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おすすめ本

「貧乏お嬢さま、吸血鬼の城へ」

リース・ボウエン「貧乏お嬢さま、吸血鬼の城へ」(コージー・ブックス)原書房

貧乏お嬢さまのシリーズ、じつは「英国王妃の事件ファイル」も4作目。
快調です。

公爵令嬢のジョージーは、王位継承権34番目の王族。とはいえ親が破産したので財産もなく、1930年代当時、仕事につくのも難しいという。
王妃に呼び出され、英国王室を代表してルーマニア王女の結婚式に出ることになります。

吸血鬼ドラキュラの伝説が残る山深い土地に孤立している城。
ルーマニア王女とは学友ですが、まるで別人。
王族が集まるお城で優雅なひと時‥のはずが?
怪しい出来事が続く恐怖の城‥
さらに事件が起こりますが、無事に結婚式を挙げるため、事件は秘密裏に。
ダーシーも来ていたのは、何か起こりそうという依頼によるもの?

かねてルーマニアの王子とは縁談をささやかれていたジョージー。
なりゆきと誤解から、婚約したと皆に祝われてしまいます。
さて?

急に雇ったメイドのクイーニーがおそろしく不器用で、ほとんどドタバタ喜劇となりますが、素朴な良さもあり、どうやら迷コンビになりそう。
続きも楽しみなシリーズです☆

「貧乏お嬢さま、メイドになる」

リース・ボウエン「貧乏お嬢さま、メイドになる」(コージーブックス)原書房

貴族のお嬢様がヒロインのミステリ。
かなり出来のいいコージーで、楽しく読めます。

1932年、イギリス。
ジョージーは21歳の公爵令嬢でヴィクトリア女王のひ孫。皇太子とは、はとこに当たる。れっきとした王族なのですが、スコットランドのお城は暖房費も払えず、寒々としている有様。
公爵を継いだ兄は人はいいがぼんやりしていて何も出来ず、恐妻家。この兄夫婦も面白いですよ。
嫌な縁談を押し付けられそうなのを知ったジョージーはロンドンの屋敷に出向いて、自活の道を探ることにします。
メイドを連れずに行動するとビックリされる、暖炉の火をおこしたこともないジョージー。
そんな彼女が仕事にしようとしたのは、なんとメイド。
ところが、事件に巻き込まれ‥?

ジョージーは王妃に呼び出されて、皇太子の恋愛相手を探るように依頼されます。それでシリーズ名が「英国王妃の事件ファイル」なのね。
この皇太子とは、後にシンプソン夫人と結婚するために即位後すぐに王位を捨てた人。
この段階では、シンプソン夫人にはまだ夫がいて、皇太子の気を引いているので、えらく嫌われてますが。

学友ベリンダがデザイナーになっていて、何かと協力してくれます。
ハンサムなアイルランド貴族には絡まれ、幼馴染の青年とも再会。
上流階級の暮らしや当時の風俗があれこれ出てくるのがお楽しみ。
母方の祖父で庶民のおじいちゃんには、火のおこしかたを教わりに行きます。
ジョージーの実母は駆け落ちして男性遍歴を重ねている(ちょっとダイアナ妃のお母さんみたい?)華やかな女性。
母性的ではないけど、顔が広いので、時々出くわすんですね。
このお母さんが、パーティーで出会ったシンプソン夫人からジョージーをかばうために、嫌みの応酬になるのは傑作!
ジョージーとその家族は創作した人物。
王家の人々は、実際のイメージに出来るだけ近づけたそうです。

リース・ボウエンのもう一つのシリーズよりも軽くて、ヒロインがさわやかなので、広範囲の方に読まれやすいのでは。
続きも楽しみ!

「押しかけ探偵」

リース・ボウエン「押しかけ探偵」講談社文庫

シリーズ2作目。
活発なアイルランド娘の活躍を描きます。

1900年代の初め、モリー・マーフィーはニューヨークへ渡りました。
ハンサムな警部のダニエルと親しくなりますが、ダニエルの態度はもう一つはっきりしない。
気難しい老婦人のお相手役の仕事を紹介され、モリーの立場を気遣っていることも察せられました。
ところがダニエルに婚約者がいるとわかり、大ショック。時期を待てといわれても‥?

