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おすすめ本

「坂木司リクエスト! 和菓子のアンソロジー」

坂木司ほか「坂木司リクエスト! 和菓子のアンソロジー」光文社

坂木司が「和菓子をテーマに、忘れがたい作品を」と依頼して出来たアンソロジー。
一番好きな作家に一番好きなテーマで作品を書いてもらう企画の一つ。

「和菓子のアン」の坂木司ですよ~しかも、近藤史恵や畠中恵も書いてるのです。
これが読まずにいられましょうか。
バラエティに富んでいて、予想外の味わいを楽しめました。

最初の「空の春告鳥」が坂木司。
「和菓子のアン」の続編というか。休日にもデパートの和菓子売り場へ行ったアン。
もっと読みたいお菓子たちと人たちです。

「トマどら」 日明恩
警察官が行きつけの和菓子屋での妙な出来事に気づき‥
トマトドラ焼き、食べてみたくなります。

「チチとクズの国」 牧野修
自殺しようと思いつめて誰もいない実家に戻った男。
そこで父親の幽霊に出会い‥?
気の合わなかった父子だが、意外な共通点ができていました。

「迷宮の松露」 近藤史恵
仕事に行き詰まり、モロッコへと、あても期限もない旅行に出た女性。
異国情緒溢れる世界で、思わぬ和菓子との再会することに。

「融雪」 柴田よしき
ペンションを経営し始めて1年の若い女性。
新鮮な材料で、毎日メニューを工夫しているある日‥

「糖質な彼女」 木地雅映子
ひきこもりの少年が母に連れられて病院へ行き、消えたアイドルに出会います。
病院付属の和菓子を作る作業所があり‥

「時じくの実の宮古」 小川一水
近未来の日本。なんとSFです。
熱帯化が進み、南には人がほとんど住んでいない。
和菓子職人の父と子は、和菓子が盛んだった伝説の土地へと旅をします。
互いに工夫した和菓子を出して勝負しながら‥

「古入道きたりて」 恒川光太郎
南方の洞窟で出会った日本兵二人。
戦前の思い出を聞かされ、帰国後にその土地へと旅をします。
山の中の一軒家に泊まり、古入道を見られるかと‥

「しりとり」 北村薫
歌にこめられた謎を解く話。
夫婦の出会いを思い出す情感。

「甘き織姫」畠中恵
新婚夫婦のもとへ友達が集まって串揚げパーティー。そこへ、難問を抱えてきたのは学生時代以来久しぶりのの友人。
凝りまくった友人の変人ぶりが際立ちますけど、悪気はなさそう。

あまりにも変化に富んでいるので、どういう薦め方をしたらいいのかと紹介が書きづらかったんですよ。
でも風変わりな話もいつまでも覚えているので、これは‥一生覚えているかもしれない!?と。
知らない作家さんに興味を持てたことが良かったです☆

「鷺と雪」

北村薫「鷺と雪」文藝春秋

最近の直木賞受賞作。
直木賞候補に6回もなった上にやっと…
「街の灯」「玻璃の天」に続く三部作の完結編。
「街の灯」は2008年4月にアップしてありました。

舞台は、昭和初期の東京。
女子学習院に通う社長令嬢で、利発な花村英子が主人公です。
戦前ですから~身分が高いお嬢様が一人歩きなどはしない時代のこと。
一人で活動したがる英子のために、物わかりのいい父親が運転手兼ボディガードを雇ってくれたのです。
女性を選ぶというのが斬新だったのですね。その女性・別宮みつ子は父親の知り合いの娘さんでした。
すぐに好感を抱いた英子は、ベッキーさんとあだ名をつけます。彼女は知的で身体もきいて、すごく頼りになる~姉のような存在。
二人コンビの探偵役で、活躍します。

ベッキーというのは、本好きな英子がたまたま読んでいたサッカレーの「虚栄の市」のヒロインで、下層階級の出だが美貌で頭の良い野心的な女性。
夢中になって読んでいたとはいえ、ちょっと失礼なような気もしないではないですね。
英子も途中で気がついて赤面するのが微笑ましいところです。

