「アガサ・クリスティーと訪ねる南西イギリス」

津野志摩子「アガサ・クリスティと訪ねる南西イギリス」PHP研究所

パディングトン発の列車でイギリス南西部へ。
80年代半ば以来、一家3人でイギリス在住10年の著者が、自らの英国体験を語りつつ、アガサ・クリスティにちなんだ名所を廻ります。

アガサ・クリスティはデボン州の南部で生まれ育ち、その近辺をよく作品の舞台に取り上げていたんですね。
気温が温暖で風光明媚な土地柄は、イギリス人にとっても憧れだそうです。
クリスティが生まれたのは海辺の街トーキィ。1890年のこと。
お人形の家をつかっての引っ越し遊びが好きだったという幼い頃のエピソードなども。

トーキィ郊外のセント・メアリ教会のステンドグラスは、クリスティが寄贈したものだそうです。
トーキィ博物館の一角にある記念堂は意外に小さく、地味。
それは遺族の意向で、商業主義に走らないようにという意図だそう。
90年代半ばから、少し風向きが変わったそうですが。

晩年の家グリーンウェイ・ハウスには、今も娘さんロザリンド・ヒックス夫婦が住んでいる。
白亜のお館なんですよね~。
一角で花の苗などを売っているし、年に何度か庭園を公開するとか。
生誕100周年を記念して開発されたアガサ・クリスティと名付けられた薔薇もあるそうです。

「死者のあやまち」に出てくるナセ・ハウスは、このグリーンウェイ・ハウスがモデルだそうです。
もとは16世紀の提督の屋敷があった土地で、今の建物はハノーヴァー王朝時代に立て直された物だそうですが…1714年から1830年の間て…長すぎるっ。
ロザリンドさんは、クリスティに生き写しだそうです。
時々訪れるマシューは、クリスティただ一人の孫だとか。

ダートマスは、中世の雰囲気の漂う街。
「無実はさいなむ」ではドライマス、「死者のあやまち」ではヘルマスとして登場。
トットネスも中世から栄えた城下町。
ダートマスよりも自由な雰囲気があるそうです。
フリーマーケットでは中世の衣装をつける習慣だとか。

インペリアル・ホテルはトーキィにあり、100周年の時に、ポアロ役の俳優とミス・マープル役の俳優が歴史的な顔合わせをしたそうです。
作品上ではマジェスティック・ホテルと呼び、「書斎の死体」「スリーピング・マーダー」「邪悪の家」などで登場させています。

バー島は、「そして誰もいなくなった」の舞台として有名。
満潮になると、孤立する島ですが、引き潮になると歩いて渡ることも出来るというユニークさが魅力。
1930年代の音楽で踊るダンス・パーティが毎週末に催され、皆当時の衣装を着て集まるとか。

田園も、薔薇の花咲く庭園も、写真がいかにもそれらしくて美しい。
建物も庭も~大事にされている雰囲気が伝わります。
ミス・マープルのような女性は、どこの村にもいるとか?
モデルは特定の村ではないそうですが、ハンプシャーのどこかにあるという設定だそうで。
魅力的な村がモデルと思われて日本人観光客が殺到したこともあるとか。
観光案内も巻末に。
1997年の発行なので、実際に旅行するには情報が古いかも知れませんが。
肩の凝らない読み物になっています。

「花宵道中」

宮木あや子「花宵道中」新潮文庫

江戸時代、吉原の遊郭に暮らす花魁達を描いたもの。
短編連作で、哀しみだけでなく、女同士の助け合いも。
登場人物どうしの因縁も、かなり~どろどろ。
艶っぽい文章で、こういうのが読みたい気分なら、満喫できます。

「花宵道中」は山田屋の朝霧が、主人公。
天保8年秋、火事で吉原が焼け、女達はあちこちの仮宅に住んでいました。
山田屋は、深川八幡前に仮宅を構えます。
もともと山田屋は、座敷持ちが6人しかいない小見世。
朝霧は母親も遊女だったので、生まれたときから吉原にいる女です。
正月の八幡に出かけたところ、人混みの中で草履を片方落とし、困っている時に助けてくれた男・阿部屋半次郎。
草履の鼻緒は半次郎が京都で職人だった頃に染めた物だったのです。見よう見まねで染めた青い牡丹。むらがあるので、着物には出来なかったものがこんな所にと縁を感じます。
吉田屋という金持ちの座敷で、二人は再会するのですが…