モリーは探偵になることを決意、私立探偵のパディ・ライリーに頼み込んで弟子入りします。
女嫌いのパディもしぶしぶ少しは教えてくれるようになったのですが、ある日、事件が‥!
パディの抱えていた事件を見よう見真似で引き継ぐことに。

前作で転がり込んでいた知人の親戚が、今度は子供達と一緒にモリーの部屋に押しかけてきます。
モリーは居場所を失い、悩むのですが‥
知り合った画家やジャーナリストの女性に快く迎えられ、芸術家たちが多く住んでいる地域の家で、夢のような楽しい暮らしが始まりました。
芸術家の中には、事件に関係しているらしい人物もいて‥?

当時のニューヨークの厳しい現実と、新しい時代の熱気が感じられ、面白くなっていました。
女性が働くだけでも難しかった時代、とはいえ働かざるを得ない女性もいたわけです。
冒険心のある果敢なモリーが、立場を変えるごとに、おしゃれになっていくのも楽しい。

2010年の時点で、モリーのシリーズは10作発表されているそう。
翻訳を楽しみに待ってますよ!

「口は災い」

リース・ボウエン「口は災い」講談社文庫

20世紀初頭が舞台の歴史ミステリ。
アイルランドで生まれ育った小作人の娘モリー・マーフィーは、23歳。故郷から逃亡する羽目になります。
(イギリス人領主の息子に強姦されそうになって突き飛ばしたら、死んでしまったのです)
ロンドンにたどり着きましたが、仕事はない。
逃げ込んだ先で知り合った女性キャスリーン・オコナーの身代わりで、子供二人を連れてアメリカに渡ることとなります。キャスリーンは肺病で、船に乗る許可がおりないのでした。

三等船室は環境が悪かった様子が描かれます。
やっとアメリカに到着して、自由の女神を見た移民達の感動が鮮やか。
入国直前のエリス島で、たちのよくない男オマリーが殺されます。
モリーの嘘を見破っていたオマリーをひっぱたいたことのあるモリーにも、一時は疑いが。
親切にしてくれていた若者マイケルが、拘留されてしまいます。
マイケルがアイルランドに送り返されれば、ろくな裁判もなく死刑になってしまう…
真相を探ろうとするモリー。

共に旅行した子供達は、モリーに懐いていました。
モリーはキャスリーンの夫が暮らす従姉夫婦の家に転がり込みますが、従姉に冷たくされて、住み込みで働ける場所を探し歩くことに。
イタリア人、中国人、ユダヤ人など、それぞれの出身の人間が集まって暮らし、そこの仕事は他の国の人間には出来ないと知ります。
ニューヨークにアイルランド人は多いので、有利な方なのでしたが。
警察の保護施設で一夜を明かした後、エリス島での事件の目撃者を捜します。
やっと聖書教会の宿泊所に泊まることが出来ましたが…

モリーのさまようニューヨークが、刺激的で面白い。
何かと出くわす警部のダニエル・サリヴァンとは、次第に好感を持つように。
ニューヨークの事情を知らずに、危険地帯に踏み込んでしまうモリー。
自分も逃亡の身で、職もないまま、果敢に行動する元気さが良いですね。

作者はイギリス生まれ。
BBCでラジオ、テレビドラマの脚本家を経て、オーストラリアの放送局勤務。サンフランシスコへ。
2001年の今作で、2002年アガサ賞最優秀長篇賞受賞。

アガサ賞とは、アガサ・クリスティに敬意を表して、推理小説愛好家の会マリス・ドメスティックが主催するミステリの賞。
1989年に創設され、伝統的なミステリが対象で、大会出席者すべての投票によって選ばれる。
伝統的なミステリとは、過剰な暴力描写がなく、警察官が主役ではない方が中心で、主に地域社会で起きる事件を扱った物といったあたり。
いつも女性作家が受賞しているようです。
毎年春にワシントンで授賞式が行われているそうです。

日本にもアガサ・クリスティ賞ができたのかな?
それとは別物です。

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