もともと若い女性の視点で描くことが多い北村さん。
違和感ないので、私は最初女性かと思っていましたよ。
プロフィールや写真を当初は秘密にしていたんだったかしら。

財閥といえども、いわば成り上がり。
華族のお嬢様方もいる女学校の中では特別な存在ではなく、気取りのない英子さん。
身分に絡むような、ちょっとした事件がありながらも、まっすぐな少女時代の罪のないひとときを描いたものですが~
歴史の荒波が次第にひたひたと迫ってくる気配が、この最終巻ではあります。
それが不幸の予感だけではない、清冽な雰囲気もたたえているのがいいですね。

ちなみに直木賞候補になったのは「スキップ」「ターン」「語り女たち」「ひとがた流し」「玻璃の天」…
「ひとがた流し」でとれば良かったんじゃないかしら。
「語り女たち」だけ読んでないので、読もうかな~。

「名短編、ここにあり」

半村良・他「名短編、ここにあり」ちくま文庫

北村薫・宮部みゆきの編による選りすぐりの短編集。
半村良「となりの宇宙人」黒井千次「冷たい仕事」吉村昭「少女架刑」といった作品が並びます。
ミステリに限定ではないのですが、ややブラックなのが多めなので、そういうのが好きな人向け。

半村良のは、落語みたいなノリで楽しい~どこかで前に読んだかも。
吉村昭のは意外、こんなのを書いていたんですね。
ショーに出演して働かされる貧しい少女という設定や文体は古めかしいが、それがレトロな魅力だったりします。献体に出された少女の魂が語るというセンスや、どこかひんやりとするような描き方は、現代的すぎるぐらいかも。

城山三郎のサラリーマンの哀歓を描いた作品などは、こういうのあるだろうと予想してましたが、自分では経験のない話なのでそれなりに面白く。
木乃伊の話なども、意外性があって興味深い。
殺人をもくろんで無惨に失敗する話は、ミステリとしたら無理があるけど~シリーズだったらしいので軽い読み物ってこと?
円地文子の「鬼」などは、やや平凡な気がするけど~当時としては鋭い指摘だったのかな。女の怖さをじわじわ描くのは長編でもそうでしたね。

総じてかなり面白い方ではありますが、やや古い…
昭和の雰囲気をもの語る作品、といっても良いのかも。
北村薫と宮部みゆきがこういうのを読んで育った、という読み方も出来ますね。
取り上げられた作家それぞれの経歴なども載っているので~よく知らない日本の小説をちょっと読んでみたければ、参考になるかな?
と私は思って読んでみました~!

「街の灯」

北村薫「街の灯」文春文庫

15歳のお嬢さんを主人公に、昭和初期の上流階級の世界を描くシリーズの一冊目。
2002年に書かれた作品「虚栄の市」「銀座八丁」「街の灯」3作収録。

女子学習院に通う花村英子は社長令嬢。
本好きで、好奇心が強く、頭の回転が速い。
華族令嬢にも友達はいるが、それよりはだいぶ気楽な暮らしぶり~といっても当然のようにお出かけには振袖を着て「ごきげんよう」と挨拶しあい、運転手や女中頭のお供がなければ外出もままならない。
学校の送り迎えをする運転手に若い女性の別宮みつ子が雇われます。これは異例のことで、父の知り合いだったから、娘に少しは社会勉強をさせるための案内役と護衛にという気持ちもあってのこと。
ベッキーさんと呼んで、すっかり仲良くなり、一緒に小さな事件を解決していきます。

世間を知るクールで控えめなベッキーさんがやたらカッコイイんです。
壮士もお坊っちゃまも圧倒する文武両道、必殺・男装の麗人?運転手!
この段階では正体は不明で、事件の推理もけっこう少女の方が中心です。
優雅さ漂う暮らしぶりとちょっと懐かしいような銀座の風景などが楽しい。
レトロな魅力がありますが、実は5.15事件とか剣呑なことも起こっている時代なんですね。江戸川乱歩を良家の子女は読んではいけないというあたりも面白い…ま、そうでしょうねぇ。
2作目を先に読んでピンと来なかったんですが、こっちが先の方が良いですね。

北村さんをアップするの、このブログでは初めてかなぁ。
初期の物は8割方読んでると思います。
血なまぐさい事件がなくて、素直な女の子がヒロインで、心安らぐ感じが貴重だったから~いいんですよね。
女3人の友情と闘病中の遅ればせの恋を描いた「ひとがた流し」はとても良かった!直木賞とるべきだったと思ってます。

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