「青花牡丹」は、その半次郎の子供の頃からの話。
美しかった母は父と駆け落ちして一緒になったものの、しだいに不仲になってしまいます。
母の死後、弟の自分をかばって京都の島原に身を売った姉は、霧里と名乗っていました。
職人となり、自分の染めた着物で花魁道中をさせてやりたいと願う弟。
半次郎に思いがけない結婚話が起き、幸運と羨まれるのですが、腕を折られてしまい‥

霧里は美しいけれど愛想がなく、他からの嫉妬もあって、江戸の吉原の山田屋に所替えとなります。
半次郎は遠くへ去る姉をやむなく見送ります。
霧里は、妹女郎として、地味な少女だった朝霧を育てます。
その朝霧は、やがて八津と三津の面倒を見るようになるのです。
彼女たちの運命は…

女性のための女性によるR-18という企画の受賞作。
そういえば~濃厚な描写だけど、時代色が濃いので、途中は忘れてました。

「神様のカルテ」

夏川草介「神様のカルテ」小学館

長野県で地域医療に携わる現役の医師が書いた小説。
わかりやすく、心地良く読み進められます。

栗原一止(いちと)は、本庄病院に勤務する5年目の内科医。
400床あるので、地方都市の一般病院としてはかなり大きいほうです。
けれども、募集はしていても医者の来手は少なく、24時間365時間対応を看板に出しているので、それはもう大変なのでした。

一止は消化器内科が専門ですが、救急では何でも診察、泊まり込みで仮眠を取りつつ、一人で40人も担当しています。
夏目漱石を愛読して暗記しているほどなので、言葉遣いが古風で、変人と思われているのでした。
(ペンネームにも現れていますね)
看護師にもつい減らず口をたたくのですが、患者のことばかり考えているから、おのずと人望はあるという。

奥さんのハルさんは可愛らしく、表紙イラストのイメージのまま。
山の写真などを撮るカメラマンで、小柄だが実は力持ち。
一止はものすごい忙しさで、初めての結婚記念日をすっぽかしてしまいますが‥

御嶽荘という旅館だった古い建物に部屋を借り、地方を満喫する生活。
絵描きの「男爵」と、大学院生の「学士殿」というあだ名を付けている友人も、下宿しています。
徹夜明けでも、つい酒盛りをしたりする仲なのです。
信濃大学付属病院の医局に来ないかという誘いを掛けられ、普通なら応じるところ、なぜか悩んでしまう一止。

患者だった老婦人・安曇さんが癌でもう治る見込みがないと、大学病院から戻ってきます。
一人暮らしで、夫は30年も前に亡くなったという。
どうしてあげたらいいのか、その方が気にかかってならない一止。
食事制限もあるのですが、食べたいと言っていたカステラをハルさんに探して貰ったり‥

どこまでが実体験なのでしょうか。
経験者という濃さは、それほど感じない~ある意味、普遍的とも言えるエピソード。
でも、優しさがありますね。
見送る哀しみもあるけど、忍耐強い患者もしっかりしたものだし、精いっぱいのことをしてあげた感動が残ります。

著者は1978年大阪生まれ。信州大学医学部卒。地域医療に従事。
この作品で、第10回小学館文庫小説賞を受賞してデビュー。
2010年本屋大賞2位。

「ある日系人の肖像」

ニーナ・ルヴォワル「ある日系人の肖像」扶桑社ミステリー

ロサンゼルスに住む日系女性が、祖父のことを調べていく話。

ジャッキー・イシダは、弁護士として就職が決まっている若い女性。
亡くなった祖父フランク・サカイには子供の頃は可愛がって貰ったのですが、しだいに疎遠になっていました。
祖父のいぜんの遺書に出てくるカーティスという人物のことを調べてくれと、叔母のロイスに頼まれます。
祖父の雑貨屋を相続させたいという意外な内容があったのです。

第二次大戦中に日系人は白い目で見られ、砂漠の収容所に。
フランクは、参戦していました。
4年の間、日本人部隊は捨て石同様にヨーロッパの前戦で従軍。危険な任務で多くの仲間を失い、自らは怪我をして帰国。
悲惨な経験に心は凍り付いていましたが、ある出会いでみずみずしいものが残っていたと気づきます。
しかし…
たった5秒のためらいで、恋を失ってしまう。

