« 聞いている耳 | トップページ | 白白コーデを短パンで決めるmomoko »

「暗き炎」

C.J.サンソム「暗き炎」集英社文庫

イギリスで人気の歴史ミステリです。
「チューダー王朝弁護士シャードレイク」に続くシリーズ2作目。
ヘンリー8世の時代というのが、ミステリとしては初かな。
興味がある時代なので、とても嬉しいです☆

1540年、1作目の3年後。
弁護士のマシュー・シャードレイクは愛馬チャンセリーに乗って、今日も訴訟の打ち合わせのために市庁舎へ向かいます。
宰相クロムウェルに眼をかけられていましたが、3年前の事件から、やや距離をおいていました。

少女が12歳の従弟を殺した罪で捕まり、黙秘している事件を依頼されます。
当時は、なんと刑事事件には弁護士はつかないという‥刑事事件で逮捕されるほどの人間は犯人に決まっているから、らしい?!
しかも黙秘すれば、拷問と決まっていて、それで死ぬことになってしまう。
孤児になって引き取られた家で、何があったのか‥?
監獄へ訪問して真意を知ろうとしたり、友人の薬剤師ガイに治療を頼んだり。シャードレイクは弱者に寄りそいます。

なんとか審理を引き延ばそうとするシャードレイクに、クロムウェルから仕事の依頼が来ます。
引き延ばしをはかってくれる代わりに、「ギリシャ火薬」の謎を追えというのです。
古来の秘法が最近ひそかに作られたらしいのだが、それは本来、王の財産。敵国にわたれば大変なことになるかもしれない‥!

6回結婚したヘンリー8世ですが、このときは4人目のアン・オブ・クレーヴズが王妃。
ところが、ドイツから来たこの妃の実物を見た途端に気に入らず、結婚は事実上成立していないのです。
この結婚話を進めた宰相クロムウェルも、失脚寸前。
ノーフォーク公が勢力を伸ばし始めていた‥

当時の様子がいきいきと描写され、魅力的です。
今から見れば野蛮な時代でも、弁護士の仕事は判例を調べたり書類を作ったりと難しそう。
当時ならではの事情が盛り込まれて、命の危険にも晒される冒険譚。
美しい未亡人レディ・オナーや、クロムウェルの配下でシャードレイクを助けて働くことになるジャック・バラクも登場。
これがやたらとカッコイイ青年で、主人公の見た目を補うよう?
シャードレイクも顔は知的で悪くないらしいけど、亀背(脊柱後湾症)というハンデがあるため、やや屈折ぎみ。

身体の利くバラクを助手に、当時としては初老の弁護士が飛び回ることとなります。
薬剤師の友人ガイは元修道士。両親がキリスト教に改宗したという浅黒い肌のムーア人。
バラクも、先祖がキリスト教に改宗したという元はユダヤ系。世間からはみ出した面々が活躍するのが面白いですね。
6年前にヘンリー8世がローマ教皇と決別し、イングランド国教会が出来たが、まだ安定はしていない。改革派と守旧派が烈しくせめぎ合っていた時代です。
目の前の出来事と時代の流れが絡み合い、盛り上がります!

巻末に、史実に関する著者注と、皆川博子さんの解説があります。
「開かせていただき光栄です」で、18世紀のロンドンを舞台に監獄なども描いているので、実感のこもった解説になっています。
毎回CWA賞の候補になっているというこのシリーズ、次の作品も楽しみ☆

« 聞いている耳 | トップページ | 白白コーデを短パンで決めるmomoko »

ミステリ」カテゴリの記事

書籍・雑誌」カテゴリの記事

歴史もの」カテゴリの記事

海外小説」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/145558/61694437

この記事へのトラックバック一覧です: 「暗き炎」:

« 聞いている耳 | トップページ | 白白コーデを短パンで決めるmomoko »