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「図書室の魔法 下」

ジョー・ウォルトン「図書室の魔法 下」創元SF文庫

本好きには楽しい魅惑の物語、後半。
ファンタジーですが、少女の日記の中にSFを読んだ感想がいっぱい。
読書クラブの仲間に出会った幸福に溢れています。

生まれ育ったウェールズから、イングランドの寄宿学校へ。
家でも学校でも孤立しがちな15歳の少女モリ。
同じようにはみ出し気味の級友を見つけ、だんだん友達付き合いも増やしていきます。
でも自然の中にフェアリーが見えるのは自分だけ、双子の妹をなくしたのも自分だけ、悪意を向けてくるとんでもない母親と対決しなければならないのも自分だけ。
誰にも話せないそういう経験から大人びている面もありますが、まだブラジャーの買い方もよくわからなかったり。
そういうところから、恋を知り、世界が広がって行きます。

事故で不自由になった片脚を引きずっていますが、体育の間、見学する代わりに図書室で思う存分、本を読めることになったのが救いでした。
町の図書館に集まる読書クラブに入れることになり、生まれて初めて、話の合う仲間が出来るのです。
この喜びは本好きならわかりますよねえ‥特にSF好きなら。
本を大量に読む子はそういないし、趣味が合うとなるとさらに難しい。
私は、SFはずっと前に読んだきりでよく覚えていないのが多いんですが、それでも、そうそう!とわかったり笑ったり、これ読んでないかも~読みたい!という気になったり。

読書クラブで知り合った2歳上のウィムはとてもハンサムで、本の趣味もかなり合いそう。
前のGFと悪い噂があったため、近づかないように忠告されたりもしたのですが。
魔法やフェアリーに興味のあるウィムを森に誘い、フェアリーを見られるかどうか試してみるのが初デートという。

この作品はすべてモリの手記という形で語られ、しかもすべてが事実ではないかもしれないですよ、と冒頭に書かれています。
普通にファンタジーと読んでさしつかえない内容ですが、どこかは少女の空想と解釈することも出来るのです。
「指輪物語」をこよなく愛する少女ですからね。
そのへんの解釈は、お好みで?

1979年に15歳、というのは作者自身の年齢と同じ。
作者はウェールズの町で育ち、15歳ではなく大学でイングランドに行っています。
読んだ本の感想や、15歳ならではのちぐはぐな感覚は、おそらく当時を思い出して書いた部分が多いのでしょう。
当時、空想していたことも含まれているのでは?
自分にある問題を別な形に置き換えたり、平凡な自分にはない不幸をドラマチックに想像したり。
いえ私は丸ごと、こんな子だったわけじゃありませんよ~という、照れ隠しなんじゃないかな~という気がしています。

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