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おすすめ本

「終の住処」

磯崎憲一郎「終の住処」新潮社

第141回(2009年e)芥川賞受賞作。
現役の商社マンという作家さん。
「肝心の子供」をいぜんにご紹介してあります。

見合い結婚で、互いに年齢的な焦りから結婚を決めた夫婦。
妻は何かと急に機嫌が悪くなり、夫は理由がわからずにおろおろするばかり。
妻と姑とは、奇跡的に仲がいいのに。

夫の浮気がばれていたからなのか?
いや、浮気をする前からなのです…
赤ちゃんを育てるときに、夜中もむっくり起きあがる妻の様子はリアル。
2歳の娘と遊園地に行った日を最後に、妻は口をきかなくなり、11年間口をきかないまま。
観覧車が悪かったのかなどと、悩む夫でした。

家で過ごす時間を短くするために、腐心するのです。
その間に、夫は8人と浮気。
美女が目の前に現れるから困るので避けようとしたのにという~妙に受け身な感覚がおかしい。
夫婦は娘を仲立ちに、何とか用事は済ませることが出来たのでした。

ある時、思い立って調べ、帰宅するなり「家を建てるぞ」と叫ぶと「そうね、頃合いね」と返事がありました。
それでも、しっくり行くようになったわけではないのですが。
いずれ浮気する男と見抜かれていたのかも知れない…と、思い至る夫。
アメリカに単身赴任、帰国した日に、家に娘の姿がないことに気づくきます。
昨年からアメリカに行っている、と聞かされて~驚愕。
この結末は、有名ですね。
辛口だけど、ユーモラスでもあります。

意外にシュールな要素を多く含んだ話でした。
奥さんの存在感が、強烈。
我が家はここまでひどくない~と胸をなで下ろす夫婦も?

「肝心の子供」

磯崎憲一郎「肝心の子供」祥伝社

芥川賞受賞したばかりの作家の、デビュー作。
会社勤めをしながらの作家活動なんですね。

ブッダとその妻や息子や孫、三代を描いた物です。
行間の空いた印刷で、どことなしにゆったり~悠久のインドを思い浮かべながら読めます。

ブッダが王子シッダールタとして親の決めた結婚をし、気の合わない妻ヤショダラとそれでも子をなします。
実家から稲を持ってきて水田を作るたくましい妻と、ひたすら木の下で瞑想する夫。
美しい妻は夫との生活は愛していたけれども、彼の内面には全く興味がないことにお互い気づいたり。

ブッダを甘やかして育てた父は、孫が生まれたと喜び勇んでやってきますが、城内の様子はどことなく変で、戸惑います。
それでも祖父は孫に名を付けますが、それは家族の束縛を語った息子の言葉からとったラーフラ(束縛)。どうゆうセンス?
名付けられた息子はこれも風変わりで、異常に記憶力がよく、すべてのものに魂があると感じて、何も捨てたがらないという。
こんなラーフラでは現実的な母とは気が合わず、やがて父ブッダの信徒が3、4千人もいるところに混じっていきます。
けれども若すぎて修行に徹することも出来ず、心惹かれた少女サリアと会い続けます。

淫蕩にふけっている修行者がいると噂になり、息子の行状を知らされたブッダは、外国へ行く一行に息子をくわえます。
ところが子供を産んだサリアは村から追われ、帰国したラーフラはすぐに行方を突き止められない。
生まれたという肝心の子は名前もつけられないまま。

捨てられた娘サリアは、老け込んだ猛女になっていました。
…こんな夫じゃあなぁ…
再会したラーフラは胸をつかれるのでした。
孫の不幸ももとはといえば、ブッダの出家のせい?
孫のティッサ・メッテイヤは、森で野生児のように育ちます。
ただの不幸とも言い切れませんが、ブッダの業績や悟りなどにはほとんど触れられていないので、そんな印象も。

ゆったりしたインドの風景の描写や、登場人物それぞれの心に映る世界の印象が刻むように描き出されていて、読者の知らない世界へ持って行かれる心地よさ。
読んで損はしませんよ。
妻が二代揃って悪役?めいているのはちょっと気になるけど。
あ、受賞作もそうでしたっけ…
しょせん理解し合えない存在なのが基本姿勢とか?

著者は1965年生まれ。2007年本作で第44回文藝賞を受賞。

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