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おすすめ本

「アクシデンタル・ツーリスト」

アン・タイラー「アクシデンタル・ツーリスト」早川書房

アン・タイラーで一番オススメできると思います。
映画化されているのも、わかりますね。
映画タイトルは「偶然の旅行者」

一人息子を亡くして1年、メイコンとサラのリアリー夫婦の仲は冷え切っていました。
妻サラが出て行き、結婚20年でついに別居となります。
「アクシデンタル・ツーリスト」という旅行案内を書くのが、メイコンの仕事。観光ではなく用事で急に旅行することになった人~主にサラリーマン向けの本なのです。
几帳面で堅苦しく、感情を表に表さないメイコン。
厳格な祖父母に育てられたことが直接の原因なのでしょう。
父を亡くした後、気まぐれな母に翻弄されたことや、4人も兄弟がいたので、自分たちだけで結束したことも一因?
一人暮らしを楽しもうと工夫しますが…

ボルティモアの旧市街の住宅地にある大きな家。
一緒にいるのは猫のヘレンと犬のエドワード(ウェルシュ・コーギー)だけ。
メイコンにとっては、妻のサラはただ一人の女性でした。

骨折したことをきっかけに、実家に戻ることに。
リアリー家の古い建物には、既に離婚して戻ってきた兄二人と、結婚も就職もしないままの妹ローズがいました。
世話焼きのローズは有能なのですが、オールドミスしか着ないような服装。
猫はいいけれど犬のエドワードは環境の変化に混乱してますます手に負えなくなり、来客には吠え、家を出ようとする家族にまで襲いかかる始末。撃ち殺せとまで言われるが、それだけはメイコンも首を縦に振らない。
キャンプ地で強盗に出くわして殺されてしまった12歳の息子イーサンの犬だったのです。

ある日、犬猫病院で、ミュリエルという25歳の女性に出会います。
派手な服装でメイコンには若すぎる彼女に何かと接近され、かわそうとするのですが、いつしか…

メイコンの担当編集者でもある出版社のジュリアンが来訪。
古風で独特な暮らしぶりに興味津々となります。
陽気でお気楽なバツイチ独身のジュリアンの好奇心を煩わしく思うメイコンですが、なんとジュリアンが二つだけ年上のローズと恋に落ちます。

ユニークな一家の堅苦しくも不器用なのが何ともおかしみがあります。
メイコンは最初は本当に冷淡なのかとも思えるのですが、次第に味が出てきます。
若いミュリエルの強烈なキャラクター。
少々とっぴで品はないけど、不屈の精神がいいですね。若くしてできちゃった婚で、未熟児で生まれた息子を一人で育て、アレルギーのある息子に対してはいささか過保護。
ミュリエルの住む界隈は貧しく、メイコン一家とは社会階層が違うのですが。
縁は異な物としみじみ。
荒れていた犬のエドワードが、ミュリエルの躾でしだいにマシになっていき、ミュリエルの家で、少年アレクサンダーの隣で初めて眠るところ…何気なく書いてあるけど、泣けます。

アン・タイラーは1941年ミネソタ生まれ。
1964年デビュー。1984年の本書が長篇10作目。

「ブリージング・レッスン」

アン・タイラー「ブリージング・レッスン」文春文庫

ユーモラスに暖かく人生を描くアン・タイラー。
いぜんに何作か読んでますけど、最近じゃないので…ご紹介するのは初めてですね。
これはピューリッツァー受賞作!というお墨付きの作品。

妻マギーの幼な友達セリーナの夫が亡くなり、葬儀に出かけるモラン夫婦。
出かける朝にやっと、車の修理が出来る予定というタイミング。
妻マギーが受け取り、店を出た途端に、トラックにがつんとぶつかってしまいます。
聞いていたラジオの人生相談に出た声が息子ジェシーの別れた嫁フィオナで、再婚すると言っていたのです。
ところが、それは聞き違い?
呆れる夫アイラですが…

結婚して、28年目。
若い頃は神秘的に見えた夫アイラは表情が少なく、真面目だけれど頑固で、人に対してやや壁がありました。
父が急な病気で引退したため大学進学を諦めた失望を抱え込みながら、父親のやっていた額縁の店を継いでいるのです。
妻マギーは明るくお喋りで、親切だがちょっと粗忽で、善意が裏目に出ることも多い。
老人ホームでバイトをしたことがきっかけで、そのまま補助員として就職したのを上昇志向の強い母親には惜しまれ、理解されないでいました。

セリーナの夫の葬儀では、セリーナが結婚披露宴の時と同じ歌を友人達に歌って欲しいと言いだし、皆は困惑します。
アイラは頑として歌わないのですが、マギーは歌詞も思い出せないまま歌い始める‥

愛する子供達は巣立っていき、たった一人の孫にはなかなか会うことも出来ない。
息子ができちゃった婚で~早すぎる結婚をしたいきさつが何とも。
マギーは孫に会いに行き、何とか息子達によりを戻させようと思い立つのですが。

ちょっとしたことなんだけど~マギーの行く所、おかしな出来事が連発。
夫婦は互いに反りの合わない部分に苛立ちつつ、結婚は揺るがない。
結婚してある程度たった人間なら、共感する所も多いのでは。
世代間の行き違いや、男女の平行線…
どうすることも出来ない哀しみと苦み。

夫の息子に対する態度など、ずいぶんだなあと思う点もあります。
日常をコメディにしてしまう妻もなんだけど。
たまに悲劇にしてしまう夫というのも、どうなんでしょう。
ネイティブアメリカンの血を引く一家で、働けない家族を抱えているという重さが、アメリカの悲劇といえるのかも知れません。
人間ってやつは全くしょうもないが…
笑えて、しみじみとした読後感。

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