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おすすめ本

「アーサー王の墓所の夢」

アリアナ・フランクリン「アーサー王の墓所の夢」創元推理文庫

12世紀の女医アデリアの活躍を描く歴史ミステリ。
3冊目。
いよいよ面白いです。

前作から4年。
アデリアは幼い娘のアリーとその子守となったギルサ、子供の頃からの用心棒でサラセン人のマンスールと共に、村に落ち着いていました。
ところが医療で人気を得たのをねたまれ、宗教裁判所に狙われたと知って、急ぎ移転することに。
その途中、友人エマが、幼い息子と一緒に、亡き夫から受け継いだ領地へ向かうのに一緒になります。イタリア生まれで、当時のヨーロッパでは最先端の教育を受けた検視医アデリア。

アデリアの目から見ると、女性の医者など魔女として焼き殺されかねないイングランドは野蛮な地。
ヘンリー王は領土を拡大して法制も改革した英明な王だが、難題も抱えています。
折りしも、グラストンベリーの大修道院は、大火でほとんど町ごと消滅していました。
アデリアはヘンリー王の要請で、大修道院墓地で発掘された骨を鑑定することに。
あのアーサー王と妃グウィネヴィアの骨かもしれないという‥
眠れるアーサー王がいつか甦るという伝説は、ウェールズで起きるヘンリーへの反乱の旗印ともなっていたのです。

難しい鑑定に直面するアデリア。
しかも友人エマは行方不明になり、さらに修道院では事件が起きます。
当時の事情がありありとわかるように書き込まれ、村人も個性ゆたかです。
そこへ司教ロウリーが乗り込んできて、アデリアと再会。
妻帯できない司教に任命されてしまったため、別れた二人でしたが、本音は‥
活発で理性的だが内心は揺れ動くアデリアが、いきいきしていて、いいですね。
スリリングな展開。

CWA賞(英国犯罪小説作家賞)の最優秀歴史ミステリ賞を受賞した魅惑的なシリーズ。
次の4冊目も楽しみ!そこで完結してしまうのが残念。

「ロザムンドの死の迷宮」

アリアナ・フランクリン「ロザムンドの死の迷宮」創元推理文庫

中世イギリス・ミステリの2冊目。
アデリアは、女ながらシチリアの大学を出た医者。
事件の調査のために、シチリア王からイギリスに派遣されました。
当時のイギリスでは女医など考えられず、魔女扱いされる危険が大きいため、サラセン人の召使いの男性を医者として、自分は通訳兼看護師としてふるまっています。

シチリア帰国をイギリス国王ヘンリーに許されず、一作目に出来た恋人との間の愛娘アリーを一人で育てているのでした。
頼りになる乳母はいるけどね。
アリーの父は、ロウリー司教。結婚はアデリアが断ったのだが、それを受け入れて去っていったことを怒っている女心。

今回の事件は、国王ヘンリー2世の愛妾ロザムンドの毒殺事件。
王妃エレアノールは王に幽閉されていたが、脱走。疑われるが、雲隠れしたまま。
ヘンリーとエレアノールは何人も子をなした仲なのですが、しだいに険悪に。王妃幽閉の理由は、下々には、はっきりしていませんでした。
仲違いの理由は~度重なる浮気のうえに、麗しのロザムンドと歌われた愛妾のせい?
しかし、ロザムンドの暮らす塔の庭を迷宮にしたというのは…ヘンリーは何を考えていたのやら。
…ロザムンドが太っていたというのは…事実??

子供達は皆、けっきょく母親の味方というのは、ヘンリーに問題もありそうですね。父である前に王だったのでしょうか?
このとき王が激昂すれば、国を二分する戦乱が起きそうな事態に。
ロウリーからの呼び出しに、複雑な心境のアデリアなのです。

傑物の王妃エレアノールが登場。華やかで楽しめます。
質素な暮らしをするアデリアからすれば、他国の王妃には違和感もあるのだが、次第に特異さも認めるようになります。
作者はヘンリーの大ファンのよう。
急逝が惜しまれます。
まだ続きが2冊あるのは、翻訳して貰えそう?!

「エルサレムから来た悪魔」

アリアナ・フランクリン「エルサレムから来た悪魔」創元推理文庫

楽しみな歴史ミステリのシリーズが始まりました!
12世紀のイングランドを舞台に、検死のできる女性医師アデリアを主人公とした歴史もの。
CWAの歴史部門であるエリス・ピーターズ賞の受賞作です。

ケンブリッジで起きた、子供を狙った連続殺人。
磔のような姿だったために犯人はユダヤ人とされて、暴動が起きます。
当時、ユダヤ人が復活祭にキリスト教徒の子供を殺す?!という噂があったのだとか。
ユダヤ人すべてをケンブリッジ城内に匿ったまま1年、犯人はわからず…
シチリア王国に、事件の調査が依頼されます。

派遣されたのは、ナポリのシモンで通る調査官と、検死を専門とする女医のアデリアと、その従者のサラセン人マンスール。
三人は薬売りとして旅をし、アデリアは娼婦と誤解されたりする羽目に。
国際都市サレルノでは尊敬を受けていた若いアデリアは、仕事に身を捧げた飾り気のない女性。
サラセン人の従者を医者に仕立てて、通訳兼調剤助手として同行することに。居心地の悪さを感じつつ、腕を発揮していきます。
調査官のシモンは穏やかな人柄で、最初は女性の派遣に驚愕しつつもアデリアを認めるのでした。
バーンウェル修道院長のジェフリーも、治療を受けてから、アデリアを信頼するようになります。

マチルダ女王の時代18年間続いた内乱も治まり、その息子ヘンリー2世の元で、国が平和になりつつある時代。
容疑者を水に落として溺れなければ無罪、という審判法はなくなったとか!
つまり、ちょうど~修道士カドフェルのすぐ後に続く時代なのですね。
とはいえ、女性の医者など異端として殺されかねないという野蛮さ。

愛想はいいが謎のある王の税官吏ロウリー・ピコウ卿。
彼に不審を感じたアデリアですが、しだいに惹かれていき…?
十字軍で数年間、村を離れていた男たち数百人が、戻ってきている時期でもありました。
ヘンリー王もさっそうと登場します。
ヘンリー2世というと王妃はアリエノールですからね。次回登場?!

シチリア王国のサレルノには、1050年から医科大学があったのだそうです。
そこでは女性も学び、資格を取ることが出来た!
ちょっと修道女フィデルマのよう?

修道院長の紹介で、沼沢地の出身で料理のうまい老女ギルサに世話をして貰い、その孫で、みすぼらしいがじつは利発な少年ユルフとも、次第に仲良くなります。
このコンビがいいですねえ!
シリーズ化されるのが楽しみ。

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