「フランクを始末するには」
アントニー・マン「フランクを始末するには」創元推理文庫
切れ味鋭い短編集。
かなりの傑作です。
アイデア豊富でブラックユーモアもあり。
レシートだけで構成された短編という意欲作も。
探偵小説のシリーズを始めたくとも、どんな職業も既に使われてしまっていると編集者につぎつぎに却下されるという大笑いの一幕も。
「マイロと俺」は、「天真爛漫計画」という奇抜な発想で、赤ん坊が刑事として配属されているという設定。
相棒のマイロが行く先々で好奇心のままに行動するのを世話するうちに、事件は解決。
主人公の心にも、何かしら変化が起きていました…
「フランクを始末するには」は、大スターのフランクが長生きしているので、追悼番組で儲けたい面々が暗殺を依頼してくるという。
依頼を受けた殺し屋がフランクの家に行くと、フランクはお見通しで、殺し屋の名前も知っていました。
そして…?
奇想天外な展開で読ませます。
苦みもあるけど、それだけじゃない。
「契約」は、犯罪に巻き込まれた被害者側の様子を描いた作品。
報道に晒される俗っぽい人間模様がしっかりと。
父親の態度に、失った子への一筋の真摯な思いが、感じられました。
オーストラリアの作家。
「フランクを始末するには」が1999年、英国推理作家協会短編賞を受賞しています。
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