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おすすめ本

「食堂つばめ 2」

矢崎存美「食堂つばめ2 明日へのピクニック」ハルキ文庫

「食堂つばめ」のシリーズ2作目。
好評のようですね。

何でも食べたい料理を作って出してくれる、不思議な「食堂つばめ」。
実は、この世とあの世の境目にあります。
亡くなった人は見知らぬ町に来ていて、ある方向へ引き寄せられていくのですが‥
料理人のノエは、思い出のある美味しい食べ物を食べることで、生きたい気持ちを取り戻して欲しいと願っているのです。

1冊目もいくつかエピソードはあったのですが、主人公と食堂とノエの謎の物語でもありました。
もっと一つ一つが短編になっている印象で、それぞれの話はわかりやすいです。

夫が我家の肉じゃがと思っていたジャガイモとひき肉のそぼろ煮。
老舗レストランのマカロニ・グラタン。
おばあちゃんが作ってくれた、かき餅。
美味しい物を詰めたピクニック・バスケット‥

そうそう、最近マカロニ・グラタンが食べたいのはこのせいだったんだ~と納得。
お餅も食べたい‥!

美味しい物を食べるとき、思い出す懐かしい人。
ノエの願いかなって、この世に戻っていく若い人たちも‥
1作だけ、老いた夫が、妻の待っている方向に進むことを決めるのも、何か納得できる描き方で、心に残りました。
母が入院したときの父を思い出しました。

「ぶたぶたのお医者さん」

矢崎存美「ぶたぶたのお医者さん」光文社文庫

人気のぶたぶたシリーズ、最近の作品です。
今回のぶたぶたさんは、獣医さん。

山崎ぶたぶたは、ピンクのぬいぐるみ。
いかにも可愛いらしいが、なぜか生きて動いていて、中身は中年男性。

「ビビリ猫モカ」では、臆病でまだ家族にも懐いていない猫が登場。
怖がりな猫をどうして病院に連れて行こうかと悩む一家は、往診してくれる病院を知り、頼んだところ、やって来たのは、若い先生と、ぬいぐるみ‥え?
ぶたぶたさんの方が院長だったり。
さすがに猫もぬいぐるみは怖がらない!
戯れているようにしか見えないのですけど、名医なのですね☆

作者が飼っている猫がモデルだそうです。
可愛い猫を飼ったらすぐに抱き上げて「うふふ、アハハ」出来ると思い描いていたというのがおかしい~アニメですか^^;
いや~普通はそうなれるんですけどね!
怖がってる子はもうちょっと待ってあげないと。何度も抱き上げたりしちゃ、怖さを忘れる暇もないじゃないですか‥
自分の何倍も背が高い相手(しかも知り合ったばかり)にがっちり捕まれる怖さを想像してみて。
ご飯をあげて、やさしい言葉をかけて、そっとしておいたら、安心しますよ。

「春の犬」はろくに家にいない母が飼った犬が病気らしく、あわてる男の子が病院に連れて行くことに。
どこか無気力だった男の子が成長するのはよかったです。
家にいても家事はあまりしない母なので、犬の世話まですべて家政婦さん任せ。それも、餌をやるだけ。
ちょっとこの母親の無責任さはひどすぎて‥謎?
更年期障害と最後にありますが、それで余計ひどくなったにしても‥それだけで説明つくのでしょうか。

「トラの家」は、老夫婦のもとに野良猫がやって来て、居つくのです。
実は地域猫として有名な猫で、かなり年齢はいっているのでした。
妻が入院し、トラが時々姿を消すのを気にしていた夫でしたが、トラの行っていた先は何と‥泣かせます。
年取った猫は人間臭くなり、猫又みたいに賢くなりますからね。

ペットという家族に何かあったとき、飼い主も不安なもの。
病院に連れて行くのはほんとに大変なので、往診に来て欲しいです!
ぶたぶた先生、天職でしたね☆

「食堂つばめ」

矢崎存美「食堂つばめ」角川春樹事務所

ぶたぶたシリーズの矢崎在美さんの別シリーズ1作目。
なんとなく「かもめ食堂」を連想していたけど、全然違う話でした。当たり前(笑)

会社員の柳井秀晴は、食いしん坊。
電車の中でうとうとしていたら、見覚えのないところにいました。
空腹のあまり車内販売を探したのですが、見つからない。
販売員らしい女性に、食堂ならあると言われて、サンドイッチを頼みます。
女性は「ノエ」という名札をつけていました。
サンドイッチは最初は普通と思ったのですが、美味しいサンドイッチを思い出した途端、異様に美味しくなる!?
停車駅で降りたのですが‥

秀晴が次に気がついたら病院で、電車内で倒れたとわかります。
食堂つばめでの出来事は、どうやら臨死体験だったらしい。
「何かあったらまず腹ごしらえ」と母に言われて育ったのが、幸いしたのか‥?

