「あの家に暮らす四人の女」

三浦しをん「あの家に暮らす四人の女」中央公論社

古い洋館に一緒に住んでいる4人の女性。
四姉妹ではありませんが、谷崎潤一郎の「細雪」へのオマージュらしい?

家付き娘の鶴代は、バツイチののんきなお母さん。
娘の佐知は、刺繍作家で独身、やや奥手。
女二人で暮らしているところへ、佐知の友人・雪乃と、その会社の後輩・多恵美が同居することに。
雪乃は美人でスタイルもよく、しっかりした女性なのですが、あまり特徴がない和風美人で、よく人に間違えられるという設定がとぼけていて、しをんさんらしい。
多恵美のほうは、ストーカーから身を隠すのが目的で引っ越してきたのでした。

この屋敷には門の近くに離れがあり、門番というわけでもないのですが、父親がいぜん使用人だった頃から暮らしている山田がそのまま、そこに住んでいました。
鶴代をお嬢さんと呼ぶ山田は、用心棒のつもりらしい。
鶴代とは別に男女の関係になったわけでもないのですが、長い付き合いで傍目にはしっくりいっているように見えることもあったり。

「細雪」は大好きな作品。
谷崎の奥さんの姉妹をモデルに、お嬢さん育ちの四姉妹の生活ぶりが、ゆるゆると描かれています。
家の跡継ぎのまじめな長女、妹達を預かっている明るい次女の幸子、とても美人だが結婚が決まらず見合いを重ねる雪子、一人だけ現代的で問題を巻き起こす妙子という四姉妹。
オマージュというほど似てはいませんが。
こちらは四人とも独身、という所が現代的?
結婚しなくても女同士の暮らしでも良い、他人の男と女でも曖昧な関係だって悪くないじゃないか?というような。

何気ない日常がゆったりと描かれ、このまま行くのかな‥?
と思っていると、世界が激変~ファンタジー風味に。
河童のミイラが家にあるというエピソードも笑えるけど、さらにこれが~~~
近所のカラスも、一筋縄ではいかない設定と展開で、仰天。
こうなると、ぜんぜん「細雪」ではないけれど、まあそのままでもつまらない?
謎のタイトルは誰の視点なのか?と思っていたら、こういうことでしたか!
結果的にはほのぼのする読後感で、面白かったです☆

「女子漂流」

中村うさぎ・三浦しをん「女子漂流―うさぎとしをんのないしょのはなし―」毎日新聞社

52歳になった中村うさぎと、30代の作家・三浦しをんの対談。
面白おかしく、ぶっちゃけトークです☆

横浜の中高一貫のミッションスクールの女子校に通っていたという共通点がある二人。
それ以外は正反対に近いのですが‥
同じクラスにいたとしても、派手なグループに属したうさぎと、地味なグループにいたしをんは友達にはならなかっただろうという。
ただし、カーストというか、上下関係はなかったそう。
うさぎ氏がブランド物を買いあさった原点は、そういうものをいっぱい持っている華やかな友達の輪の中にいて、そこまで買えない家庭だったから。
(謎だったんだけど、なるほどね~そういう友達、いたことないわ‥)

女子高では互いにずばっと指摘するようになるそうで、共学校出の人にそれをやると真顔で傷ついたといわれたとか。
これは知らなかったです~姉妹みたいに遠慮のない仲になるんでしょうかね。
それが自分の中に突っ込みを入れる魔女を育てることになり、自分の中の白雪姫(恋をすると出てくる)を昏倒させるというのが面白い。

整形手術を重ねてでも女子力アップして、まだエロス権力をふるいたいという中村さん。
対して三浦さんは、女子力を磨くのは面倒くさい、漫画が好きすぎて、他のことは実はどうでもよく、もてたいと思ってもいないのが本音という。
皆、大陸に大勢のまともな人が住んでいると思って、プレッシャーを感じているが、実はそれぞれの島にぷかぷか浮かんでいるだけなのでは、と意見が一致。

自分がすごく変わっているのではと心配している女性は、読むと少し安心できるかも。
面白かったけど~万人にはあまりオススメできません。
男性はショック受けるかもしれない?(笑)し~こういう女性は他に二人といない(‥いや数人はいるかも?)ので、女性はこういうものだという参考にはならないと思うから^^;

