フォト

おすすめ本

「要塞島の死」

レーナ・レヘトライネン「要塞島の死」創元推理文庫

マリア・カッリオ警部のシリーズ3作目。
フィンランドの人気ミステリです。

出産休暇を1年とっていたマリア。
休暇の最後の週末、夫と娘のイーダと共に、レードシャール島を訪れます。
かっては要塞だった島ですが、今は塗装メーカーのメリヴァーラ社のものとなり、一般に開放され、宿泊も出来るようになっています。
自然豊かな島ですが、マリアの興味は、実は昔の恋人が1年前に島で事故死していることにありました。

昇進を決めた後の出産だったので、マリアは復帰と共に警部として名実ともにリーダーという立場でスタートします。
昇進を争った同僚ペルツァ・ストレムが代理となっていたため、面白くなさそう。
ストレムは偏見に満ちた嫌われ者だが、警察官としては有能で、どこか嫌いになりきれないマリアでした。

メリヴァーラ一族とはなぜか縁が切れず、社長の息子のユハがデモに参加して逮捕され、さらに社長が遺体で発見されます。
かっての恋人の死も何か関連があるのか‥?

盛りだくさんな内容で、読ませます。
思いっきり気が強いマリアですが、いい夫を見つけて可愛い娘も生まれ、管理職としての態度もだんだん身につけていくところ。
子供をおいてきている罪悪感と、仕事の現場での緊張にさらされ、荒れて行くストレムを気にかけ、事件で出会う男に惹かれたり、と頭の中も忙しい。
個性的な登場人物がポイントを抑えた描写で描かれ、ありありと存在感があります。
関係者に会いにはるばる遠い寒村まで行くシーンなども、印象的でした。

1年の出産休暇が取れて昇進も出来、育児休暇を取りたければさらに取ることもできる。そのへんは、さすがフィンランド!
夫が交代して育児休暇を取っているのも羨ましい限りですが、これはフィンランドでもとやかく言う人がいたり、必ずしも皆がすることではないようです。
警察小説ですが、アラサーのマリアの人生を描いた小説でもあって、変化もありつつ基本はあたたかい生活なのがいいですね。
30歳なんて元気が余ってるんだなぁって印象。本人はキャリアは積んできていても、大人になりきれてないっていう気分かもしれません。

「氷の娘」

レーナ・レヘトライネン「氷の娘」創元推理文庫

フィンランドで人気の<マリア・カッリオ・シリーズ>第2弾。

マリアは、地方都市エスポー警察の巡査部長。
赤毛で鼻っ柱が強い。前作から4ヵ月後、今や7ヵ月の身重で、産休を1ヵ月後に控えています。
マリアはもともとフィギュアスケートが好きで、上司のタスキネン警部と試合を見に行ったこともありました。
警部の娘シルヤは有力なシングルの選手で、美しい少女。

ところが、マリアが見た試合にも出ていたフィギュアスケートの選手ノーラが、遺体で発見されました。
小柄でパワフルなノーラはペアの選手で、コンビを組む美青年に恋していたらしい。
コーチは、旧ソ連から来た厳しい指導をする人物。
一度は家を出たノーラの母親やそのストーカー、派手なスケート協会理事など、複雑な人間関係が渦巻いていました‥

警部タスキネンは昇進する可能性があり、そうするとマリアと同僚のペルツァ・ストレムが後任を争うことになるという状況。
ペルツァはもともと口が悪く、対抗心をあらわにします。

緊迫したシーンは上手く書けていますが、犯人と対決するいきさつは軽率すぎて、ちょっと。
だいぶ反省するという展開なので、この後ずっと続いているというシリーズでは違う理由で危機を作るのかしらね。

どろどろした人間関係がさらに緊迫していく状況の中で、マリアがいったん家に戻ると、人柄の良い新婚の夫と愛猫、おなかの中の子供と一緒に溶け合うように過ごすひとときが~すばらしく心地よい。
作者の妊娠出産の経験を生かしているようです。

