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「雨の塔」

宮木あや子「雨の塔」集英社文庫

それぞれ事情がある4人の美しい少女。
人里離れた岬にある全寮制の女子校で出会い‥
端正な文章で淡々と描かれる耽美なムードのある世界です。

大変な資産家の娘だけが入ることの出来る特殊な学校。
学生証をかざすだけで、広大な敷地内にあるテーマパークのような店でブランド物の洋服も流行のスイーツも手に入れられるが、出て行くことは出来ず、新聞もテレビもない。
自由と情報はないのです。
卒業すれば、どこの大学の卒業証書も手に入れられるという。
提携している高校では「島流し」と称されていました。

財閥の愛人の娘・三島敦子は、小柄で長い黒髪。
愛人の娘の中では早くから三島翁に認知され、可愛がられてきましたが、学校はここになったのです。
都岡(つおか)百合子は母を知らない。母は名家の娘だったらしく、めったに会うこともない父は外国人。都岡はすらりとした西洋の人形のような外見です。
やはり資産家の娘だが、三島ほどではなく、都岡をそばにおきたがる三島に気に入られている限り続く関係でした。

ひと気の少ない海沿いの寮に、新入りが入ってきます。
男の子のように短い髪の矢咲(やざき)実。
クラスメートだった黒川財閥の娘さくらと心中未遂を起こし、周囲の視線から逃れるようにここに来ました。
少し早く来ていた小津ひまわりは、母が中国人のデザイナーで、リルファンという名も持つ。
少女の頃には人気モデルだったが、母は娘を一時的に利用しただけで本当の関心も愛情もなかったのです。

閉鎖された空間で、可愛いもの綺麗なものに囲まれつつ、物憂げに日々を過ごす娘達。
都岡はモデルだったリルファンのことを知っていました。
矢咲は、さくらに似ている三島に惹かれ始める‥
互いに少しずつ触れ合い、興味を抱き、人間関係が交差していきます。
そのはかなさ、ほんのひとときの熱さ、動きの取れない切なさ。
嫉妬も愛情も感じるけれど、どう生きたらいいかをまだ知らない脆さ。

大学1年にしては無抵抗で幼い気もするけれど‥
もともと孤独がちな育ち方もあり、こんな場所に入れられてしまったら気力も衰えるだろうか。
しかし、こんな非現実的な4年間を過ごして、家が使う駒としてであっても、役に立つ大人になれるのかな?
現実味はあまりないのですが、さらさら綴られる物語に酔いしれていたくなります。

恩田陸の作品や、萩尾望都の作品を思い出しますね。
もうあれは古典?
宮木あや子が書くと、こうなるのですね。
こうなる必然性はないのではと思う結末も、影響を受けた作品の雰囲気とモチーフの変形という観点からすると、わかるような気もするのです。

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