「蛇、もっとも禍し」

ピーター・トレメイン「蛇、もっとも禍し」創元推理文庫

フィデルマのシリーズ3冊目。
ちょっと前にご紹介した短編集「修道女フィデルマの叡智」を別にして、「蜘蛛の巣」「幼き子らよ、我がもとへ」に続く長篇。(翻訳順で)

女子修道院の井戸で死体が発見され、尼僧にして法律家でもあるフィデルマが派遣されます。
若く美しいフィデルマは、ドーリィーという法廷弁護士の資格を持ち、しかも上級のアンルーという位にありました。

依頼されて向かう途中の海路で、漂流しているゴールの商船を見つけ、無人なのに驚きます。
しかもその船の中には、かってフィデルマが修道士エイダルフに送った本が‥!
1年半も会ってはいないのですが、信頼し合う仲の彼の身に何かが?
乗ってきた船バルク(小型帆船)の船長ロスに、フィデルマは海岸線の調査を頼みます。

さて、事件現場の女子修道院の院長ドレイガンは、向かい合う土地の代官アドナールとなぜか激しく対立しています。
実は兄妹で、過去に確執があったのでした。
断崖や海岸線など風景描写も魅力的。作者自身が子供の頃によく行った土地だそうです。

7世紀のアイルランドという時代が興味深い。
「三つの泉の鮭」という修道院の名前も面白いですが、これはキリストを指す異名の一つ。実際にこの地には三つの泉があることにもかけてあるとか。

王の妹でもあるフィデルマは、地方の反乱の兆しに驚愕することに。
古代文字を書いた札を腕に結びつけられていた死体。
発見者を殺人犯と決めつける若い修道女達が騒動を起こします。
修道院に時折響く~怪しげな音。
代官のもとへ向かうフィデルマを襲った貴族達は…?
この地で何が起ころうとしているのか?
色々な要素があって、盛り上がります。

嫌な人間が多いんですが、その理由がわかってくる場合も‥
船長のロスなどはいい人!
修道士エイダルフとの再会が嬉しい。
この時代の修道院では結婚が認められ、子供をその中で育てていたというのにはびっくりでした。
エイダルフとの関係も、心に秘めた思いだけでなくてもいいわけなのね‥国籍違うし、ゆ~っくり進みそう?

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「悪魔の調べ」

ケイト・モス「悪魔の調べ」ソフトバンククリエイティブ

「ラビリンス」に続く第2作。
前作では、中世フランスの城に住む女性の物語と、南仏を訪れた現代の女性が、精神的に感応するような展開でした。
今度は、19世紀末と現代が交錯する~ファンタジック・歴史ミステリです。

パリで育った17歳の娘レオニーが、19世紀のヒロイン。
楽しみにしていた音楽会に行くと、ワーグナーを嫌う暴動に巻き込まれて、兄と命からがら脱出する羽目に。
兄のアナトールは恋人を亡くして以来、乱れた生活をしていましたが、まだ何か秘密がある様子…
親族の誘いで南仏に向かうのもこれ幸い?と二人で旅立つことに。

無邪気な娘レオニーを襲ったのは、意外な運命でした。
伯父の未亡人イゾルデの住む屋敷には、悪魔を呼び出せる霊廟があるという噂があったのです。
その地には、嵐は悪魔のせいとする言い伝えもありました。
彼らを狙う人物の魔手が迫り、何も知らなかったうら若いレオニーが重い責任を負うことに…

一方、現代では、ドビュッシーについて本を書いている研究者の女性メレディスがヒロイン。
早くに別れた実の母のことを知りたいと思っていると、タロットカードの占いに誘われます。
カードに描かれた絵はメレディスにも似ているのですが、誰かをモデルにした物らしく、非常にリアル。
偶然のことに驚きますが、偶然という物はないと言われるのでした。
その後、母の家系をたどろうと生まれた土地を訪ねると、泊まったホテルはかってのお屋敷…
好青年ハルと出会ったメレディスが、過去と現代の二つの事件の謎を追うことになります。やがて…?