フランクは後に、写真で見合いした相手と結婚。
穏やかでまっとうな人柄で、地域に根ざした生活をし、近所の黒人達にも信頼されていた人生でした。

ジャッキーは、カーティスの従弟のジミー・ラニアーという黒人男性に出会います。
ジミーは、大柄で寡黙で取っつきはよくないのですが、子供には大人気。
カーティスは、フランクの店でバイトをしていた少年でした。
が、とうに亡くなっていて、その死に方が、1965年のワッツ暴動の日に、フランクの店でと知って驚愕するジャッキー。
しかも、警官に殺されたという噂があったのです。フランクを知らない人からは、フランクが疑われることもあったらしい。
ジャッキーとジミーは関係者の話を聞いて回り、事件の真相を知ろうとしますが…

フランク自身や様々な登場人物の視点を交錯させ、ロサンゼルスの現代史を構築する内容。
すべての事情を遺された者は知るわけではないのですが‥
もし知っていたら、一部は救われるかも知れないけれど‥一部は余計に切ないでしょう。
迫力のある作品です。

ジャッキー自身は、出世した両親の元で裕福な恵まれた育ち。
回りからは世間知らずに見えます。
とはいえ、良い学校には日系人どころか東洋人も一人だけという生活は、幼い頃には辛かったでしょう。
同性の恋人との関係も次第に変化していくという内容。

著者は、日本人の母とポーランド系アメリカ人の父との間に、日本で生まれる。
5歳で渡米。アジア系は一人という環境だったそう。
1997年デビュー。2作目の本書で話題に。
2作目とは思えないほどの筆力です。

「東京バンドワゴン」

小路幸也「東京バンドワゴン」集英社文庫

東京バンドワゴンとは、明治時代からある古書店の名前だそうで。
下町の大家族が、にぎやかに登場。
感じのいい人ばかりで、気分良く読めます。

語り手は、じつは亡くなっている曾祖母の堀田サチ。
その夫が、当主の勘一。
息子の我南人(がなと)は60歳で、伝説的なロッカー。
藍子は、我南人の長女。おっとりしているが、実は未婚の母。
その娘が、花陽(かよ)で、小学生。

紺は、我南人の長男。
紺の妻・亜美は、藍子とともに、店を手伝っているというか、隣のカフェの切り盛りをしています。
研人はその息子で、花陽とは仲良し。

青は次男ですが、異母弟。
父の妻に、異母兄姉と一緒にわけへだてなく育てられましたが、実母は不明という事情だから~父親とは仲が悪いのでした。
旅行社の添乗員で、たいそうハンサムなので、親切にされて勘違いした若い女性が押しかけてくることも多い。

さらに、ご近所の多彩な面々で、くり広げられます。
勘一の幼なじみで、近くの神社の神主さん。
藍子を好きな近所の外人さん、イギリス人の画家マードックさん。
青の嫁に来たと言って転がり込む若い娘など…

ミステリというほどでもないけど~日常の謎系でもあります。
小学生が毎日、店先の本棚に辞書を一冊置いていき、帰りには持って帰る謎。
飼い猫の首輪に、本のページをちぎったものが結びつけられていた謎。
なかなか意表をついていますよね。

児童書でもヤングアダルトでもないかも知れませんが…
子供でも読める安心感があるのでカテゴリに入れました。
昭和のホームドラマが好きだったようで、そのオマージュ的な雰囲気。
著者は北海道生まれ。
本書は2006年発行。
好評で続編も出ています。

「ナポレオンの妹」

フローラ・フレイザー「ナポレオンの妹」白水社

ナポレオンと仲の良かった妹ポーリーヌの生涯を描いたもの。
家族が多かったナポレオンは妹だけでも何人もいるので、日本人にはあまり区別がついていないと思いますが。
これを読んだらもう忘れない?

小柄で優美で、ミルクのように白い肌、完璧に均整の取れたスタイル、古典的な整った顔立ち、陽気な性格。
10代半ばで兄の部下であるハンサムな武官達と次々に恋し合い、最初は反対されますが、そのうちの一人ルクレールと首尾良く結婚。
遠い任地のサン=ドマング(今のハイチ)へ、若妻のポーリーヌも赤子を連れて赴任。暴動や黄熱病という危難に遭います。
自信満々でわがままな暮らしぶりですが、大事なときには動じない勇気もあったようです。

夫の死後、イタリアの名門ボルゲーゼ家のカミッロと恋に落ちて、結婚。
すごいハンサムなのですが、実は親の方針で教育がなく、もともと頭も良くないという人物でした。
ポーリーヌが半裸になってモデルをした彫像「ラ・パオリーナ」は、夫が注文したもの。これが表紙になっています。
夫が遠くへ赴任することを望みつつ、治療と社交を行ったり来たり。
実は産後に病を得たのですが、調子の良いときには夜明けまでパーティーで踊り続ける生活。

