« ご近所の花たち | トップページ | ハピサマ服を着てみるはつゆきmomoko »

「声」

アーナルデュル・インドリダソン「声」東京創元社

アイスランドのミステリ。
エーレンデュル捜査官のシリーズ3作目。

クリスマスを前に、にぎわうホテル。
地下室で、ホテルのドアマンが発見されました。
サンタクロースの扮装のまま‥

地味で孤独な中年男は、既に首になっているのですが、ずっと前から地下室に住み着いていて、動かなかったらしい。
被害者には、意外な過去があることを発見します。
幼いときにスターになっていたのが、唐突な悲劇により転落。生きづらい人生の軌跡‥

捜査官エーレンデュル自身、一人暮らしの中年男で、かなりの仕事中毒。
離婚後ずっと会っていなかった娘と息子が、道を踏み外していることに胸を痛めています。
とくに娘のエヴァ=リンドは、薬をやめようと努力しつつ、なかなか立ち直れない。
犯罪者を調べるときに、エヴァ=リンドも同じような不幸な状況にあったことに直面するエーレンデュル。

怒りをぶつけてくるエヴァ=リンドの態度も、父親との関わりが薄すぎた過去を思わせ、むしろようやくこんな会話も成り立つのだと希望を感じさせます。
エーレンデュル自身、重い過去を抱えているのでした。
それは離婚やその後の生き方にも影響があったことを、ようやく少し娘に語り始める‥
行方不明者が多いというアイスランドならではの状況も描かれていて、深い雪に世界のすべてが降り込められるような哀しみの途方もなさが、胸に染み入ります。

各賞を総なめにした充実の作品です。
スウェーデン推理作家アカデミー最優秀翻訳ミステリ賞、フランス推理小説大賞翻訳作品部門、813賞最優秀翻訳長編部門受賞。
『湿地』『緑衣の女』に続くシリーズ第3弾☆

|

« ご近所の花たち | トップページ | ハピサマ服を着てみるはつゆきmomoko »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/145558/63866016

この記事へのトラックバック一覧です: 「声」:

« ご近所の花たち | トップページ | ハピサマ服を着てみるはつゆきmomoko »