パリの社交界や南仏の邸宅など、ちょっと豪華な旅行気分も味わえます。
「ダ・ヴィンチ・コード」がお気に入りなら、これもスリリングでいいかも。
第一作「ラビリンス」とも繋がっていきます。
この方が時代が近いので~読みやすいかも?

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「ずっとお城で暮らしてる」

シャーリィ・ジャクスン「ずっとお城で暮らしてる」創元推理文庫

スティーヴン・キングが激賞した作家の名編。
町から離れた由緒あるお屋敷で、かって起こった事件とは…?
料理上手な姉コンスタンスと、身体のきかない伯父と共に、ひっそり暮らしている娘キャリーメイの視点から、描かれていきます。

町の人には遠巻きにされ、親戚からも絶縁されたまま。
キャリーメイが週に一度買い出しに行っても、白い目を向けられます。
もう何年かたったらしい事件…決して家を出ない姉。
一体、何があったのか?

遠方の従兄が突然現れて、姉に取り入り、一家を助けてあげようと申し出ます。
どうやら金目当てに、ここでの生活を変えようともくろんだ所から、次第に事態は破綻へ向かいます。
じわじわ~と怖いです。
童女のような、思春期のような、キャリーメイの語り口がどことなく詩的でもありながら、なんとも怖いのです。

ホラーっぽい雰囲気ですが、ジャンル的にはミステリで良いのかな…
自らも心身の病気に苦しんだ作者が、この作品を最後に書き上げて好転したというのも、何だか意味深げ。
精神的には救われたらしいのに、その後、あまりたたずに亡くなってしまったとは。
もったいないけれど、これだけの作品を書き上げるまでの葛藤で、精根尽きたのでしょうか。

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「シェイクスピア・シークレット」

ジェニファー・リー・キャレル「シェイクスピア・シークレット」角川書店

シェイクスピアの失われた作品をめぐるノンストップの歴史ミステリで、かなりヒットしたようです。

ヒロインは、シェイクスピア劇の演出を担当しているケイト。
ハムレットを自分が演じて見せているときに、大学の恩師ロズの突然の訪問を受けます。
演出の仕事を始める際に、袂を分かった師でした。
大事な話があると言われて、しぶしぶ約束の場所へ行きますが、ロズは現れず、なんとグローヴ座が炎上している…?!

劇場内のケイトの部屋で、ロズの死体が発見されます。
ケイトにも迫る何者かの影。
ロズが発見したのは何だったのか?
シェイクスピアのシーンを模した連続殺人が起こり始め…

かねてからケイトを評価してくれていた名優サー・ヘンリーが何かと手助けしてくれます。
さらに、ロズの甥で調査会社社長の青年ベンと共に、アメリカまで探求の旅へ。
シャイクスピアとは、何者だったのか?
ストラットフォード巡りや、セルバンテスの英訳本とシェイクスピアの関わりや、アメリカの開拓時代に意外に人気があったこと(「荒野のホームズ」を思い出します)など、多彩な展開で飽きさせません。
びっちり蘊蓄も固めつつ、さくさくと快調に進むエンタメです。

ダ・ヴィンチ・コード的なヒットを狙った意図は明らかで、イエス・キリストの秘密というほどのスケールはないけど、ダ・ヴィンチとシェイクスピアなら十分、張り合う?
登場人物はダ・ヴィンチ・コードより多いので、犯人捜しにはもう少し楽しみが。
イギリスへ行ってみたくなります。

著者はハーヴァード大学で英米文学、オックスフォードでも学び、ハーヴァードで歴史・文学を教え、演出経験もあるという才媛。
いかにも頭が鋭そうな金髪美人。経験をフルに生かしているんですね。