「政と源」

三浦しをん「政と源」集英社

幼馴染の老人二人を描く、しをん流男の友情と人生もの?
面白かったです。

政こと有田国政は、73歳。
元銀行員だが退職した今はやることもなく、妻は娘のところに行ったきり戻らずに3年。
源こと堀源二郎とは幼馴染で、生まれ育った墨田区に住んでいるので、何かと行き来しながら暮らしています。
源はつまみ簪(かんざし)職人で、早くに妻をなくしてやはり独り身だが仕事は現役、若い弟子もいて、にぎやかな生活。

堅物な政は、見た目は端正で白髪がふさふさしていますが、気ままな性格でも明るい源に呆れたり、うらやんだり。
政の視点から描かれるため、内心のひがみっぽさが何とも情けない。
妻の清子がなぜ出て行ったのか理解できず、自分はちゃんと働いて一家を支えてきたと自負しています。とはいえ、仕事仕事で家にはあまりおらず、妻に何もかもまかせっきりだったということ。

源の弟子徹平は元ヤンで、昔の仲間に絡まれていると知り、政と源は解決に乗り出します。
そういう事件が続く話というわけではないのですが、そういったことがありながら、政が人生を省み、少し心がほぐれていくという展開。
ついに思い立って娘夫婦の元にいる妻を訪ねると、気まずい会話になってしまうのでしたが‥
妻の立場から言われてみると、そりゃ~‥

徹平の彼女で美容師のマミちゃんも感じがよく、親に反対されている二人の結婚の世話をしようと、だんだん熱くなる政と源。
政は徹平に自信を持たせなければと、オリジナルの簪を作ってみろと提案します。
内心はグダグダ、とっつきは良くないようでも、政にも良い所があるじゃありませんか。
妻にはがきを書き続けるとは、彼なりの努力が微笑ましい。

政のような古いタイプの昭和の男は、若い女性には理解しにくい存在ですよね。
ある意味、不器用だけどかわいげのある人間として描いてあるのは、しをんさんの優しさかな。
挿絵が二人とも妙にハンサムなので、う~ん、お似合いの名コンビってことなのか?!

「神去なあなあ夜話」

三浦しをん「神去なあなあ夜話」徳間書店

「神去なあなあ日常」(映画化されましたね!)の続編。
田舎の村の暮らしが、いまどきの若い者の視点と口調で楽しげに語られます。
楽に呼吸できる気分で、読めますよ。

高校を出てふらふらしていた平野勇気は、和歌山県の山奥の神去村に送り込まれて1年。 林業にもだんだん慣れてきて、正社員になっています。
小学校の先生で年上の直紀さん(社長の清一さんの奥さんの妹)には告白してあるのですが、ドライブの誘いは3回に1回ぐらいしかオーケーしてもらえない恋人未満の状態。
村中にその有様は、バレバレという。

ヨキ夫婦の結婚のいきさつやら、夫婦喧嘩やら。
繁ばあちゃんのたくましさも笑えます。
清一さんとヨキの家族に昔、起きたこと。
山暮らしを舐めてはいけない厳しさ。
どこか不思議な村の風習。

清一さんの息子の山太とよく遊んでいる勇気は、クリスマスをやりたがる山太の気持ちを思い、皆で工夫することに。
楽しいですね~。
特別な濃さはないですが、人が生きているたくましさが何気なく伝わり、心地よく読めました。

「お友達からお願いします」

三浦しをん「お友達からお願いします」大和書房

このタイトルは、初めて出会う読者さん向けの挨拶らしい。
いつものエッセイよりも、よそゆき仕様(自社比)というエッセイ集。

ぷぷぷ。
やっぱり、爆笑ものエピソードが入ってます。
確かにまとまりのいい文章で、少し気をつけて書いている感じはあります。
テーマによっては、しをんちゃんとはすぐわからない?
でも勢いがあってわかりやすい文章、あるあると共感できるようなエピソードから突き抜けたエピソードまで、笑えて気楽そうでいてどこかに貫かれているあたたかさが、らしいんです。
初出を見ると~ほぼ直木賞受賞後のようですね。
それは確かに大人っぽくても当たり前!?

電車を降りるときに駅に着く前から揉みあってしまう件。
そうめんや雑煮の食べ方。
編集さんのエア新婚生活とか。
ボウリング最弱王決定戦をやってみたら。
駅弁を食べるタイミングとは。
家ではテレビを繋げていないため見れないので、蕎麦屋に行って、見たい番組を見ようとしたら。
最近のトイレはすごい、という話。「生き物じゃあるまいか?」の一行がおかしい~(最近うちは新型のにしたばかりなので!)

