
そして、社交界を泳ぎ渡るしか知らなかった男に、意外な仕事のやりがいも、というハッピーエンド♪

「壁の花の聖夜」

リサ・クレイパス「壁の花の聖夜」ライムブックス

リサ・クレイパスの安心して読めるヒストリカル・ロマンス。

19世紀、ロンドン。
社交界で、パーティーに出席はするものの、結婚相手としては敬遠されてダンスに誘われない4人の淑女が仲良くなって、自ら「壁の花」と名乗って協力し合いました。
その4人の物語が終わった後、もう一人のヒロインが登場。

アメリカ人姉妹リリアンとデイジーは、壁の花のメンバー。
二人の兄のレイフが、英国にやってくることになったのです。
大富豪の父が、英国上流社会の地位を求めて、貴族令嬢ナタリーとの縁談を進めていたのでした。
リリアンは、令嬢のいとこでコンパニオンを務めているハンナを招き、情報を得ようとします。

お茶会に現れたハンナは、放蕩者と評判のレイフを警戒し、レイフは堅物のハンナを挑発する結果に。
完璧な美貌のナタリーと、レイフは礼儀正しく付き合うのでしたが‥
ナタリーの相談役のハンナ。
しだいにレイフに惹かれていくハンナは苦しむことになりますが、元・壁の花たちの応援が待っていました。
心温まるクリスマス・ラブストーリー☆

「恋の香りは秋風にのって」

リサ・クレイパス「恋の香りは秋風にのって」原書房

壁の花シリーズの2作目。

19世紀半ばの英国。
パーティーで誰にも相手にされず、壁の花になっていた4人の娘達が協力して結婚相手を見つけようとするロマンスもの。
1作目では、最年長のアメリアが結婚、もうラブラブの新婚さんです。

2番目に年長なのは、アメリカの大富豪ボウマン家の長女リリアン。
背が高く、猫のような大きな目の頑固なおてんば娘で、実に生き生きとしています。
父親が成金で、イギリス式の礼儀作法には疎く、無作法に見られていました。

ウェストクリフ伯爵邸での数週間に及ぶパーティに、ボウマン一家は招待され、リリアンは両親と妹とともに滞在しています。
ウェストクリフ伯爵マーカスは堅物で、厳格な父親に性格がゆがむほどの教育を受けて育った男。父は既にないが、母親もかなりの難物。
妹二人がアメリカ人と既に結婚しているため、血統を守るためにもイギリスの名家の娘と結婚する必要がありました。

傲慢で堅苦しいマーカスと、のびのびして気の強いリリアンは互いに気に障り、天敵のように思っていましたが‥
香りに強い感覚があるリリアンは、男性の心を惹きつけるという香水を手に入れ、パーティでつけたところ、マーカスの思いがけない反応を呼び覚まします。
ではと4人組で香水をつけてみたけれど、他の男性には反応が起きない?

マーカスとは学校以来の長年の友人であるセントヴィンセント子爵セバスチャンは、美貌だが評判はあまりよくない男。
リリアンに近づき‥?

コメディ的な要素も多く、楽しく読めました。
あまりにも気が合わなそうな伯爵の母親に、イギリス上流社会の礼儀作法を教わる姉妹の反応など、傑作。
情景が思い浮かぶような、生き生きした描写。
反発していた二人がどう近づき変化するかが、なんといっても面白いですよ。
エピローグの意外さもgood!
[前に読んだんですが、季節はずれなので、9月までアップを延ばしておりました]

「ひそやかな初夏の夜の」

リサ・クレイパスひそやかな初夏の夜のライムブックス原書房

壁の花シリーズ1作目。
後の作品を読んでいて、気になるので第一作にさかのぼりました。

19世紀半ばのロンドン。
社交界に出てはいるものの、結婚相手してとしては難があるため、ダンスパーティーでは壁の花になってしまう4人の若い女性がいました。
アナベルは、貴族で美人だけど、家が窮乏しています。
赤毛のエヴィーは、裕福だが家柄は普通で、極端に内気すぎる。
リリアンとデイジーのアメリカ人姉妹は富豪だけどもちろん貴族ではなく、英国上流社会のしきたりも知らない。
4人はふとしたことから仲良くなり、互いの夫探しに協力することになります。
ロマンス物のお約束の展開は、もちろんありますが~
4人の個性がかなりはっきりしているのと、19世紀半ばの事情をリアルに取り入れている長めの作品なので、苦味も含めた味わいで、波乱の多い内容になっています。