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「リンカーン弁護士」

マイクル・コナリー「リンカーン弁護士」講談社文庫

本のご紹介です~。
しばらくやってなかったので、なかなか頭が働きませんでした。ちょうど下書きも尽きてしまっていて…

ミッキー・ハラーは、リンカーンを乗り回すやり手の刑事弁護士。
ちょっと久しぶりな気がするマイクル・コナリーの作品です。
刑事ボッシュ・シリーズではなく、弁護士が主人公。

二度の離婚経験のあるミッキー、仕事に追われて、幼い娘に会いに行く時間もなかなか取れません。
広大なカリフォルニア州に点在する40を越す裁判所や刑務所を次々に回っているのでした。そこそこ成功してはいるのですが、大仕事には最近恵まれていないという焦りも。
別れた妻とはいまだにしょっちゅう顔をつきあわせる関係。しかも、検事と弁護士という敵対する立場でというのが面白い。

前半、現実的な事件の描写が続くので、カリフォルニアの実態がかいま見えます。あまり盛り上がりはしませんが、勤めている大人にはわかりやすいかも。
コナリーを読み慣れている人には、これがどう動くかな~このままじゃ終わらないよな絶対、という気分に。
そこへ飛び込んできた事件は…

大金持ちの一人息子で会社社長の30男が、女性に暴行で訴えられたのです。が、無罪を主張。
扱う事件のほとんどは常習的な犯罪者で、無罪の人間は少ないという現実があり、これは珍しい無罪かも知れないと思うハラー…
弁護士にとっては、無罪はやりにくいんだそうです。…なるほどね?

人生を変える事件に巡り会った中年の弁護士の奮闘を描きます。
リーガルサスペンスを書きたいとかねて思っていたというコナリーが、野球場である弁護士に出会い、満を持して5年がかりで書いた作品。
弁護士のハラーは刑事のボッシュとは反対の立場で、淡々と仕事をこなしていく様子だった始まりですが、なぜか似たような場所に住んでいる。
危機に陥って、しだいにボッシュと似てくるような?
犯人との対決はいかに?!

コナリーは達者ですね~。
続く作品では、ボッシュと共演もあるとか。

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「アルケミスト」

パウロ・コエーリョ「アルケミスト」角川文庫

寓話的で美しい。
薄い本だけど、中身は深い。
手に取りやすいので、ぜひどうぞ。

少年の名はサンチャゴといった。という出だし。
羊を連れて旅をするのが仕事の少年が、ある日、エジプトのピラミッドのそばで宝を発見すると言われる夢を見ます。
女占い師に夢占いをして貰っても、占いを信じ切れません。
さらに「セイラムの王」と名乗るふしぎな老人に会い、羊の十分の一を連れてくれば、宝の見つけ方を教えると言われるのでした。

サンチャゴは、もとは農家の生まれで、親の勧めで神学校に通っていたのですが、もっと広い世界を知りたいというのがじつは一番の願い。
たっての願いを父に言って神学校を辞め、2年間、アンダルシアを羊を連れて移動していました。
ある村で商人の娘に出会い、美しい彼女を運命の相手と思うのですが…?

アフリカに渡ったものの、金を盗まれ…
クリスタルを売る商人の仕事を手伝うようになり、やがて…?
淡々とした書き方ですが、波乱の展開で飽きさせません。
老人の深遠な言葉や、少年のちょっとした観察が盛り込まれていて、ひとつひとつが見逃せない。
いい雰囲気なんですよ~。

著者は1947年、ブラジルのリオデジャネイロ生まれ。
世界中を旅した後に、音楽とジャーナリズムの世界に入ったとか。
1987年、初の著書「星の巡礼」で注目され、88年の本作は世界的にヒット。

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「修道女フィデルマの叡智」

ピーター・トレメイン「修道女フィデルマの叡智」東京創元社

まだ若く美しい女性フィデルマ、じつは修道女であるだけでなく、高位の資格を持つ弁護士。
しかも、王の妹という印籠のごとき強みまで持ってるのでした。
ここまで強みで固めなくてもという印象がちょっとありますが、功成り遂げた学者の作者には、この頭のいい女性が娘のように可愛くて仕方がないのかな?