子供の感想文を指導する企画で、子供達にいろいろ違うパターンで考えさせるのが面白い。
「走れメロス」って確かに真面目に取り組むのも‥
違う視点で、(メロスに蹴られた犬の気持ちだとか)いまどきの子供はこんなに色々出来ちゃうんだと感心。

友人に貰った花瓶の話。
フリーターをしながら小説を書いていた頃、友人に「いざとなったら食わせてあげるよ」と言われたこと。
いい話でした。

旅行の話も多く、旅先で出会う人がまたいい感じ~。ほとんど引きこもりと別なところでは書いてあるんだけど、そうでもないような(時期が違う?)。
林業をやっている人の取材や趣味という以上に真剣な文楽鑑賞もあり、いざ行くとなると、すごく楽しんでますね!

お父さんが出番増えていて、これがほのぼのしたイメージ。
子供のころは必死にサンタを演出してくれていて、しをんさんはずっと実在を信じていたそう。
「お前がころっとだまされるから、こっちも引っ込みがつかなくなった」んだとか。

弟さんはちょっとしか出てなくてやや物足りないけど、エピソードは面白かった~。
お祖母さんがかくしゃくとして強気なのも、何だかそれらしい説得力。3階まで歩くのに少し息切れがするので年齢を感じるという90歳なのだ。
祖母がなくなったときに初めて感じたことも。

お母さんがこんなに強烈な人とは知りませんでしたよ。
「理不尽の権化」は2006年初出。
母親とは理不尽なもの、というのは心当たりがないでもないです~。
が、ここまで凄くない‥と思う、我家だけでなく普通は。
作家の家族がどこか強烈なものを持っているのは、あるいは才能と近しい素質の表れなのか?
肝が据わったお母さんのような気もするし、ご家族のハーモニー全体は、なんだか素敵に楽しそうに見えるんですけどね。

「本屋さんで待ち合わせ」

三浦しをん「本屋さんで待ち合わせ」大和書房

三浦しをんの書評&エッセイ集。
大の本好きのこと、どこがどんなに面白いのか!喜びあふれるいきいきした指摘が楽しい。
取り上げた本はとても広範囲~読売新聞の書評欄で書いたものが多いから、よけいでしょうか。
自分の体験も交えて、笑わせてくれるのは、いつものしをんちゃんです。

『どうしてこんなに本や漫画が大好きなのか。読まずにいられないのか。たまに自分がこわくなる。ほかにすることあるだろ、掃除とか、洗顔とか、ダイエットとか』というのに爆笑。
洗顔て。
ベッドに積み上げた本の山が崩れてきて全身を覆われ、重いけど、暖かい‥
というところで、キュリー夫人が寒さをしのぐために椅子を身体の上に載せたという(子供の頃に読んで強烈に覚えているらしい)のを追体験?したり。

ひとつのテーマのもとに、複数名の人物の評伝を集めたものを、「星座読み」といっているとか。
平家物語の登場人物の多さと似た名前ばかりなのに閉口して、あだ名をつけて「愛称読み」しているとか。
『とくに平家のみなさん、名前の最後になんでもかんでも「盛」の字をつけるのはやめてくださらんか!』って‥
わかるわ~。「頼」も一家に一人限定にして欲しいぐらいよね!

職業について書かれた本はたいてい面白く、小説の設定のために調べ始めても読みふけってしまうとか。
「漢字は日本語である」という本の著者は、小学1年の夏休みの自由研究で自分なりの漢和辞典(ノート2冊分)を作ったという~す、すごいっ。

読者からの、寛容になれないという手紙にたいして~
「たったひとつの冴えたやり方」や「絶対貧困」を読んでの感想を紹介し、
『怒りの大半は「理解できない」「理解されない」がゆえに生じる気がします。「相手を知りたい」「自分を知ってほしい」という願いを諦めてしまったら、怒りすらわかなくなるでしょう。そう考えると、もっと怒ったっていいのかもしれませんね』
というところへ持っていく。
なるほど‥こういう気持ちのもちようがすがすがしいですね。
少女マンガにみゃくみゃくとある正義感が芽吹いている気がします。

中島敦や太宰治など、有名な作家についても、切り口が面白い。
萩尾望都原画展で、線がまったく枯れずに瑞々しいのに驚嘆し、その理由を考えるところとか。確かに‥
(あ、「マージナル」大好き!)
共感するところもいっぱい。

読んでみたい本もたくさん!
ピンと来なかった本は取り上げないという方針には共感します。
それでも多すぎて、どうしよう~中には、このエッセイの文章が一番面白くて読んでみたらそれほど私好みじゃなかった‥というのもありそうな気がするんだけど、そのへんどうなのか?見抜くのが大変だわ。

4章では、歌舞伎の東海道四谷怪談についてのエッセイも。
伊右衛門の悪の魅力。忠臣蔵とのかかわりとか。そういや、なんで東海道なんだろう‥?などと。
中村勘九郎のお岩について書かれていたのも面白かったです。
あれもこれも‥本のタイトルをメモしなくちゃ!