フィギュアスケートの話題は少し古く、原著が1997年と知って納得。
それじゃ真央ちゃんのトリプルアクセルもないわね。
美少女シルヤは今のキーラ・コルピ選手みたいなのは偶然で、あとがきにもありましたが、何となく嬉しい♪

「雪の女」

レーネ・レヘトライネン「雪の女」創元推理文庫

珍しいフィンランドのミステリ。
あちらでは大人気のマリア・カッリオ・シリーズ。

マリア・カッリオは赤毛で、フィンランド人にしてはとても小柄な160センチちょい。
エスポー警察の巡査部長。
邦訳1冊目のこの作品は、実はシリーズ4作目。
それまでは色々職業的立場が違い、ここでエスポー警察に腰を落ち着けたところだそう。

32になるマリアの結婚式から、始まります。
友達の裁判官につかさどってもらう民事婚。
15から30歳までずっと結婚などしないつもりでいたので、夫になるアンティを愛してはいても、自分が結婚するのが不思議な気分になるマリア。
アンティは2メートル近い身長。夫婦別姓だそうです。

12月、マリアは女性限定のセラピーセンター、ロースベリ館での講演を依頼されます。
館の主であるセラピストのエリナは中年ですが、マリアより20センチは背が高い、すらりとした金髪の美女でした。
数週間後にエリナが行方不明となり、後に雪の中で遺体となって発見されます。
自殺か事故の可能性もありましたが‥?

ロースベリ館には、家を出てきたヨハンナ、ストリッパーのミッラ、音楽講師のニーナというわけありの女性達も滞在していました。
ヨハンナは厳しい宗派に属する村で暮らしていた主婦で、9人も子がいるのに、夫に追い出されていたのです。
フィンランドというと~福祉国家で開明的な気がするけど、マリアの目に映るフィンランド男性はかなり旧弊なよう。
犯罪を通して悪い例を知っているからかもね。

マリアと同僚が逮捕した凶悪犯が、脱獄。
復讐の危険に晒されつつも、果敢に捜査を続けるマリア。
思わぬ妊娠にも気づき、動揺しながら、人生の大きな変化に直面することに。

エスポー市は、首都ヘルシンキの西にある人口25万の都市。
警察の生活安全課には女性も多いが、マリアのいる犯罪課には一人だけ。
同僚には女性蔑視発言も多くて気の合わない男ペルツァもいますが、上司タスキネン警部はきちんとした男性で信頼できます。
毒舌を吐くペルツァも、危機にはとっさにマリアをかばってくれたり。

著者は1964年生まれ。
1993年にこのシリーズを始め、11作刊行されているそう。
気が強く生き生きしたヒロインに、魅了されます。
事件の内容も過不足なく、スリルと人情をあわせもつ展開。
面白かったです。