とはいえ、フィデルマも最初の出会いはたいてい侮られます。つまり現代同様?
ですが、次第にその名が鳴り響いていくのですね。
アイルランドの7世紀という古い時代に、実際にも女性がかなり活躍していたというのは頼もしい。
作者はアイルランドに誇りを持ってるのでしょうねえ…

「聖餐式の毒杯」は、ローマを訪れた若きフィデルマが礼拝堂に行ったときに出くわした事件。
同席の若者が死んだために、謎を解く立場になります。

幼なじみの女性が容疑をかけられて、その救援に駆けつける話。
偶然立ち寄った雪の宿での幽霊騒動に巻き込まれる話。
アイルランドの大王(ハイキング)継承にまつわる事件に挑む話。
代々の王が眠る墓地の封印されたはずの廟所で発見された死体を巡る事件~とバラエティに富んでいます。
大王の剣とか、代々の墓所とか、存在も知らなかったことに光が当たり、雰囲気たっぷりにありありと描かれているのが嬉しい。
ミステリとして変化があって面白く、歴史物としても興趣深く読める、しっかりした短編集です。

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「ミレニアム2」

スティーグ・ラーソン「ミレニアム2 火と戯れる女」早川書房

スウェーデン初の世界的ベストセラー、その2作目です。
社会派の雑誌「ミレニアム」に降りかかった火の粉を、1作目で見事に払った編集者・ミカエル。
ミカエルに協力した女性調査員リスベットは、事件の後にミカエルが何度連絡しても答えようとせずに、行方をくらましてしまいます。

リスベットは、パンクスタイルでタトゥーも入れ、一見すると痩せた少女にしか見えないのですが、とっくに大人。
本当は非常に有能なのですが、著しく社交性を欠き(小学校では全く口をきかなかったとか)、自閉症気味ということで後見人のついている立場でした。
福祉大国の意外な盲点みたいな設定ですね。
リスベットをぼーっとした娘と誤解して性的虐待を試みた後見人の弁護士は、1作目で返り討ちに遭い、深く恨んで今回は復讐計画を練っているという。

一方、「ミレニアム」では、人身売買の組織を暴こうと調査を重ねてきたダグのレポートを取り上げることに。
だがダグが殺され、なぜか殺人事件の容疑者として、リスベットが全国に指名手配されてしまう。
正体を隠して密かな活動をしてきたリスベットがこんな目に遭うとは、予想外でした。

1作目でかいま見えた彼女の複雑な生い立ちが、その全貌を表してきます。
リスベットを助けようと探すミカエル。
この男、中年だけど~頭はいいし、人柄も悪くない、そしてやたらにモテモテ。見るからにエネルギッシュなんだとか。
恵まれている分、ちょっと鈍い所もありますが。

強くてりりしくて型破りで凶暴ですらある~男性的?性格なのはむしろ、リスベットの方、という配分になっています。
最初は疑惑の目を向けた警察も、ミカエルの主張を信用するようにはなるのですが…
リスベットに迫る追っ手と、迫真の対決へ。
スリリングで、非常に面白かったです。

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「トワイライト2」

ステファニー・メイヤー「トワイライト2」ヴィレッジブックス

雨と霧の街・フォークスで、吸血鬼のエドワードと恋に落ちた高校生のベラ。
けれども、ベラを愛するが故に、彼は去っていきました。
抜け殻になったベラを救ったのは、父の親友の孫に当たる少年・ジェイコブでした。
年下のジェイコブは最初は気の置けない弟のような存在ですが、ぐんぐん成長するにつれ、ベラにはっきり恋心を抱くようになり、ベラは困惑することに。

熊が街の近くに出没するという噂があり、ベラの父チャーリーも狩りに出るのですが…
ベラは、とても普通の動物とは言い難い異様な姿の巨大な獣を目撃します。
フォークスで一体、何が起こっているのか?

