「白雪姫には死んでもらう」

ネレ・ノイハウス「白雪姫には死んでもらう」創元推理文庫

刑事オリヴァー&ピアのシリーズ、翻訳紹介2作目。
ドイツで人気の警察小説です。

11年前の少女失踪事件の犯人トビアスが刑期を勤めあげて出所。
故郷に帰ったトビアスは、両親が離婚、店は寂れて父は弱みに付け込まれて財産を奪われたという悲惨な有様を知ることに。
事件当時、トビアスは無罪を主張したのですが、泥酔していて記憶がない時間帯もあり、状況証拠で有罪となっていました。
張り合う美少女二人が殺されたらしい‥?
トビアスの帰郷を憤る被害者の親たちは敵意をあらわにします。
遠くに住むトビアスの母親まで、歩道橋から突き落とされてしまう。

半年前から村に住み始めた高校生アメリーは、鼻ピアスをしたパンクなスタイルで村人からは浮いていました。トビアスに好感を抱き、事情を探り始めます。
普通の格好をすると、じつは行方不明の少女にそっくりなアメリー。
村を支配する企業家の息子ティースは自閉症だが、アメリーには心を開いていました。
最初はいかれた子みたいだったこのアメリーが爽やかで、救いになっています。

オリヴァー・フォン・ボーデンシュタイン主席警部と部下のピア・キルヒホフ警部は村で聞き込みを始め、冤罪の可能性を感じます。
前作では申し分のない幸せな家庭を築いていたようだったオリヴァーが1年4ヵ月後に一転、妻を疑うようになり、人生最大の危機?!
捜査にも熱が入らないが、転機を迎えることに。
ピアにも難題が起きていますが‥

村の閉鎖性がなかなか怖くてリアル。
それぞれに濃い事情のある登場人物たちの入り組んだ行動が書き込まれて、ドラマチックな仕上がりです。
物騒なタイトルに最初は引いたけど~それだけの読みではある内容。
オリヴァーの変化は意外でしたが、3作目4作目を読んだことになるので、1~2作目を読んでいたらそうでもないのかどうか?
盛りだくさんなのが好みなら★五つの出来だと思います。

「深い疵」

ネレ・ノイハウス「深い疵」創元推理文庫

ドイツで人気の警察小説の初紹介。
オリヴァーとピアの出てくるシリーズとしては3作目。
評価の高い作品からということのようです。

ホロコーストを生き延び、アメリカで大統領の顧問にまでなった92歳の老人ゴルトベルクが殺されました。
司法解剖で実はナチスの親衛隊員だったことがわかります。生き延びるために過去を偽っていたのです。
警察署長は政治に関わるまいと、オリヴァーに部下を帰すように命令。
(えっそんなことありうるの!?と驚いていると)
何と連邦上層部からも停止命令が来ます。
被害者家族には有力なコネがあるらしい。
老人の手帖に名前が残っていたヴェーラ・カルテンゼーは地元の名士で、聞き込みもすぐには出来ないのでした。

ホーフハイム警察の主席警部オリヴァーは、名字をフォン・ボーデンシュタインという貴族。
いつもきちんとした背広とネクタイという格好で、性格も穏やか、仕事を持つ妻との間に3人の子がいて、年の離れた末っ子はまだ赤ちゃん。
妻も貴族で、その関係から上流階級の捜査も進めていくことに。
(ドイツの貴族って?イメージなかったです)

部下の警部ピア・キルヒホフは2年前に離婚、10ヶ月前に今の恋人に出会いました。
元夫は気難しい性格で、よく我慢したと今になって思っています。
元夫ヘニングはフランクフルトの監察医で、司法解剖の第一人者、ピアの依頼ですぐに現場に来てくれたのですが。
オリヴァーとピアは二人とも感じはよく、事件関係者の不幸とは好対照な境遇。
ユーモアもあって楽しく読めますが~ある意味、幸せすぎて感情移入しにくいかも?というのが3作目から翻訳したための弱点ってところかな。

捜査本部も設けられないまま、オリヴァーらは困難な捜査を始めます。
老いても一家に君臨する女実業家ヴェーラ。
長男のエラルドは大学の教授で、若く見え今も女性に人気がありますが、母親とは不仲。
事業を継いでいる次男は、地味だが母親に尽くしています。
娘は、議員となっている野心家。

トーマスはヴェーラに長年仕えた秘書でしたが、放り出されて恨み、一計を案じています。
ヴェーラの旧友や一家の庶子、関係する人たちの間で、連続殺人事件の様相となっていきますが‥?!

次々に視点が変わる構成で、ややわざとらしいミスリードも含め、ヒントはちりばめられています。
ドイツ人の名前が覚えにくい点がなければ、重層的な構成はとても面白いんだけど。
ネレという作者名が女性とは気づかず、途中であれっもしかしてと思いました。
訳文はお見事で、登場人物の個性を生き生きととらえています。
後半でわかったことは、あまりにも深い疵だった‥
スリリングな終盤と、ずしっと来る読後感も含め、読み応えがある作品でした!

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