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おすすめ本

「剣の名誉」

エレン・カシュナー「剣の名誉」ハヤカワ文庫FT

歴史物風ファンタジー。
「剣の輪舞」「王と最後の魔術師」に続く3作目。
年代は違いますが、同じ侯爵家が登場します。

18世紀頃のイギリスかヨーロッパを思わせる異世界。
狂公爵とあだ名されるトレモンテーヌと、その妹一家は、財産争いを続けていました。
妹一家は、田舎の領地でぎりぎりの暮らしだったのです。
姪のキャザリンがなぜか突然、侯爵に呼び出され、半年の間、剣客になるための修行を続ければ財産を継がせると言い渡されます。

キャザリンの~都でパーティに出られるのかもという娘らしいほのかな期待は裏切られ、男装で一人、剣の練習をする羽目に。
聞きしにまさる風変わりで退廃的な伯父というのが、「剣の輪舞」の彼。
キャザリンは伯父に振り回されつつ、剣の修行は意外に気に入り、往年の剣客セント・ヴァイヤーにも密かに師事するのでした。

キャザリンとは対照的なお嬢様アルテミシアや、従僕のマーカスと友達になるのですが、それがまた波乱の幕開けに。
アルテミシアの結婚話と、その意外ななりゆきに関わることになります。
難しい立場でややこしい苦難をいかにクリアするか?
あるこだわりを持った女性層には受けそうかも。
今回は、元気な女の子が主役の成長物で、1冊でまとまっています。

2007年、世界幻想文学大賞、ノベル賞受賞。

「王と最後の魔術師」

エレン・カシュナー、デリア・シャーマン「王と最後の魔術師」ハヤカワ文庫FT

カテゴリーに「エレン・カシュナー」の項目を作ったら、「剣の輪舞」一作しかアップしていなかったので、前に読んだこちらをご紹介しましょう。
2002年の作品。2006年翻訳発行。
「剣の輪舞」の60年後の世界を描いた続編にあたります。
当初はなかった設定を加えて世界を広げ、より色濃くファンタジー的になっています。そのへんが共著者の功績らしい。

18世紀頃のイギリスかヨーロッパを思わせる異世界。
王政は廃され、魔術は禁じられています。
政治を担っているのは貴族たちですが、既に腐敗しているのです。
新進気鋭の大学教授バージル・セント・クラウドは、彼を慕う学生に囲まれていました。
侯爵家の跡取りの美しい青年セロンと運命的に出会い、熱烈な恋に落ちます。
この侯爵家というのが「剣の輪舞」に出てきたアレクの家柄なのですね。

政界も大学も社交界も陰謀が渦巻いており、期待を背負うセロンと、歴史の真実を追究するバージルは、危険に巻き込まれていく…
設定も陰影深くなって波乱の展開ですが、男性同士の恋愛も「剣の輪舞」より描写が多いです。
キャラはなかなか魅力的ですが。いや~外国の女性もこういうのが好きなんでしょうか??

脇役の女性達は、女侯爵に医者に女海賊と気丈!恋するのは男達?
ケルト神話的な要素も含むあたりは魅力的です。
地味な脇役にも、好感の持てるキャラがいます。
どう転ぶか全く予想できないので、わかりやすいとは言えない…「剣の輪舞」のほうがシンプルなので、読んでからのほうが入りやすいかも。
直接の関係はそれほどないんですけどねcoldsweats01

「剣の輪舞」

エレン・カシュナー「剣の輪舞 増補版」ハヤカワ文庫FT

最近、この続編「王と最後の魔術師」「剣の名誉」が出ていて、綺麗なイラストの表紙なのが気になっていて。
これは前にも翻訳されましたが~この本は短編3作を加えて、井辻さんが訳文にも手を入れたという増補版です。
原題はSWORDSPOINT、1987年の作品。

18世紀ヨーロッパを思わせる異世界。
剣客が正式な決闘で人を殺すことは、罪に問われない時代。
伝説的な剣客となりつつあるリチャード・セント・ヴァイヤーは、鍛え抜かれた肉体で芸術のような技を放つ、黒髪の美青年。
貴族が見捨てた古い建物が建ち並ぶ下層階級の住む町リヴァーサイドで、依頼を受けては危険な仕事をしていました。
育ちの良さそうな学生のアレクを愛人として。
枯葉色の髪で痩せた長身のアレクは、高貴な家を出奔した身らしく、心に傷を負っている風情。敬意をこめた距離感もありながら、互いに認め合う二人の関係がユニークです。

貴族の住む「丘」では、贅をこらした優雅な宴が夜ごとに行われていました。
野心家の竜法務官フェリスは、誠実な三日月法務官ハリデイを追い落とそうと画策します。
権力者のトレモンテーヌ公爵夫人は齢を重ねても十分に美しく、フェリスを愛人にしていました。
一方、貴族の若者マイケルは剣客に憧れ、修行を望んで道場に通うのでした。
誰かわからぬ貴族に仕事を依頼され、いつしか陰謀に巻き込まれたリチャードは、投獄されますが…

三銃士やシェイクスピアや、華麗で陰影のある歴史物語世界を彷彿とさせるモチーフが楽しい。
特殊な設定だけど、意外に読者層広いかも?

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