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「はなとゆめ」

冲方丁の歴史もの3作目は「天地明察」「光圀伝」とはうってかわって、平安時代。
清少納言のゆるやかな一人語りで描かれます。

教養があっても生かす場がなかった清少納言が、中宮定子のもとに出仕することに。
仕える女性たちは皆、身分が高くて美しい若い娘ばかりの中で、引け目を感じていたのが、中宮定子の上手な引き立てにあって、次第に明るくなり、才覚を発揮していきます。
美しい定子は、まだ年若い一条天皇と相思相愛で、微笑ましい仲。
まだ17歳なのに気配りのできる心広い定子に魅了され、間近に暮らせる晴れがましさ。
定子に読んでもらえる嬉しさに、ちょっとした面白いことを書き留めることに。

それも定子の父の死、兄弟の不祥事、かわって権力を握った叔父・道長に追い落とされようとする年月へと、事態は暗転していくのですが‥
そんな暮らしの中でも、定子のいる場所は明るく笑いに満ちていました。
そのときの出来事、その頃の素晴らしさを書き残そうと決意する清少納言。
とっさの機転が利く性格は、枕草子にあるエピソードを生み出すのでした。

清少納言の性格はさまざまに描かれてきましたが、この作品では現代にも通じるような、かなり普通の感性を持った女性という印象。
偏ったイメージを持っていた読者は、前よりも好きになるのではないかしら。
この時代は興味あるので色々読んでいますから、知らなかったことは余りありませんが。

兄弟が流罪になったときに、定子が髪を下ろした事件の解釈が新しい。
あまりの衝撃と悲しみに、短絡的にやってしまったようでもあるのですが、この作品では、宮廷中を敵に回しても兄弟を守る盾になろうとした決意の表れとしています。
りりしい定子さまですね。
こんなに賢くて器の大きい定子が男性だったら、道長の天下にならなかったかも?
いやこの時代、天皇に嫁いで上手くいくことは、すごく大事な役割なのですけどね。

わかりやすい柔らかな文章で雅な雰囲気も出しつつ、整理した形で事件の経過を描いているので、最初に読む本にいいと思います。
何よりも清少納言の定子への一途な思いがみずみずしく、心に残りました。

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