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おすすめ本

「食べて、祈って、恋をして」

エリザベス・ギルバート「食べて、祈って、恋をして 女が直面するあらゆること探求の書」武田ランダムハウスジャパン

小説家の作品なので、小説的な流れの良さ。
実体験を書いた物だけど、テンポ良く、距離感があって、読みやすいですよ。
たぶん、女性なら、どっかで共感できるのでは…

若い頃に結婚し、小説家として名をなし、大きな家に夫と住んで、30になったら子供を育てるつもりだったのに。
その時期になってもまったく欲しくならない、結婚生活をやめたい自分に気づいて~毎晩、浴室で泣く有様が半年続いたという。

夫は家を出ましたが、離婚には同意しないまま。
泥沼離婚末期と同時期の泥沼恋愛、そこから飛び出して、イタリアとインドとインドネシアへ4ヶ月ずつ滞在。この時は34歳に。
あら筋だけを書くと~やや引かれそうなぐらいなんだけど‥果敢で正直なのが、さわやかさを感じさせます。率直に深く、物事を見つめる人ですね。

イタリアでの美食三昧はすごく楽しい。絵やファッションには興味がないのだそう。ひたすら食べる、あとは書く。
友達にも恵まれ、たくましい母や姉ともあらためて話をし、別な一面を知るという経験も。
元気と体力をつけて、インドのヨーガ修行へ。

うつ状態から段階的に抜け出していくのが励まされます。
インドでの修行は本格的で、早朝から起きて詠唱。
日中は仕事を割り当てられ、大理石の床を磨く係に。この仕事は失敗しても問題が起きないので、インドの若者が多く、地元の話を聞いたりすることもできるのでした。
毎日瞑想するのは大変そうで、最初はうまくいかないのですが、見事に試練を乗り越え、ついには神秘体験も。

「テキサスのリチャード」というアメリカ人には、仕切り屋と鋭い指摘をされ、「爆食」とあだ名もされる。
食事はカフェテリア式で菜食だけれど、おかわりできるんだそうです。
最後の方では、瞑想に来た滞在者の世話をする係に。

さらにバリ島で、占い師の老人クトゥのもとへ通い、美しい家を借り、年上の優しい恋人も出来るという楽しい展開に。
スピリチュアルなのに笑いっぱなし、というコピーも納得。
おひとりさま女性の心をわしづかみにし、世界700万部突破のベストセラー。
作者は大学卒業後、バイトをしながら投稿し、デビュー。
2003年に旅行して回った体験を、2006年に発表。
2010年には、その後の事を発表するとか。

「巡礼者たち」

エリザベス・ギルバート「巡礼者たち」新潮文庫

力強い短編集。
作者は子供の頃から小説家になりたかったそうですが、大学の創作科などに行く道を選ばず、働きながら各地を旅して回り、その実体験を生かしています。
カウガールまでやったとは、たくましい。
実に多彩な登場人物、描写はどちらかといえば渋めですが~生命力豊かなのがどこか共通しています。

表題作は、バックの働く牧場にふらりとやってきたマーサ。たくましい腕をしたカウガールでした。
女っ気のない職場で、ひそかな注目を浴びつつ、日常は男も女もなくハードに働く毎日。
エルク狩りのハンター達の案内をしていたある日、バックは彼女にお気に入りの馬に乗って遠乗りしよう、そのまま逃げようと言うのですが‥
どうにもならなそうな生活感、それでも生き抜くたくましさ。臨場感があります。

「東へ向かうアリス」は、ひまわり畑の真ん中で立ち往生した車に乗っていた兄妹を助ける話。
修理工場もない村での出来事。大勢の兄弟の中で一人だけ頭がいいらしい妹は看護学校に入ろうとしているという。
「花の名前と女の子の名前」は、タイトルがいいですよね。
ぼけかけた大伯母がぶつぶつとそういう名前だけをつぶやいていたという話なんだけど。
祖父が若い頃、出会った女性バベットの肖像画を描く話にまつわって出てくる言葉のイメージが何ともいいんです。

「華麗なる奇術師」は、奇術師と困った男の友情。
才能ある奇術師エース・ダグラスを雇った男ホフマン。経営者として成り上がった男だけに、見る目があったのでしょう。
ところがある日、ホフマンが激情に駆られて殺人を犯してしまう。
エースはホフマンの妹と結婚していて、ホフマンの幼い娘エスターの面倒も見、後に助手としました。
エスターはあまり才能があるとは言えなかったのですが…
父が出所した後、三人はエースの家に一緒に住み、ホフマンは娘のために兎を連れてきます。
大きすぎて結局、奇術には使えない兎。のそのそと邸宅で暮らすのでした。
思いがけない展開で、ほんわりと感動が。
いきいきとして、切なく、一ひねりした面白さ。

読みごたえがありました。
新潮クレスト・ブックスからまず出て、その後に文庫になっているというと、まずハズレはないですね!

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