美味しい玉子サンドをまた食べたい一心で、再びあの車内の食堂つばめに戻った秀晴。
謎の女性ノエは、生死の境をさまよう人を出来る限り生の世界へ戻したいと考えているらしい。
ノエ自身は記憶を失っているらしいのですが。
ノエの正体とは‥

最後に食べたいと思うのは何?
大事な思い出のある食べ物が次々に出てきて、実に美味しそう。
玉子サンドを食べたくなるのは請け合い~もう何度も食べちゃいましたよ。
誰もが知っているような食べ物ばかりだから、自分の思い出とも重なってきます。
自分が疲れすぎて食べ物や料理に前ほど興味が持てない状態になったので、しばらくの間、こういう作品とは縁遠くなっていたのです。
それが読みたくなってきて‥いろいろ評判を調べて図書館にリクエストした中の一作。

ぶたぶたシリーズに比べれば、やや曖昧で不思議感のある筆致。
暗いってほどでもないんですが。
一言で表現できなくて、ご紹介書くのが遅れました。
どう展開するのかな?
美味しい食べ物には安心しつつ、どちらへ転ぶかわからないような感覚を楽しめばいいのかな‥?

「ぶたぶたと秘密のアップルパイ」

山崎存美「ぶたぶたと秘密のアップルパイ」光文社文庫

私にとっての「ぶたぶた」2冊目。
アップルパイって癒されるので~表紙も素敵だし☆
一冊目は短編一つ一つが違う状況の話でしたが、これは通して一つの話になっています。

森泉風子は、駅前の珈琲専門店で、レシートがキリ番になりました。
オーナーの右京に、三号店の会員になれると紹介されます。
そこでは、誰にも言えない秘密を店員に喋らなければならないという。
じつは秘密を持っている風子。
他人から見れば、大した問題ではないかも知れないのですが。
好奇心で、三号店に向かうと…

そこにいたのは、ぶたのぬいぐるみ。
あせたピンクのバレーボールぐらいの「山崎ぶたぶた」が店員だったのです。
器用に珈琲を入れ、お菓子まで作っているという。秘密は別に話さなくてもいいと言われて、拍子抜けしますが。

そこへ飛び込んできた高校生の男の子・小野寺悠。
「秘密を話さないでいると、かえって重い」と言い出し、「無理に話さないでも良い」というぶたぶたと友達になりたいという。
風子がイラストを描いているシリーズのことを、ちょうど読者世代である悠は知っていました。
「突撃シンドローム!」という近未来を舞台にしたアクション物なのです。

悠は、兄・陽の婚約者・沼尾椛(もみじ)がケーキが好きなので、店に彼女を連れてきます。
ところが、椛はそこで倒れてしまい…?
椛は、子どもの頃から、ある悩みを抱えていたのです。

風子のところに、中学時代のマンガ研究会仲間だった亜里砂から、連絡が来ます。
亜里砂は絵が上手かったが、プロにはならなかった。結婚して15年になるという。
会って食事もして、お喋りが弾み、珍しい店に連れて行くと約束しました。
ところが、亜里砂にばかにされていると勘違いしてしまい…?

落ち込む風子を、いつものことと動じずになだめるダンナさんもいて。
誤解は、ぶたぶたが解きほぐしてくれます。

出てくるアップルパイは、すごく美味しそう!
なるほど、一本のストーリーにするとこうなるのかな~。
ほどほどの現実味。
小さな重荷をひとつ下ろして、美味しい珈琲を飲んで。
ゆったりしたいですね。

「ぶたぶた」

山崎在実「ぶたぶた」徳間文庫

噂のぶたぶた初読み☆
短編連作です。
このジャンルって何ですかねえ~ファンタジー?
というのにはちょっと日常的な話題が多いんだけど。
日常の謎というのも違う‥

ぶたぶたは、バレーボールぐらいの大きさの薄いピンクの丸っこいぬいぐるみだけど、
意識は中年男らしい。
あちこちに出没、職業も違う。

「初恋」は、娘のベビーシッターを待っていた女性が、現れたぶたぶたに驚愕。
代役というか、いつものベビーシッターのほうが部下だというのです。
ぶたぶたのおじちゃんにすっかり懐いた娘。
後に一度だけ、大根を買っているぶたぶたを見かける…

「銀色のプール」では、小学3年の毅が、古い遊園地に忍び込んだとき。
ひとけのない冬のプールにテントを張り、釣りをしているぬいぐるみを見つけます。
「ぶたぶたは、なぜ、ぬいぐるみなの?」と思い切って聞くと
「毅はなぜ人間なの?って聞かれたら答えられる?」と返される。
両親が忙しくて兄弟もいない毅は、ここに家出したいと思うのですが…?

「ただいま」では、台風の時に、摩耶子の部屋に飛んできたぬいぐるみ。
外に干していたぬいぐるみが、喋り始めます。
摩耶子の兄は、10年前に失踪していました。
なぜか、ぶたぶたは兄と似た所があるのですが…
「もう少し年上のように思います」というぶたぶたが、何とも言えず良い味。

喋り、食事もする~ぶたのぬいぐるみに、最初は驚愕する人も、なぜか周りに受け入れられている様子に、しだいに不自然に感じなくなっていきます。
何気なく、何となく傍にいて~ぶたぶた自身がやりたいことをマイペースでやっているようでいて、そのとき必要なことをふと教えてくれているような。

癒されます…

作者は1964年、埼玉県生まれ。
85年、星新一ショートショートコンテスト優秀賞受賞。
89年、少女小説家としてデビュー。
「ぶたぶた」はずっと傍に置いてあったぬいぐるみで、贈ってくれた人が付けた名前そのままだそうです。

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