一番年上で24歳のアナベル・ペイトンが年齢的にも最後のチャンスなので、まずアナベルの結婚を実らせようという話に。
ウェストクリフ伯爵邸での3週間にわたる狩猟パーティーに加わり、独身のケンダル卿に近づいて、シーズンの最後には強引に結婚話まで持っていこうと4人で計画します。
一番美人のアナベルですが、父の死後に家計は窮迫していて、弟を学校に行かせ続けられるかも不安な状況。母は好きでもないある男性から援助を受けているらしいのがアナベルの心を重くしていました。

そんなとき、サイモン・ハントと再会。
肉屋の長男ですが、先見の明があり、今は実業家として一本立ちしています。
2年前にふとした出会いで、アナベルはキスされたことがありました。
サイモンはアナベルがとっくに結婚したと思い込んでいましたが、その後もずっと想っていた様子。

名家の出のアナベルは、貴族と結婚する以外考えられない。
当時の貴族女性としてそれは普通の価値観なのですが、産業革命で工場主などが成功し、新興の富豪が増え始めた変化の時代でもありました。
アメリカ育ちのリリアン達の明るさに触れ、重いスカートを脱いで人目のない野原で走り回ってゲームをしたりと、アナベルの生活も変わってくる。
気位の高かったアナベルが、いつしかサイモンを愛するように‥

結婚のいきさつもややこしいけど、結婚した後にも波乱が‥!
なかなか迫力のある展開です。
結婚しようとあれこれ悩むのはジェイン・オースティンの小説と似ていますが、ジェイン・オースティンだと基本的に狭い世界の、中の上ぐらいの階級の話。
半世紀ほど下った分の時代色が出ていて、「風とともに去りぬ」ほどドラマチックではないけど、オースティンにちょっとプラス?みたいな要素もあり~なかなか面白かったです。

「夜色の愛につつまれて」

リサ・クレイパス「夜色の愛につつまれて」原書房

ザ・ハサウェイズの一作目。(2作目を先に読みました)
19世紀初頭のイギリスが舞台のヒストリカル・ロマンスです。

ハサウェイ家の長女アメリアは、何日も帰宅しない兄のレオを探しに、慣れないロンドンの歓楽街へ。
賭博クラブの支配人キャム・ローハンに、出会います。
兄レオは恋人をなくして自暴自棄になり、みなに心配をかけていました。

両親はすでになく、資産もないハサウェイ家。
長女のアメリアは妹3人を守り育てるために気を張っていて、自分は結婚もしないつもりでいました。
遠縁から継いだラムゼイ子爵の所領に移りますが、城は荒れ果てて廃屋同然。
身体の弱い次女ウィンは、咳が止まらなくなって寝込んでしまう状態に。
隣家のウェストクリフ伯爵夫妻が、親切にしてくれます。

黒髪で色白で地味な服装の、見るからに健全なアメリアに、キャムは一目ぼれ?
キャムはロマ(いわゆるジプシー)との混血で、エキゾチックな外見。当初はとても縁がなさそうな二人なのですが。
再会した二人の恋愛模様は‥?
まだ子供っぽい下の妹二人は、ちょこちょこ引っ掻き回しながら、アメリアが堅物すぎると、恋愛をけしかけます。

楽しく読めるロマンスです。
ウェストクリフ伯爵夫妻らが前のシリーズで描かれているらしいので、そちらもいずれ読むつもり。

「夜明けの色を紡いで」

リサ・クレイパス「夜明けの色を紡いで」原書房

人気のヒストリカル・ロマンス。
ハサウェイ家シリーズ2作目。1作目より先に読みました。

19世紀半ばのイギリス。
ハサウェイ家は、長男のレオと妹たちの、自由な雰囲気の一家。
長女のアメリアが、アイルランド人とロマ(ジプシー)との混血のキャム・ローハンと前作で結婚したらしい。
レオは恋人を失って荒れているのですが…

