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「よろこびの歌」

宮下奈都「よろこびの歌」実業之日本社文庫

「終わらない歌」を先に読んでしまい、その前作のこちらをやっと読めました。
この本の一章めにあたる短編の「よろこびの歌」は読んでいたのですが。

あの女の子達の高校時代の話というわけで。
とてもいい感じです!

御木元玲は受かると思い込んでいた音大付属高校に落ちて、新設の明泉女子高校に行くことになりました。
母親は有名なヴァイオリニストで、高校受験に特別な準備は要らないと言っていたため、どこか軽く見ていたのだろうと考えています。
母親へのコンプレックスと葛藤、つまらない毎日。
目的を見失い、高校とは別に声楽の勉強をする予定だったのが、そんな気にもなれなくなってしまう。
孤高の雰囲気を漂わせた玲を、クラスメートは遠巻きにしていました。

校内声楽コンクールで、御木元玲に指揮をやってもらおうという声が上がります。
玲の才能はちょっとした指導にも現れますが、専門的に過ぎるやり方についていけないという生徒も。
だが、マラソンに苦戦する玲を見ていた彼女らは、一人二人とあの歌を歌って声をそろえ、玲を応援します。
その声を聞いた玲は‥

どこか他と違う玲へ向ける級友のまなざし。
小柄で元気な原千夏は、うどん屋の娘。音楽をやりたかったがピアノを買ってはもらえない環境でした。
音楽室で玲に歌を教わるようになり、父の自慢のカレーうどんを玲に食べてもらいたいと思うのです。

中溝早希は、十六にして余生と感じています。
中学ではソフトボースのエースだったのに、肩を壊したからでした。

牧野史香は、人には見えないものが見え、それを伝えようか迷います。
思い切って伝えたとき‥?

里中佳子は、南君に初めて家に呼ばれた後、ふったのかふられたのか‥
いきなり地下の核シェルターを見せられて驚き、引いてしまったのです。
自分には取り得がないと感じている佳子ですが‥

周りを見ていなかった玲も、少しずつそれぞれの事情や気持ちに気づいていく。
教師の浅原は、もう一度、玲を送り出すために合唱しようと皆に声をかけるのでした。

それぞれの事情がわかりやすく、悩む様子もはっきり描かれ、切なさとさわやかさと共に、情景がすっと入ってきます。
極端な不幸というわけではないのだけれど、当人にとっては人生が変わるような大問題というのがよくわかります。
互いにすべてを知るわけではなくとも、刺激し合い、交差し、時に寄り添う。
こんな時期を過ごせたら、幸せですね。
また音楽を聴きながら~再読したい小説でした。

「終わらない歌」のご紹介はこの次に。
とくに児童書というわけではないんですが、中高校生に読んでもらいたい内容なので、児童書・ヤングアダルトもカテゴリーに入れておきました。

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