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おすすめ本

「真鶴」

川上弘美「真鶴」文春文庫

朝日新聞のなんだったか…投票によるベスト50冊に選ばれていたので、読んでみました。

京(けい)の夫・柳本礼は、13年前に失踪しました。
娘の百は思春期になり、大抵むっつりしています。
京は、出先からふいに思い立って真鶴まで来て、母と息子がやっている小さな旅館に泊まります。
娘を持つ母親にしては唐突な行動…京の母が、百の面倒は見てくれるのでしたが。

何かが付いてくる気配を感じながら、海辺を歩く京。
仕事で知り合った青滋(う~ん、漢字が変換できない…ホントはさんずいがないんです)とは、愛人関係。妻子ある男性だが、そろそろ終わりかける気配もしていました。
日頃はとてもおだやかな青滋ですが、夫を忘れない京に嫉妬することも…

なぜ真鶴なのか?
家族にもわからない、それは秘密があった…
夫の残した手帳に一言、真鶴とあったのです。
失踪した理由は全く知らないと人には言っていましたが、実は愛人がいたことは知っていたのです…

行きつ戻りつする心。
時には自分が殺したと思う。
死の世界から、こちらへ何かが近づいてくるような…たゆたうようなイメージ。
濃厚な空気感と、はかなさが、同時に感じられます。
これまでの作品を総合したような味わい。

「風花」

川上弘美「風花」集英社

夫に愛人がいると知った妻の、心の揺れ動きをじわじわと描いた小説。

夫の卓哉には愛人がいると匿名の電話で知った、のゆり33歳。
愛人は家庭を壊すつもりはないと言い、夫は離婚するならすぐにでもすると言う。
(ずいぶんね~)
卓ちゃんと呼んでいた夫に、それも違和感があったと言われて、卓哉さんと呼び始めます。
落ち込むのゆりは、夫とちゃんと話し合うことすら出来ないでいました。
何でそんなに平然としているのだと夫に逆ギレされて、平気じゃないとやっとの思いで言うのです。

兄のような叔父の真人に慰められ、病院の受付で働き始めるのですが…
そこでの出会いや、夫との会話のない日々、どうも愛人とは会っていないような気がするものの、やがて家を出ようと決心をして…

草食系女子のような、ふわ~としたヒロインは、作者と外見がだぶり、ある意味では分身かも。
ヒロインはもっと大人しいのでしょうが、そこはかとなく色っぽいし~夫が甘くみたほどではないのかも?

もやもやと進む日々に、いささか苛つかされますが。
夫婦がどうなっていくか決めかねる時期というのは、あるかも知れない。
なかなかリアルです。
2004年から2007年にかけて書かれた短編連作。
2008年4月発行。

「蛇を踏む」

川上弘美「蛇を踏む」文春文庫

1999年発行。第115回芥川賞受賞作。
「センセイの鞄」が受賞作かと勘違いしていて、しかも、この作品も読んだ気になっていたのが読んでなかったことに気づいたので、読みました!

表題作は、数珠を作って売る店に勤めるサナダという女性が主人公。
サナダって。
ある時、道で蛇を踏んづけたところ、踏まれたからしょうがないと蛇が立ち上がって人間の女性の姿になり、部屋に居着いてしまう。
母と名乗って料理を作り、いらだちつつも断り切れずにいると、なぜか体を巻き付けてきたりして。
夜はするすると天井に登り、寝ているのでした。
同じような現象が、実は勤め先でも起きていて…
お寺の住職の大黒さんが、実は蛇だという?
不条理でどこかとぼけた、少し色っぽい妙な小説。

「消える」は、家族が5人と決められた社会で起きる出来事。
ゴシキという先祖の霊が入っているとされた壺がある日消え、兄の姿が消え…
展開によってはSFの短編にもなりそうだけど。
管狐(くだぎつね)を飼うと良いことが起きるいう話があり、基本は妖怪好きなのかしら~というより作者自ら後書きで言う「うそばなし」!ですね、まさしく…

「惜夜記」は短編連作のような、悪夢のような、綺麗に磨き上げられた、つくりばなし。
「センセイの鞄」しか読んだことがなかったので、ややびっくりしました。
なるほどねえ…これが芥川賞かぁ。
「文学にはオチがないんだ」と友人のダンナが言ってたことを思い出しちゃいました。

著者近影が隅っこのカットでなく1枚入っているのは、ヒロインのイメージだから?やはり美人だからなんでしょうね~

「Teen Age」

「Teen Age」双葉文庫(角田光代・瀬尾まいこ・藤野千夜・椰月美智子・野中ともそ・川上弘美)

タイトル通りのテーマでの若手実力派?女流作家競演。
思春期の揺れ動く感情と、大人になれば懐かしいモチーフを扱って、みずみずしく気怠げで戸惑いつつも熱っぽい~若々しい息づかいが感じられます。
佳作揃いで、期待通りに読めるんじゃないでしょうか。
以下の要約はこれから読む人には不要だと思うけど、自分が作家の区別がまだつきかねているので、メモしておきます。

角田光代「神さまのタクシー」
 女子校で、カッコイイ憧れの上級生が放校されるのを、ふだんは仲の悪い同級生と見送る。
瀬尾まいこ「狐フェスティバル」
 転校してきた女の子を伝統あるお祭りに誘い、断られながら訪問し続ける地元の男の子。
藤野千夜「春休みの乱」
 親友の小清水さんには不思議な力があると信じる高校生…ホントなのかも!?
椰月美智子「イモリのしっぽ」
 進学先も決まった暇な時期、生物部の元部長の女の子は相変わらず部室やペットショップに出入りする。
野中ともそ「ハバナとピアノ、光の尾」
 ハバナでバイトする少年が、日本人の美女が恋人だったピアノ弾きを捜すのを手伝うが…幻想的なストーリー。
島本理生「Inside」
 母が入院した二週間の間に、家は崩壊の予感が。でも、真面目なBFとは進展が…!?
川上弘美「一美ちゃんのこと」
 予備校で知り合った一美ちゃんは、クロ-ン人間だという。しかも姉妹もそうだと。牛丼を一緒に食べたり、クローン牛を解放しようとしたり、というエピソードの不思議面白さと、のほほんとした語り口が印象的。

作風の区別がつき、日がたった今も内容をはっきり覚えているのは角田光代と川上弘美。
他に長編を読んだことがあるのはこの2人だということもあるけど、巻頭巻末を飾っているので力があるのも事実なのでしょう。
藤野千夜もちゃんと読んだことはないけど、区別はつくんです…
島本理生はあれでしたっけ…??
今後どこでお目にかかるか楽しみ~そのうち読んでみようとは思ってるんです。

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