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「つむじ風食堂の夜」

吉田篤弘「つむじ風食堂の夜」ちくま文庫

なんか、いい感じなのです。

月舟町の十字路の角にある、「つむじ風食堂」。
メニューだけはフレンチ風に、コロッケではなく「クロケット」などと立派だが、こじんまりした店に常連が集う。
店主は名無しを気取ったのですが、誰ともなくそう呼び習わしていました。

雨を降らせる研究をしている学者先生が、この街のこれまた風変わりな建物に下宿して、店の常連になったのです。
科学的な人工降雨というよりも雨乞いに関する書籍を集めることで人生を終わってしまいそうな暮らし。
短文を書きまくっては、糊口をしのいでいます。

町の建物のひとつひとつや住人が個性的で、どこかファンタジック。
隣町の帽子屋さん、デ・ニーロみたいな古本屋の親方、夜中も灯りをつけて本を読んでいる果物屋の青年、ちょっと口が悪い舞台女優の奈々津さん。
奈々津さんと先生は同じ下宿の住人で、ささやかなやり取りから少しだけ近づいていきます。
雨降りの先生の父親は手品師で、舞台の幕から手だけを出して演技していました。

丁寧に描かれた静かな雰囲気に、ふんわり包み込まれるよう。
勝ち組とは決していえないが、負けという感じでもない穏やかな人々。
夢のある、ほのかな温かさが心地よく、一緒にちょっとしたおしゃべりを楽しみたくなります。
こんな町に住んでみたいような。
どこにもないんだろうと思うような。
どんな町もこんな目で見れば、小さな魅力や出会いがあるかもしれないと思うような。
そんな気分に。

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