その他のカテゴリー

bベスト本 | i本屋大賞候補作 | l本屋大賞 | l直木賞 | l芥川賞 | l:日本エッセイスト・クラブ賞 | mf:世界幻想文学大賞 | mf:日本ファンタジーノベル大賞 | m:CWA賞 | m:MWA賞 | m:このミステリーがすごい! | m:アガサ賞 | m:マカヴィティ賞 | name:あさのあつこ | name:万城目学 | name:三上延 | name:三浦しをん | name:上橋菜穂子 | name:上野千鶴子 | name:中島京子 | name:乾くるみ | name:五木寛之 | name:京極夏彦 | name:仁木英之 | name:今野敏 | name:伊坂幸太郎 | name:佐々木譲 | name:佐藤多佳子 | name:佐藤賢一 | name:佐野洋子 | name:勝間和代 | name:北村薫 | name:原田マハ | name:坂木司 | name:大島真寿美 | name:大崎梢 | name:太宰治 | name:姫野カオルコ | name:宇江佐真理 | name:宮下奈都 | name:宮部みゆき | name:小川洋子 | name:小川糸 | name:山之口洋 | name:山崎ナオコーラ | name:山田詠美 | name:島本理生 | name:島田荘司 | name:川上弘美 | name:恩田陸 | name:有川浩 | name:朝井リョウ | name:木内昇 | name:杉本苑子 | name:村上春樹 | name:村上龍 | name:村山早紀 | name:村山由佳 | name:東川篤哉 | name:東野圭吾 | name:松井今朝子 | name:林真理子 | name:柚木麻子 | name:柳広司 | name:栗田有起 | name:桜庭一樹 | name:梨木香歩 | name:森絵都 | name:森見登美彦 | name:森谷明子 | name:横山秀夫 | name:橋本治 | name:池上永一 | name:津村記久子 | name:海原純子 | name:海堂尊 | name:湊かなえ | name:町田康 | name:畠中恵 | name:百田尚樹 | name:矢崎存美 | name:磯崎憲一郎 | name:神田茜 | name:米村圭伍 | name:米澤穂信 | name:綿矢りさ | name:荻原規子 | name:菅野雪虫 | name:葉室麟 | name:角田光代 | name:誉田哲也 | name:貴志祐介 | name:辻村深月 | name:近藤史恵 | name:道尾秀介 | name:長野まゆみ | name:香山リカ | name:高田郁 | oその他の作家 | o海外作家:C.J.ボックス | o海外作家:M.C.ビートン | o海外作家:P.Gウッドハウス. | o海外作家:R.D.ウィングフィールド | o海外作家:S.J.ローザン | o海外作家:アガサ・クリスティ | o海外作家:アラン・ブラッドリー | o海外作家:アリアナ・フランクリン | o海外作家:アリス・マンロー | o海外作家:アレグザンダー・マコール・スミス | o海外作家:アンナ・マクリーン | o海外作家:アン・クリーヴス | o海外作家:アン・タイラー | o海外作家:アン・マキャフリイ | o海外作家:アーシュラ・K・ル=グウィン | o海外作家:アーロン・エルキンズ | o海外作家:エリザベス・ギルバート | o海外作家:エレイン・ヴィエッツ | o海外作家:エレン・カシュナー | o海外作家:カズオ・イシグロ | o海外作家:カミラ・レックバリ | o海外作家:カルロス・ルイス・サフォン | o海外作家:キャロル・オコンネル | o海外作家:キンバリー・ウィリス・ホルト | o海外作家:ギヨーム・ミュッソ | o海外作家:クリストファー・プリースト | o海外作家:クレイグ・ライス | o海外作家:クレオ・コイル | o海外作家:ケイト・キングズバリー | o海外作家:ケイト・モス | o海外作家:ケイト・モートン | o海外作家:ゲイル・キャリガー | o海外作家:コニス・リトル | o海外作家:コニー・ウィリス | o海外作家:コリン・ホルト・ソーヤー | o海外作家:コルネーリア・フンケ | o海外作家:サラ・ウォーターズ | o海外作家:サラ・スチュアート・テイラー | o海外作家:サラ・パレツキー | o海外作家:シャロン・フィファー | o海外作家:シャンナ・スウェンドソン | o海外作家:シャーリィ・ジャクスン | o海外作家:シャーレイン・ハリス | o海外作家:シャーロット・マクラウド | o海外作家:ジェイソン・グッドウィン | o海外作家:ジェイニー・ボライソー | o海外作家:ジェイン・オースティン | o海外作家:ジェフリー・ディーヴァー | o海外作家:ジェフリー・フォード | o海外作家:ジェラルディン・ブルックス | o海外作家:ジャニータ・シェリダン | o海外作家:ジャネット・イヴァノヴィッチ | o海外作家:ジュンパ・ラヒリ | o海外作家:ジョアン・フルーク | o海外作家:ジョナサン・キャロル | o海外作家:ジョン・ハート | o海外作家:ジョージ・R.R.