「星々の舟」
村山由佳「星々の舟」文春文庫
直木賞受賞作。
舟は家族を意味しているのでしょうね。
星座のように、孤独なようでも繋がっている…
戦争帰りの父は、傷跡を抱えて時に荒れる男。
長男とは大人になっても距離があるままでした。
長兄・貢とは年の離れた次男・暁は、子連れの家政婦から後妻となった継母になつきますが…
実の兄妹と知らずに愛し合ってしまった暁と、連れ子の沙恵。
自分だけが一家をつなぐつもりでいた一見明るい末娘にとっても、世界は壊れてしまう…
団塊の世代で、堅実に暮らしながらも、自分の居場所を探し続ける長兄。
いじめにあっていた相手にまた出くわしてしまうその娘・聡美。
その孫娘を可愛がる祖父と、視点を変えながら描いていきます。
背景にあった祖父の悲惨な体験が、哀切。
きちんと描写された手堅い出来映えです。
もがきながら生きていく切なさや、なかなか理解して貰えない内心のけなげさが、きらりと透明な光を放つようなのが、この作者らしい。
発表当時も読みましたが、再読。
とっくの昔にご紹介したつもりだったんですが。
直木賞のカテゴリを作ってみたので、探したら…な、ないっ。
ブクログの「sanaの本棚」をチェックしたら~2010年2月にアップしてありました。
しかも、その時既に再読とは…?
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