「黄金の丘で君と転げまわりたいのだ」

三浦しをん・岡元麻真理恵「黄金の丘で君と転げまわりたいのだ」ポプラ社

三浦しをんのワイン入門。

お酒は好きだけどワインの事は知らない出版社の編集さんも含めた丁稚と称する面々が、17回にわたって、ワインの指南を受けます。
その様子を面白おかしく描いた部分と、先生の整理して書いた豆知識とで成り立っています。
主な産地や葡萄の種類の名前などは、覚えても損はないでしょう。

しをんさん、お酒なら何でも好きなんだそうで~
試飲のときは口に含んだワインを吐き出すものなんだけど、それがもったいなくて飲んじゃう。これは丁稚のみなさん、同じ。
しをんさんは名前を覚えられないというけど~表現力もさすがだし、テイスティングで上手く当てると、こっちまで何となく嬉しくなったりして。

毎回、楽しそうに飲んでるけど~最後までろくにワインの名前を覚えられない丁稚たちの有様で、敷居が低くなるのはいいかもね。
すごくたくさん実例が出ているので、飲める人ならいくつか買って飲みながらだと、いっそう楽しめるかも!
リーズナブルな割りに美味しいタイプや、好きなタイプを見つける方法、プレゼントにどんなワインを持っていくかの決め方なども載ってます。

私は高いワインを一度だけ飲んだことがありますが、これが複雑な味わいで、よくいう「革のような香り」とか「草原を渡る風がナンたら」とか、ああいうのが思い浮かんで、「本当だったんだー!」と感激したことがあります。

アルコール分解酵素が少ないらしくてお酒は弱すぎるんで、ちょっとね‥うちにあるの、2年前のボージョレヌーボーだけで、これが飲んでみたら美味しくないので料理酒決定。
いっそ赤玉ポートワインみたいなのが良いのかも?とスーパーで探し、小瓶のテーブルワインを買ってきましたよ。
これがけっこう美味しかったです~この程度のから色々、楽しんでいくのも良いかもね♪

「いつか、君へ Girls」

三浦しをん他「いつか、君へGirls」集英社文庫

いつか、君へ。
このテーマで書かれたアンソロジー。
いつだったか遠い昔だけど~少女だったことがある身には、何となく馴染む感覚がありました。

三浦しをん「てっぺん信号」
高一の江美利は、地味でずっと学校で友達がいませんでした。
転校生と近づきになろうと計画し、何とか友達になることに成功。
その竹田しづくは、かなり綺麗な子だったのです。
外見にコンプレックスのある江美利には、まぶしい存在。
窓際の席で外を眺めていると、対岸の丘の上から、モールス信号で「元気ですか」とまたたく光が‥
ある日、江美利は?
老人ホームにいる女性の言動がユーモラスで、ラストもいい感じ。

島本理生「きよしこの夜」
姉が自殺してしまった高二の女の子。
武田くんに告白されましたが、受け入れることができない。
つかず離れずの微妙な関係が、リアル。

関口尚「カウンター・テコンダー」
ライバルを倒すために、闘い方を変えたいと、指導を求めてきた女の子。
異色なスポーツ話。

中田永一「宗像くんと万年筆事件」
小学生のとき、人の万年筆を盗った疑いをかけられた女の子。
家が貧乏な宗像くんは、お風呂にも入らず、皆に遠ざけられていましたが。
まめに皆に質問して推理し、ついに濡れ衣を晴らしてくれた、英雄なのです。

橋本紡「薄荷」
付き合っている相手がいる女の子。
クラスには個性的な子もいますが、自分はそうではないと自覚しています。
それでいいんじゃないかなあと何となく思う日々。

今野緒雪「ねむり姫」
SFで、意表をつかれました。
ねむり姫は王子と出会った途端、すぐ結婚する気になれたのだろうか?それで良かったのか?という疑問からの発想。
とある惑星に不時着した16歳の少年OG。
茨を切り分けて中に進むと、前に不時着したらしい少女が、ドレスを着てカプセルの中に眠っていました。
遺伝子に傷がついて女性が生き延びられない宇宙で、100年後に望みを託してコールドスリープしていたのです。
大いなる者の意志?とはいえ他の誰かに勝手に決められた相手なんていやだという少女エヴァンジェリン。
その気持ちを理解できなかった少年ですが‥

