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「スペードの3」」

朝井リョウ「スペードの3」講談社

とある歌劇団がらみで、若い女性の生き方をめぐる連作集。
「スペードの3」「ハートの2」「ダイヤのエース」の3編。

「スペードの3」
香北つかさのファンクラブは、つかさが歌劇団を卒業してもなお、「ファミリア」として続いていました。
ファン達を仕切る美知代は、有名化粧品会社勤務と思われていますが、実際は関連会社の事務。ファンクラブのリーダーとしてここでしか感じられない優越感にしがみついていました。
子供の頃はそつのない学級委員でしたが、ある日かわいくて才能もあるクラスメートにあっさり、その座を追われた過去があったのです。
そして、ここでもまた‥
美知代の生き方が最初から破綻するだろうと思われて、意外性がないですね。
学級委員が大人になればただの人、って普通だし。
追い詰めるほうも、感じ悪く見えてしまう。
展開に少々難あり、ってことかな。

「ハートの2」
地味で目立たない女の子だった明元むつ美。
劇団のスター・香北つかさに憧れていました。
演劇部では裏方の美術を務めて、重宝がられています。
それなりのやり甲斐もあったのですが、がんばって、変身することに‥?

「ダイヤのエース」
男役のスターだったつかさは、退団後、だんだん仕事が減ってきています。
オーディションで演出家に「いつも優等生でリーダー的な存在だった恵まれた人間が、人の心を動かすことなんて出来るのか」と厳しい言葉を浴びせられ、答えられない。
(え、本気で‥?そんなこと言う人間がいるのか)
つかさの同期の沖乃原円(まどか)には、生い立ちにドラマチックな不幸があり、劇団受験の頃からテレビ番組に取り上げられていました。
そんな円が引退することになり‥
つかさも引退を妄想しますが‥

作家さんが恵まれた優等生であることに批判的な見方をされたことでもあるのかな?
いやそんな‥ めちゃ変てこな面白い人じゃないですか。
人間はみんな違いますからねえ!
さわやかな若さを嫉妬しつつ、ないものねだりをして危ぶむ、とか?
若くして有名になることもある意味、特異な不幸かも(苦笑)

前に読んだんですが、登録もし忘れていたよう。
登場人物が歌劇団のファンらしく感じられず、あまり好きになれなかったので、感想を書くのをためらったのです。
ずっと読んでいる作家さんなので、一応、書いてみました。
こういう作品もあったね、という若い作家さんの道筋をたどる気持ちで。

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