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「あとかた」

千早茜「あとかた」新潮社

直木賞候補作ということで、初読みの作家さん。
6編入った短編集。
関連する人物で、作品ごとに視点が変わっていきます。
丁寧な文章で雰囲気があり、後半がよかったです。

「ほむら」
結婚を前に、心が揺れる女性。
5年も一緒に暮らしてきたのに、急に結婚を決めた相手に違和感を覚えてしまう。
ふと出会った年上の男性に、誘われるままに何度か会います。
どこか虚無的なような、すぐ別れるとお互いにわかっているはずの、でも付き合うにはそれだけの密度もある‥

「てがた」
上司の男性が飛び降り自殺をしたと聞く会社員の木田。
飄々とした余裕のある態度だった黒崎副部長は、何か重い病があって移動してきたのだという。
副部長は何を思っていたのかと、付き合っていたらしい女性に聞くのです。
家庭では幼い子供の世話も出来ず、妻の明美に任せ切りの木田でしたが‥

「ゆびわ」
幸せな結婚をして子供も二人、努力が実って勝ったのだと感じている妻。ささやかな不満は押さえ込んでいればいいのだと。
ふとしたことから、年下の愛人が出来ます。子供がいることまでは相手に言えないでいました‥

「やけど」
家を出て、高校の同級生だった松本の部屋に転がり込んでいるサキ。
ハーフで目立つ外見だが、背中にはひどい傷跡があります。
アイリッュパブでフィドルを演奏する千影に憧れ、泊まりに行ったりもしていたのですが‥

「うろこ」
居候のサキが落としていったコンタクトレンズ。
松本は、がり勉としか言いようのない外見の高校生でした。
藤森サキにはとかくの噂があり、見かけたときもボロボロ。それでも綺麗という。
互いにただ一時期の同居人と思っていたが、大学の友人に正直じゃないなと言われ‥

「ねいろ」
尊敬できる医師と付き合っている千影。
だが国際的に派遣される仕事をしている彼は、結婚を望まない。
半ばはそれでいいと理解しつつ、内心複雑な千影。
サキに貰った金魚に困って店に行き、店番の男の子に出会います。ゲイとわかった彼を水草くんと呼び、いつしか打ち明け話を‥

空しさや行き詰まり、ささやかでも解決できそうもない重ったるい感覚。
最初はややねっとりした暗さがありますが、少しずつほどけて来て、悪くない展開に。
作り話めいた部分も、総合すると説得力がありました。
予想よりも救いがあって、よかったです。

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