エルバ島について行ったのは彼女一人だけというのは、胸を打たれます。
兄が快適に暮らせるように家を整え、ピクニックを催したり、明るくふるまっていたそう。

1796年に兄ナポレオンと結婚したジョセフィーヌとは仲が悪かったんだけど、出世頭の兄がまだ若いのに、年上で子連れの色っぽい女性と結婚したら、15歳の女の子は反感持つかもね。
社交を楽しみ、オシャレで浪費好き、お金を手に入れるのは得意、恋人は次々~とちょっとジョセフィーヌに似た所があるのは皮肉?
性格はむしろ、ジョセフィーヌのほうが穏やかだったようで。
気の強さは兄に似ているのかも。
兄のナポレオンのほうが真面目で、風采は上がらなかったけど、人を惹きつけるものはあったんですよね。
美しく人を引きこむ力のあるポーリーヌ。兄は男として、妹は女として、戦う才能に溢れていたのかも。

「女子芸人」

神田茜「女子芸人」新潮社

講談師、神田茜の小説2作目。
第6回新潮エンターテインメント大賞を受賞。

琴音は就職しても続かず、ふと入ってみた話し方教室で教わった漫談家の平(たいら)の凡師匠に感銘を受けます。
頼み込んで弟子入りして、平のコトリという名を貰ったのでした。

はじめのうちは師匠の鞄持ちばかりしていましたが、司会者紹介事務所に所属してから、司会の仕事も増やしていたのです。
勉強にもなると勧めてくれたのは落語家の文徳で、一度は付き合っていましたが、あっさり別れを告げられてしまう。

結婚披露宴の司会をしているときに、新婦が行方不明になります。
そのまま続けてくれという新郎の要望で、一人だけのケーキカットや花束贈呈も続行することに。

二人しか弟子もいない師匠ですが、妹弟子の平のみゆきは華があって甘え上手。
師匠は、可愛くて仕方がない様子。
姉弟子として面倒を見なくてはならなくなったコトリは、ついきつい言い方をしてしまうのですが。
後に、コンビを組んで売り出すことになり‥

太神楽曲芸師の三木家たま吾は、コトリの中学時代の同級生で、じつはキスもした仲。
同じときに見た舞台が遠因となって、大人になってから芸の道を目指していました。
曲芸の師匠が亡くなったとき、葬式の司会を明るくやってくれと頼まれたコトリですが…?

通販番組のエキストラに主婦役で出て、司会をしていた年下の男ナルセとつきあい始めるコトリ。
服を買ってやり、いろいろなことを教えて、素直に成長していく彼を見守ります。
無事に結婚もしましたが、妻としてばかり注目されるようになり、透明人間のように感じてしまう…

泣いたり、うかうかしたり、嫉妬したり、イライラしたり、笑ったり。
不器用だけれど、ありそうな生き方。
実体験にもおそらく似た部分がありそうな、近しい世界の芸人たちを描いて、わかりやすく、哀歓がバランスいい。
面白かったです。

「透明人間の告白」

H.F.セイント「透明人間の告白」新潮文庫

思いがけない爆発に巻き込まれて、なんと透明になってしまった男。
面白おかしく語られます。

証券アナリストのニック・ハロウェイは、取り立てて特徴のない31歳。
遊ぶ友人は多いけれど、親友も恋人もいない~お気楽な暮らしぶりでした。
ある日、投資のための調査と称して、マイクロ・マグネティックス社の実験的な施設へ向かいます。
口説いている最中の美人記者アンを、郊外へ連れ出すのが目的でした。

ところが、核に関わる施設だとして、反対のデモに学生たちが集まっていました。
責任者のインタビューがとりたいアンは、果敢に博士に近づきますが…
博士がデモ隊と揉めるうちに、奇怪な現象が?

