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「悪魔の羽根」

ミネット・ウォルターズ「悪魔の羽根」創元推理文庫

英国ミステリの女王ミネット・ウォルターズの作品。
誘拐された女性記者が立ち向かったのは‥?!

コニー・バーンズはロイター通信の記者。
アフリカのシエラレオネで連続殺人が起き、犯人は逮捕されたが、コニーは傭兵のマッケンジーに疑いを抱く。
後に、コニーは何者かに誘拐される。
当時、記者が誘拐される事件は相次いでいて、解放された後にマスコミに多くを語る女性もいた。
コニーはほとんど語らずに帰国し、不審に思われながら田舎の村に身を潜める。国際的な状況を背景に、実はアフリカ生まれの女性であったりと、これまでになく視野を広げた設定。
後半は小さな村の古い屋敷の中に、事件が収束していきます。
何一つ証拠がなく、おそらく脅迫もあったために、コニーは一切を語らず、マスコミや警察にさらにボロボロにされることを避けたのでしょう。

借りた屋敷は予想よりも村はずれにあり、ネットさえ繋ぎにくい。その無防備さは、ほとんどホラー。
隣の敷地で脳炎を営む女性ジェスが、何かと様子を見に来る。
中性的で年齢不詳な外見で、村人からはほとんど相手にされていない変わり者。
屋敷の持ち主の老婦人リリーの面倒も見ていたらしいのだが‥?

ジェスを煙ったく思いながら、だんだんと心を通わせるコニー。
リリーとその娘、ジェスとの間に何があったかも次第に明らかに。
コニーは事情を解明していく過程で、恐怖に打ちひしがれていた状態から回復していきます。
平凡な村で起きた誤解や無関心の恐ろしさ。

アフリカでの事件とはまったく異質な‥この対比がすごいです。
いや人間の起こす事件としては、通じるものがあるのかも。
新鮮な切り口ですが、ミネット・ウォルターズの過去の作品のモチーフも、長年の読者の目にはちらほら散見します。
抑えているようで実は熱っぽい。
最後はたたみかけるような怒涛の展開に。
コニーの両親が無力な老夫婦のように見えてそうでもないところが面白かったりします。

結末は明快にはしませんが、何が起きたかは十分わかります。
「悪魔の羽根」とは男性を意識せずに誘惑する女性のことをイスラム世界で表現した言葉。
不当な扱いや暴力への作者の憤りが感じられます。
この作者ならではの、うねるような勢いが魅力的で、面白かったです☆

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