少女の内心をすぐ推測できなくて、遠い目になってしまいました。
「そんなんじゃなくて、君が好きなんだ」と言って欲しかったわけね。んまあ♪

テーマにぴったりなのかどうか?というと~ややばらつきがある気はしましたが、読んで損はないと思います。
いろいろな味が楽しめるのが、こういう本の面白いところ☆

「ふむふむ―おしえてお仕事!」

三浦しをん「ふむふむ―おしえてお仕事!」新潮社

インタビュー集。
技能を生かして仕事をしている女性が対象です。
インタビューする方もされる方も、楽しそう。
いろんな仕事があるもんですねー!

取り上げられているのは~
靴職人、ビール職人、染織家、活版技師、女流義太夫三味線、漫画アシスタント、フラワーデザイナー、コーディネーター、動物園飼育係、大学研究員、フィギュア企画開発、現場監督、ウエイトリフティング選手、お土産屋、編集者。

夫婦で履きやすい靴を追求している靴職人さん。
ここの靴、ほ、欲しい~。

化学工学を専攻して工場の設備を作る方面から入り、製造の方へ回ったビ-ル職人さん。
人間が味を見てもう少し置いておくとか、あの工場の水は違うとか、あの人が造るビールは美味しいとか、色々あるって初めて知りました。

ひたすらペンギンが好きな飼育係さん。
天職ですね!

バンダイのフィギュア企画開発。
あの小さな…ひょえ~当然ながら、ものすごく絵が上手いそう。

高校時代から雑誌編集部に入り浸っていて、コーディネーターになった人も。
グラビア撮影の現場は楽しいとか、考えたこともなかったけど。言われてみれば楽しそう。
土産物屋さんっていうのも、いろんな展開があるんだなあ。
編集さんもこれがまた、名物編集者らしい。

合う仕事をしている人の輝きが、何ともさわやか。
こういうのを若い人は目指したくなるよね。
でも最初からこの道と決めていた人ばかりではないし、何が向いているかというのも実に色々な要素があるのよね…
そのへんにまた感慨が。

「舟を編む」

三浦しをん「舟を編む」光文社

辞書の編纂をめぐる人間ドラマ。
別館にある編集室で、わずかな人数で、何年もかかって。
熱意を込めて仕事をする良さが描かれます。
その人の能力がどんな風に生かされるか。
メインはこれと見込んで引き抜かれる編集者。その名も馬締(まじめ)くん…
営業部では浮いていて、お荷物だった彼が…

玄武書房に勤める荒木は、辞書編集部員一筋でやってきましたが、定年を迎えることに。
30年以上共に辞書作りをしてきた松本先生と「大渡海」という辞書を作ろうとしていたので、後任を探すと請け合います。
後輩の西岡は調子のいい男で、それなりに役には立つけれど言語感覚はあまり無いからでした。

辞書作りは、気長で細かい作業。
執筆者に依頼するだけでなく、偏向を抑え、他の辞書と比較検討もし、紙数やレイアウトに合わせての訂正もしなければなりません。
何年も丁寧な仕事を続け、そのうちに時代が変わっていくのにも対応していくのです。
荒木は、営業部で27歳の馬締光也を推薦されて、出会います。
整理したがる性格や言語への興味と執着など、才能を見いだす下りも面白い。

「辞書は、言葉の海を渡る船だ」
もっともふさわしい言葉で、性格に、誰かに届けるために。
「海を渡るにふさわしい舟を編む」
荒木と松本に託された馬締は?

お気楽な西岡と馬締の迷コンビ。
移動する西岡の内心の思いに、ぐっと来たり。
馬締の下宿先のタケおばあさんとの気楽な暮らしや、その孫娘で女板前の香具矢との恋。これが不器用でほのぼの。
さらに年月が過ぎて、新しい編集者・岸辺みどりの登場。
製紙会社の宮本と、辞書にピッタリの薄くてめくりやすい紙を研究し続けることに。

向いていないようでも、何かしら、役立つ道はある。
脇役もそれぞれに異なる存在感があり、意外な恋愛模様も。
どことなくおかしみがあり、とぼけた雰囲気が漂います。
所々ぷっと吹き出してしまう細部の書き込みに注意。
思い出しても、にまにま。
元気が出ますよ~さすが、しをんちゃん☆
今年の本屋大賞をみごと、受賞しました!
直木賞受賞作家が本屋大賞もというのは初めてだとか。

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