「面影小町伝」
米村圭伍「面影小町伝」新潮文庫
「風流冷飯伝」に始まる三部作のラスト。
これと間違えて1月と2月に同じ作品「退屈姫君伝」を二度ご紹介してしまいました。冷や汗~~
熊野の九ノいち笠森お仙が、今回は活躍。
前作では、14歳だったお仙。
母の病気で故郷の熊野へ帰り、徐福の妙薬で色黒を治し、すっかり綺麗になって江戸に戻ります。
お仙の父は忍者というかお庭番なわけで~情報集めのために、富くじをやっているにぎやかな境内で店を開き、お仙はそこで働いています。
かって、めだか姫がお茶くみをして大評判になったこともある茶店でした。
折しも素人の美人を絵に描いて評判を呼び、一儲けしようという企みが。
隠密だから目立ちたくないのに、ばっちり肖像を描かれて大迷惑のお仙。
他の小町娘がどれぐらい美人なのかと浅草の銀杏娘お藤を見に行くと、そこには田沼の息子・意知が、美女を権力づくで我がものにせんとやって来ていました。
じつは、このお藤は武家の出で、亡くなった家老の娘だという。
紀州秦栖藩に東証大権現から賜った家宝の名刀を巡って、奥女中の薄墨が命がけの逃走の途中、峠で生み落とされた双子という因縁。
忍者物のせいか?ファンタジーというか~妖術?がかっている部分も。
絵師の鈴木春信が出てくるあたり、楽しめます。
絵暦で売れ、多色刷りの時代に。美人画で名をなそうともくろむのでしたが‥
鈴木という良くある姓の由来も面白い。
田沼意次の時代は、平賀源内の時代でもあるのです。
賄賂が横行していたけれど、一面、開放的だったのですね。
因縁めいた人間関係が重く、これまでよりはシリアスで、けっこうどろどろ。里美という大名も出てきたりして、八犬伝のよう?
二人の娘はけなげで、さわやかです。
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