マーティン | o海外作家:ジョー・ウォルトン | o海外作家:ジル・チャーチル | o海外作家:スティーグ・ラーソン | o海外作家:ステファニー・メイヤー | o海外作家:スーザン・プライス | o海外作家:スー・グラフトン | o海外作家:タニス・リー | o海外作家:ダイアナ・ウィン ジョーンズ | o海外作家:ダイアナ・ガバルドン | o海外作家:ダン・ブラウン | o海外作家:ディック・フランシス | o海外作家:デイヴィッド・アーモンド | o海外作家:デニス・ルヘイン | o海外作家:デボラ・クロンビー | o海外作家:トレイシー・シュヴァリエ | o海外作家:トーベ・ヤンソン | o海外作家:ドナ・アンドリューズ | o海外作家:ドナ・ジョー・ナポリ | o海外作家:ドミニク・シルヴァン | o海外作家:ドン・ウィンズロウ | o海外作家:ナンシー・ピカード | o海外作家:ネレ・ノイハウス | o海外作家:ノア・ゴードン | o海外作家:パウロ・コエーリョ | o海外作家:パトリシア・A.マキリップ | o海外作家:ピーター・キャメロン | o海外作家:ピーター・ディキンスン | o海外作家:ピーター・トレメイン | o海外作家:ピーター・ラヴゼイ | o海外作家:フランセス・ファイフィールド | o海外作家:フレッド・ヴァルガス | o海外作家:ヘイリー・リンド | o海外作家:ヘニング・マンケル | o海外作家:ベリンダ・バウアー | o海外作家:ベルンハルト・シュリンク | o海外作家:ポール・ドハティ | o海外作家:マイクル・コナリー | o海外作家:マーガレット・アトウッド | o海外作家:マーセデス・ラッキー | o海外作家:ミネット・ウォルターズ | o海外作家:ミュリエル・バルベリ | o海外作家:メアリ・W.ウォーカー | o海外作家:メグ・ガーディナー | o海外作家:メグ・キャボット | o海外作家:ユッシ・エーズラ・オールスン | o海外作家:リサ・クレイパス | o海外作家:リチャード・ノース・パタースン | o海外作家:リース・ボウエン | o海外作家:ルーシー・モード・モンゴメリ | o海外作家:レジナルド・ヒル | o海外作家:レスリー・メイヤー | o海外作家:レーネ・レヘトライネン | o海外作家:ロイス・マクマスター ビジョルド | o海外作家:ロビン・ホブ | o海外作家:ローズマリ・サトクリフ | o海外作家:ローズマリー・マーティン | o海外作家:ローナ・バレット | o海外作家:ローラ・チャイルズ | o海外作家:ローラ・リップマン | o海外作家:ローリー・キング | o海外作家:ローレンス・ブロック | o海外作家:ヴィヴェカ・ステン | o海外作家:ヴォンダ・N.マッキンタイア | お人形 | お人形着物 | お茶 | アニメ・コミック | ウェブログ・ココログ関連 | グルメ・クッキング | コージー | ジェイドール | ジェニー | スイーツ | ドールmomoko | ドール:Misaki | ドール:SD | ドール:シドニー | ドール:ピュアニーモ | ドール:プーリップ | ドール:ユノアクルス・アズライト | バービー | ファッション | ファンタジー | フィギュアスケート | ベスト本 | ミステリ | リカちゃん | ロマンス | 介護 | 健康・ダイエット | 児童書・YA | 動物 | 国内作家:あ行 | 国内作家:か行 | 国内作家:さ行 | 国内作家:た行 | 国内作家:な行 | 国内作家:は行 | 国内作家:ま行 | 国内作家:や行 | 国内作家:ら行 | 国内作家:わ行 | 国内小説 | 家事 | 心と体 | 日記 | 映画・テレビ | 書籍・雑誌 | 歴史もの | 海外小説 | | 病気体験 | 着物 | 経済・政治・国際 | 絵本 | 舞台・バレエ | | 言葉・歌 | 評論・エッセイ | SF

2017年4月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

カテゴリー

無料ブログはココログ

最近のトラックバック