「中庭の出来事」

恩田陸「中庭の出来事」新潮社

2007年の作品で、たくらみに満ちた複雑な構成のミステリ。
ホテルの中庭で行われたパーティで、再婚したばかりの劇作家・神谷華晴が毒によって謎の死を遂げます。
「告白」という一人芝居を演じる女優を選ぶために、3人の女優をオーディションしている途中のことでした。
大女優、中堅の個性派、若手のサラブレッドという~まったく違う3人。
しかも、女優自身の人生の要素を交えて脚本を構成し直そうという野心的な企画。何か裏があるのでは、という可能性も…?

事件と、オーディション、捜査段階で繰り返されるシーン。
そのたびに少しずつ変化していく供述と推理。
劇作家・神谷のインスピレーションの元となったらしいのが、新宿のホテルの中庭で起きた若い女性の死。これについての推理も随所に挟まれてきます。
さらに、山の中の廃駅を劇場にしたという場所での舞台公演をめぐっての話も絡んできます。

ただのミステリじゃ物足りない!?という人向けの知的遊戯というのか~迷宮のような感覚を楽しめれば面白いでしょう。
作者の演劇好きも感じられて、女優のオーディションというのは面白いのですが~ちょっと、過程がややこし過ぎて、解決した感覚が起きないのが難かなあ?

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桜祭りのステージ

Vfsh5144フラメンコを踊る人達~
華やかなスカートを操って
すごい勢い!

Vfsh5158お祭りの仮設舞台なので、
周囲もお祭り気分で賑やか!なんですよ。
本格派の先生のソロはちょっと気の毒ですが~
見応えがありましたhappy01
Vfsh5166
宴の後…
桜もまだけなげに残っていてくれました。

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「似せ者」

松井今朝子「似せ者」講談社文庫

江戸時代の歌舞伎役者をめぐる短編集。
テンポの良い語り口で、読ませます。
帯のコピーに「芸に生きる人間達の愛、業、切なさ、人情」とあります~なるほどね。

一作目の「似せ者(にせもん)」
名優・坂田藤十郎の番頭を30年もつとめた与市が、藤十郎の没後、そっくりな旅回り役者に二代目を継がせる顛末を描きます。
「狛犬」
悪役の似合う助五郎とぼーっとした広治。
対照的な若い役者2人の微妙な葛藤と皮肉な盛衰を、幼馴染みの女性を絡めて、助五郎の視点から描きます。
「鶴亀」
一世一代のはずの引退興行を繰り返す人気役者・鶴助と、仕打ち(興行師)亀八の奇妙な関わり。
「心残して」
囃子方の見習い・巳三次とたまさかお囃子に加わった若いお侍の出会いと別れ。「心残して」というのはお侍の歌った幕切れのせりふ。切ないです。
どの作品も情景が生き生きとしていて、まるでその時代に生きていたよう?

作者は53年京都生まれ、松竹に入社して歌舞伎の企画製作に携わった経歴。97年小説デビュー。この作品は直木賞候補にもなっています。

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「エル・アルコン」

青池保子のコミックを原作とした宝塚の舞台を見てきました。
星組で、主役のティリアン・パーシモンは安蘭けい。
女海賊ギルダに遠野あすか。
ルミナス・レッド・ベネディクトに柚希礼音。
宝塚は久しぶりなので、すっかり代替わりしていて、知らない人ばかり…

16世紀後半、イギリスとスペインとフランスが海の覇権を争う時代。
イギリスはエリザベス女王の治世、スペイン系の母を持つパーシモン家の御曹司ティリアンはスペインに憧れていました。
多くの愛人を同居させている父は、自分の事は棚に上げて妻とその従兄の不貞を疑い、見るからにスペイン系の黒髪のティリアンは父に疎まれて、友達もなく育ちます。
野望を秘めて海軍に入り、異例の昇進をとげて大佐となるティリアンは、船乗りとしては優秀で部下には尊敬されるが、人を愛さない冷たい目をした男。
大商人ベネディクトを陥れてスペインのスパイとして処刑させ(自分がそうなんですが)、ティリアンを恨むベネディクトの息子のルミナスは、海賊レッド(といっても義賊)となってティリアンとの対決を目指します。
女海賊ギルダはもともと貴族として所有するウェサン島を守るためにスペインと争い、ティリアンとは良きライバル?として何度か邂逅を持ちます。傷だらけの誇り高い女性に、いつになくティリアンの心も動き、ウェサン島は侵攻すまいとするのですが…
実の父かも知れない母の従兄までも反逆罪として葬り去り、ティリアンはついにスペインに亡命、間もなくイギリスと無敵艦隊との闘いが始まり…

舞台は主要人物総登場のシーンから、まず少年時代のエピソードへ。
一気に派手な赤い衣装の大人になったティリアンへと転換し、レッドの父を陥れる場面へ。時代色の出ている衣装は特にマントが素敵です。
細面の暗い美貌のティリアン、目元が原画に似ていました。レッドは明るい存在感があって、声質も違い、良い対比になっています。
海軍としての活躍は多少はしょってありますが、愛憎半ばするギルダの存在はクローズアップされてます。娘役トップ、しっかりした演技でした。
付き従う少年ニコラスが可愛いんだけど~セリフは少ない。若手なためらしいですね。

ティリアンは悪い男なので、昔の宝塚では出来なかったでしょうね。
青池さんの絵だとめちゃくちゃ迫力があってセクシーなのです。
ストーリー的には、レッドを主人公にした「七つの海七つの空」でティリアンを敵役という展開もありかな?
でも、圧倒的な魅力を持ち作品世界を支配するティリアンは、トップ男役にふさわしい役柄ですね。
劇評で「次々に女性をレイプし、その女性が恋に落ちてしまう展開」みたいな書かれ方をしてましたが~それは違う!レイプじゃないんですよ。
途中でクラッとさせているので、強引ではありますが~ちゃんと口説き落としてるわけです。
悪い男だから、恋しても幸せになれるってわけじゃないですけどね(^^;