ロマの少年ケヴは、伯父に闘士として仕込まれ、苛酷な扱いを受けて育ちました。
部族が襲われたときに重傷を負ったまま捨て置かれ、ハサウェイ家当主に救われたのです。
そのまま家族同様に育ちますが、ケヴ自らいつも一歩引いていました。
ハサウェイ家の次女ウィン(ウィニフレッド)は、淡い金髪でほっそりした優しい少女。
ケヴと惹かれ合いますが、ケヴは自分のような人間がウィンを愛してはいけないと固く自戒していたのです。

ウィンが猩紅熱にかかり、命は取り留めたもののすっかり衰弱して、フランスの療養所に行くことになります。
ケヴはその間、レオが相続した領地の再建に打ち込んでいました。
3年後、ウィンが帰って来ます。
人を寄せ付けないケヴの顔は一瞬輝きますが、ウィンに対して過保護にふるまいます。
時々思わず抱きしめちゃったりしつつも~かたくなに愛を拒むのであった。うふふ。

妹たちも、社交界のパーティに出る年頃。
ウィンは、世話になった療養所の医師に求婚されます。
ケヴとのスキャンダルを救うため、求婚を受け入れることに…?!

なんといっても~ケヴの愛ゆえの苦しみと激情が読み応えあります。
これはつまり、ヒースクリフとハッピーエンド!みたいな話ですよね。
ウィンは他の男性との結婚に心を動かしたりはしないのですが、ケヴには愛されていないと思い込んで絶望したときに、そういう話は出るのです。
たおやかな美しさを持つウィンが、優しいだけでないしっかりした所も見せるように。
ロマが二人もいるのもちょっと不思議だったけど、これも運命の巡り合わせだった?!
四姉妹の性格の違いや、長男と長女の婿、ケヴという3人の男の性格が絡み合って、なかなか面白いです。
次の恋愛は誰かな?

「想いあふれて」

リサ・クレイパス「想いあふれて」原書房

好評のヒストリカル・ロマンスを読んでみました。
ボウ・ストリート三部作の1作目。

19世紀半ばのロンドン。
「ボウ・ストリートの捕り手」のグラント・モーガンは、真冬のテムズ川に女性の死体が上がったとの通報を受けて、現場に。
女性は息を吹き返し、しかもグラントの知った顔でした。
高級娼婦のヴィヴィアン・ローズ・デュバルで、ロンドン一の美貌といわれていたのです。

また襲われるかも知れないというのを口実に自宅へ連れ帰り、手厚く看護することに。
高慢なヴィヴィンアンには、かっての出会いで不名誉な噂を流されたため、グラントは仕返しの機会があるかも知れないと考えたのです。
ところが、ヴィヴィアンは記憶を失っていました。
人が変わったように素直で、思いやりがあり、自分が娼婦だったと知って深いショックを受けた様子。

からかっているのかと疑いつつ、そんなヴィヴィンアンにどうしようもなく惹かれていくグラント。
ヴィヴィアンの書いた手帖を頼りに、付き合った男性に面会していきます。
最初はヴィヴィアンを守るために、噂通り死んだものと思わせておきますが。
犯人をあぶり出すため、一緒に大きなパーティに出ることに…!?

当時の警察官は、治安判事が雇っているもので、身分は不安定。
ボウ・ストリートに治安判事の公邸があったので、ボウ・ストリート・ランナーズと呼ばれていたそう。
青い上着に赤いベストと紺のズボンというのが制服だけど、大男のグラントには似合わないので、着ていない。
他の警官も出来る人はすごくお洒落な格好をしていたり、この時代ならではです。
グラントは大事件で名をあげて評判になり、社交界でも今はとても人気のある存在というのが面白いですね。

描写は細やかで流れが良く、詳しい割に読みやすいです。
惹かれ合いながら~なかなか認めない二人の様子は、ロマンスのお約束☆

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