特殊な状況ですが、恋する心を切々と描きます。
恋の辛さを知っている人になら、共感できる面もあることでしょう。
まじめで一途なベラは、別れのつらさからなかなか立ち直れません。
エドワードの声を幻聴で聞いたことに、ささやかな期待を抱きます。
そんなベラを心配するジェイコブの思いも…
彼もある意味、運命の人なのですね。
[これからすぐ読む人は、ここまでにしておいて下さい~一部だけ、ネタばれ。わざと触れていない点もあるので、お楽しみに]

一方、ベラの身には、他の危険が迫っていました。
居留地界隈に出没していたのは女吸血鬼で、命を狙われていたのはベラだったのです。
ベラを案じて、予知能力のあるアリスが駆けつけてきますが…
一転、エドワードに危機が迫る~~?
イタリアに飛んで、吸血鬼の長老のような存在まで登場する大冒険へ。

ロマンチック・ホラーで、映画化もされているベストセラーの第二部。
盛り上がります。
ちょうど映画も宣伝してましたね。
4まで発行されていて、5で完結らしいです。
ご紹介は1だけにしようか迷いましたが…
海外の物が少ないので、アップしてみました。

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「ビカミング・ジェイン・オースティン」

ジョン・スペンス「ビカミング・ジェイン・オースティン」キネマ旬報社

大勢の兄弟の中で育った娘・ジェインが、作家ジェイン・オースティンになるまで。
読書家で理知的な人の多い、筆の立つ一家だったとは。
数世代分の家族の歴史をまとめた人が親戚にいて、それを読み込んでいることや、身近で起きた結婚事情、自分の恋愛体験など、すべてが盛り込まれているのですね。

子だくさんの中流階級は、親類の遺産を当てにして生きるしかない面があり、オースティンの両親はなかなか上手に立ち回って、子供達それぞれに有力な親戚を後ろ盾に持ってこようとします。
ジェインの母の兄には子がなかったので、後々までこれを期待するようになるのでした。
ところが、この伯父の妻はけちで有名、おかしくなっちゃうぐらいで「マンスフィールド・パーク」の伯母のモデルなんですね。

兄ヘンリーの結婚のいきさつ、ジェインが反対をほのめかすような内容の小説を初期に書いているという、新事実も掘り下げられています。
後にヘンリーの妻になったイライザは年上の都会の女性で、最初はフランス貴族と結婚していたが死別(なんとフランス革命で処刑!)美しく社交的でしたが、牧師を目指していたヘンリーには似合わないと思っていたらしい。
「マンスフィールド・パーク」で、ヒロインが愛する従兄が都会の女性に恋する様子や、「ノーサンガー・アベイ」で、ヒロインの兄がはなやかな女性に浮気されて別れるのを思わせます。

中流階級で独身の女性には、体面を保てるような職業がなく、遺産を貰うか、余裕のある兄弟の助力を当てにするしかなかったとは。
ただ一人、最後までこれといった遺産の割り当てがなかったジェインは、ついに小説で収入を得るようになる…そうなる運命だったのでしょうねえ。

オースティンの小説は19世紀に発表されたのですが、堅苦しいヴィクトリア時代になる前なので、むしろ18世紀的な価値観があるとか。
「高慢と偏見」には自信があったらしいことや、主役二人の性格はオースティン自身の恋人とは男女がむしろ逆転しているという指摘も面白い。
つまり実人生では結ばれなかった恋人は、知的で口が悪く茶目っ気があり、オースティン自身は人見知りのために寡黙で高慢に見えたとか。
中身はそうでもなかったんでしょうけどね。

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