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「ホテルローヤル」

桜木紫乃「ホテルローヤル」集英社

第149回(2013年上半期)直木賞受賞作。
釧路のラブホテルに関連する話を、時系列をさかのぼっていく短編連作です。
暗めのトーンだけど、すっきりした印象が残る文章。

「シャッターチャンス」
恋人にヌードを撮りたいからと、廃業したホテルに連れて行かれた女性。
中学の時にはスポーツで人気者だった彼だが。
(いや、こりゃ別れたほうが‥)
廃墟と化したホテルという裏寂れた雰囲気。

「本日開店」
20も年上の住職と結婚した妻。
夫は人格者だが、不能だった‥
経営難のため、檀家の男性と関係するという思わぬことに‥

「えっち屋」
「ホテル・ローヤル」廃業の日。
ホテル経営者の娘は、在庫を引き取ってもらう後始末に来た男と‥

「バブルバス」
夫の父を狭い家に引き取った夫婦。
家ではプライバシーもない。
臨時収入で夫をホテルに誘う妻のバイタリティ。

[せんせぇ」
妻に最初から裏切られていたと知った、教師の夫。
さまよう彼に、女子生徒が両親とも夜逃げしたといって、ついてきます。

「星を見ていた」
ホテルで清掃の仕事をしている、60歳の女性。
働きづめの人生で、夫は身体を壊して働かなくなり家にいるが、夫婦仲は悪くないのです。
連絡をよこすことも滅多にない子供3人も、元気でやっていると思っていました。
次男が送金してくれたと思ったら‥
一途なおばさんのミコがかわいらしく、癖のある周りの人々もあたたかい。

「ギフト」
いい土地を見つけて、ここにラブホテルを建てようと思い立った田中大吉。
妻には大反対され、若いるり子という愛人と籍を入れる成り行きに。
ちょっと問題ありの男だが、それなりの夢や人のよさも感じられます。

全然違う人生を送るそれぞれの人物がそれらしく、ちょっとした描写で上手く書けている印象。
一部を切り取って深追いし過ぎないような、この読みやすさも受賞の一因かと。
この後、どうなったのかというと、かなりアンハッピーになりそうな話もあるわけですが。
年月をさかのぼっていくのが、暗くなり過ぎなくて、いいかも。
出来としては良いんだけど、どうしてもこれ読んで!ってほどじゃないかも。
「星を見ていた」などで、周りの人のあたたかさをふと感じるような展開は、いいですね

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コメント

話題になっていた頃読んだのですが、なんとなくすっきりしない印象……この辺がオトナの文学の味わいなのかもしれませんね。人生ってこういうふうにもやもや~っといろんなものが沈殿してるのかも。

ラブホテルの変遷を遡るって、ちょっとおもしろいアイディアですね。そう言えば、デパートにも駅にもいろいろな人生がかすっていることでしょうね。

marieさん、
これ、けっこう重い話が多いんですよね。
そこをはっきり書かないのが、重過ぎない効果にはなってるけど、何があったのかモヤモヤするかも。
沈殿してるっての言えてます。
確かに現実は~皆に結末がわかるわけじゃない、ってこともありますね。
時系列をさかのぼるのは確かにアイデアでした!
それと、ラブホテルっていうのが独特で、親の商売に感謝したことでしょうね^^

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