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「誰でもない彼の秘密」

マイケラ・マッコール「誰でもない彼の秘密」東京創元社

詩人エミリー・ディキンソンをヒロインにしたミステリ。
頭の切れる快活な少女が、思いがけない出来事に立ち向かいます。
面白かった!

アマストの町の名家ディキンソン家の娘として、堅苦しくしつけられていたエミリーは、15歳。
特に母親は、家計に困ったことのある経験から何かあった時のためにと何でも自分で出来るように、娘たちに厳しく家事を仕込んでいました。
本好きで夢見がちな長女のエミリーはつい散歩に出かけてしまい、妹のヴィニーに洗濯を押し付けたりしていたのですが。

ある時、ハンサムな青年に出会って言葉を交わし、名乗るほどのものではないと言われて「ミスター・ノーバディ」と呼びます。
町を案内する約束をしていたところ、敷地内で死体が発見され‥
誰もが見落としていることに気づいたエミリーはたまらず、親達の制止を振り切って事件の謎を解こうとします。
みずみずしい感性と情熱、それを押さえつけるような動き、出会いのはかなさに、胸が切なく、痛くなります。

エミリー・ディキンソンは、19世紀半ばのアメリカで、生きている間は才能を認められることなく世を去った女性。
内気で、生涯独身。
妹と共に実家に住み、後半生はほとんど家の外に出ることなく引きこもっていたといわれています。
最初にこのことを知ったときにはずいぶん暗く重く感じたものでしたが、実際にはそれほどではなかったのかも?
子供の頃は明るかったというし、家事と園芸にいそしみ、近所の子どもにはお菓子をあげたりして暮らし、仲のよい兄と妹が近くにいて、いつも詩を書き付けていられたのですから。

エミリー・ディキンソンはとても愛されている詩人で、題材になった作品は色々ありますね。
どの作品にも、エミリー・ディキンソンの独特な清らかさ、繊細さ、可愛らしさが漂っているようで。
彼女の若い頃には何か鮮烈な経験があったのではないか。もしかしたら、ロマンスも‥?敬愛する詩人の若き日にこんなことがあったかもしれないと、想像をめぐらせた作家の気持ちがわかるような気がしました。

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