宝塚を最後に見た時(4年前?)とはそんなに劇場は変わっていないと思うのですが、10年以上前の印象の方が強いので、昔よりずっと音響が良いのに感心。音そのものをちゃんと聴いていられますね。
全員のスタイルが良くて顔も小さく、漫画とのギャップが大きくないから見ていて何となく楽ですね(^^)
ショーは夢の世界だわ~。
カラフルで、次から次へと繰り出されるドレスやかっこいいタキシード…
ラインダンスが大人っぽくて良かったです。
タンゴ調で黒い衣装のせいもあるけど、昔は健康的で可愛いダンスの方が多かったと思うの。今はずっとハイレグになった衣装で脚の長いこと~みんな綺麗でした!

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「あやつられ文楽鑑賞」

三浦しをん「あやつられ文楽鑑賞」ポプラ社

文楽!どれぐらい人気があるのでしょうか?
人形を生で見たら、綺麗なんでしょうねえ…(そういう関心か?)
文楽と人形浄瑠璃は同じ物を指すそうです。
伝統芸能に興味はないではないんですけど、まだ舞台を見に行った事はありません。どっちかというと、その前に歌舞伎をもっと見たいかな…

思い浮かぶのは~玉三郎が「櫓のお七」というのだったか?人形ぶりでやった演目。元は文楽の演目だったのを人間がわざと人形のような動きでやるのが、チャーミングなのです。
文楽の方が歌舞伎より先に隆盛だったという事なのか、歌舞伎の演目は文楽でヒットした題材を使ったのも多いらしい。それで、似たのが多いんですね。

それと、お姫様が狐と湖を渡るシーンというのをテレビで見て、衝撃を受けたことがあります。あれは一体何だったんだ…という迫力のあるもので、恋人会いたさに諏訪湖を渡る時にお狐様が助けてくれるというか~取り憑かれた状態になっちゃうんですね。筋がやっとわかりました!
初心者が見るには、派手で良いんじゃないですかね~。

章毎に一つの作品を取り上げ、しをんさん流ミーハー精神での突撃インタビュー付きで、楽屋を拝見したり、近々と観察している様子が面白い。
とはいえ、初心者というには~かなり、はまっていますね。
なめらかな名調子だとかえって眠くなる事が多いとか、でも大事なシーンになるとオーラが漂ってきて、はっと目が覚めるんだそうです!?
わかりやすい文章なので、これを読んだら興味を持つ人が増えそうですね。

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「あかねさす紫の花」

「あかねさす紫の花」

宝塚の舞台をテレビ放映した物の録画をお友達から貰いました。
昨日今日とベッドの上で見ました。
面白かったです~。
いぜんに別キャストでのテレビ放映は見たことがありました(轟さんの中大兄が良かったんです)が、この配役は初めて。
中大兄を春野さん、額田を大鳥れいさん、大海人を瀬奈さん。
(ニックネームで書けるほど通じゃないんですよ)
大鳥さんは生の舞台を何度も見ていますが、想像通り、華やかで生命力豊かな中に秘めた哀しさも感じられて、合っていますね。
春野さんは明るい若者役のイメージのままでしたので、堂々たるトップぶりに感動~端正で酷薄、でも理想に燃え、額田に対しては押しの一手!の強引さがまた良かったりして。
瀬名さんは優しく誠実な弟。大海人はもっと体格が良い男性のイメージですが、それは現実~ここは悲恋の人で、あくまで二番手でありながら見る者の涙をそそる純情ぶりが素敵です。
つい先日、すますまで見た時は長身の印象でしたから、この時は役作りで少年ぽくしてたんでしょうね。

蒲生野の宴の日、娘の十市が15歳になったという設定で、額田が「二人の皇子に初めて出会ったのも15歳の時~こんなに幼かったのかしら」という回想で始まります。
十市を生んで皇子達の母である女帝に見せるために宮廷に上がった日、中大兄に恋されてしまう、という展開。
子供をなしたばかりで夫を捨てるみたいで額田としてはどうなの、って感じですが~
数年にわたる展開を踊りで処理して~額田の姉は鎌足の元へというのも含め一気に三角?四角?関係の組み合わせ変更となります。

脇筋に、少女時代の額田を知っていて憧れる仏師が天智にかしずく額田を見て絶望するというのが入ります。
なんか微妙になっとくいかない…?
あ~それなりに良い役を作るためかな。
うえつかたの恋は半ば神話みたいなもので、しょせん理解を超えてるし…
彼の場合は傍で尽くしてくれる妻の良さを再認識すべき!なのね!?

当時は通い婚なので、離婚は夫が通わなくなれば成立という時代。
身分が高いともっと公然となるとは思うけど、女帝も再婚しているぐらいですからねえ…
どう考えても中大兄の強い意志には逆らえない状況だったと思うし。
といっても中大兄との間がどの程度だったかは異説有りなのよね…妃の地位にはついていないので(それが作為の可能性もあるけど)
しかも、実際には女性が2人や3人じゃなく、10人も15人も絡んだ話なんだけど…………(@@;

いかにも華麗で見て楽しい~夢のような舞台です。
アレンジされた衣装もどうせ余りよくわかっていない時代なので、豪華すぎるみたいでも気にならないし、ハイウエストで薄布をまとったあのスタイルでの踊りならではの動きも楽しめます。
何よりも額田が美しい~一目惚れされるのも必要とされるのも、十分納得のいく魅力は素晴らしいですね(^^)

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