警報を訓練と勘違いして、その間一人で休んでいようと決め込んだニックは屋内に取り残され…
意識を取り戻したニックは、自分が虚空に浮かんでいると驚愕!
じつは、爆心地が透明になっていたのでした。
調査に来た面々の物々しい様子に、実験動物にされるのはごめんだとニックは逃走。

出社するわけにも行かず、どうやって生きていくか‥?
最初のうちは、電話だけで仕事。ある程度までは出来るんですよね。
その時着ていた服や持ち物は一緒に透明になっているので、洗濯しつつ着ることに。
食べたものは丸見えになるので、出来るだけ透明なものを食べる工夫をしたり。
ニューヨークには留守宅もけっこうあるので、そこを探して入り込んだり。
だが、追っ手が迫ってくる…

追いつ追われつ、想像力を刺激する展開。
映画化されるのはよくわかる~テンポの良さ。
おかしなシーンも満載です。
工夫に富んだ生活をするニックが、恋愛までしちゃうんですから。
本の雑誌のオールタイムベストで、4位に選ばれていました。

「音もなく少女は」

ボストン・テラン「音もなく少女は」文春文庫

デビュー作「神は銃弾」が有名なボストン・テラン。
何となくしんどそう(というか暴力的?)で、読んでいませんが。
こちらも、やや作風は違うようですが~このミスなどでも評価が高い作品。
鋭い描写で、完成度高いですが~
辛い話なので、ちょっと一時中断…
他の本を読んで一息入れてから、読了しました。

イブ・レオーネは、生まれつき耳が聞こえない。
母のクラリッサは美しかったのですが、夫ロメインに虐待され、イブのこともクラリッサが悪いとされて、夫婦関係は悪化する一方でした。
ロメインは、麻薬密売の隠れ蓑に、娘を利用する有様。

娘を学校に行かせたいと悩んでいたクラリッサは、手話を使っていた知的な女性フランを見かけ、勇気を出して声を掛けます。
聾唖者の学校を両親が経営していたために、手話が出来るフラン。伯父が遺したキャンディストアを経営する自立した女性でした。
じつはナチスに聾者の恋人を殺され、自らも手術を受けさせられたという凄惨な過去があったのです‥

イブはカメラを貰い、写真家としての才能を次第に開花させていきます。
父が刑務所に入ったために、聾学校ではいじめられますが‥
最低というか危険な男共が複数出てくるために、女と子供の運命は恐ろしい試練にさらされ、絶望と怒りがこちらにもずしっと迫ってきます。
何をされるかと怖がっているとそれが起きてしまうんですが、そこで決して負けはしない女たち。

イブには、チャーリーという優しい恋人も出来ます。
混血のチャーリーは、黒人のドーア夫妻が里親となって育ててくれ、さらに引き取ったミミという女の子を、妹として可愛がっていました。
ところが、ミミの父親ロペスというのがまた・‥
フランに守られたように、ミミを守ろうとするイブ。
みんなを守ろうと父の家に出向く幼いミミの勇気。ロペスには甘い母親が、孫のミミはこんな所に来てはいけないと、返してきます。
近づかないように裁判所命令をとるのですが、それでも‥

痛切な愛と烈しい勇気の物語。
女性が立ち向かう話が好きなら、オススメです。
闘う女達、すごい迫力でしたー!

著者は、サウスブロンクスのイタリア系一家に生まれ育つ。
1999年作家デビュー。本書は第四長篇。

「幸福な食卓」

瀬尾まいこ「幸福な食卓」講談社文庫

「お父さんをやめようと思う」という出だしは有名ですよね。
中原家では、朝食は必ず家族揃ってとることが家風なのですが、そこでは爆弾発言も時に出るのでした。
穏やかに仲良く暮らしていた一家。
じつは数年前のある出来事から、じわじわと歪みが生じていました。
そのために、母は家を出ているのです。
家を出てから一人暮らしをしているのが新鮮で快適らしい母。近くに住んでいて、掛け持ちでパートをし、夕食の差し入れにもよく来るという状態でした。

何でも出来る兄の直は明るく元気そうですが、実は、何事にも真剣に対処しないようになっています。
もてるのに、3ヶ月ぐらいでいつもふられてしまう。
ある時、派手な化粧の彼女を連れてきて、妹としては気に入らないんですけど、これが意外と~本気になる様子。

ごく普通に頑張ろうと思っている~妹の佐和子。
神経質な部分もあり、梅雨になると気分が悪くなりがちなのですが…
中学から一緒の大浦君と進学塾で次第に親しくなります。時には行き違いもあるけれど、それも微笑ましい。
そのまま高校でも、いい感じでつきあいが続いていきます。
哀しい出来事や苦みもあり、少女が背負うには辛い運命。
父の抱えていたものも…

当たり前に、家族のことが気になる感覚。
自分にはない良さのある人を好きになる感覚。
繊細でいて、どこか生命力の豊かさへと繋がっていく展開。
泣けるけど、希望も持てます。

若向き限定ではないけれど、若い人に読んで欲しい気がしたので、「児童書YA(ヤングアダルト)」のカテゴリーも入れました。

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