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「たまさか人形堂それから」

津原泰水「たまさか人形堂それから」文藝春秋

「たまさか人形堂物語」の続編。
文章がわかりやすく、読みやすい。
人形店を継いだ澪は30代の女性で、人形に囲まれて育ちはしましたが、専門的な腕はないのです。
個性的な天才人形師に囲まれて、今日もお人形とその持ち主のために、心を砕いています。

「香山リカと申します」
創作人形の展覧会で、作品を何者かに壊された五十埜(いその)という女性作家。
その修復を頼まれ、五十埜本人もたまさか人形堂に通って来ているところ。
そんなとき、若い母親から娘が壊したリカちゃん人形の修理を依頼されて。それぞれのリカちゃん経験を語ることに。
誰もが知るリカちゃん!
五十埜は、子供の頃に本当の友達と混同していたという~しかも束前まで‥?
束前は特殊人形師で販売会社の社長ですが、創作も手がけているのです。
創作人形が壊された意外な経緯とその結果も、納得がいきました。

「髪が伸びる」
バンドマンが祖母のために持ち込んだ、いちま(市松人形)さん。
撫でていると髪が伸びてきたと祖母が言い、家族は不審に思っているという。
何か、からくりがあるのではと探る師村ら。
根っからの職人の師村さんが渋くていいです。
澪は商店会の男性・神田八郎にデートに誘われ、ハイヒールを履いて出かけますが、束前と鉢合わせし‥?
気難しい束前と澪のやり取りも面白い。

「小田巻姫」
人形コレクターの家で火事が相次ぐ異変が。
軽井沢の著名なコレクターのもとに、文楽のかしらが高値で持ち込まれているという。
師村が本職を離れるきっかけになった問題の小田巻姫までも‥?
束前と富永と共に、売り手の元に乗り込む澪ら。

「ピロシキ日和」
若き天才・富永君が、スランプに陥っていました。
創作した蛸の縫いぐるみの八っつぁんの売れ行きが止まり、依頼されたマネキン人形の修復にも行き詰ってしまいます。
何かできることはないかと悩む澪に、ほかの面々は?
澪はピロシキを焼いて皆に食べてもらったり。
人形つくりを習おうとしたり。

「雲を超えて」
澪の作った木目込み人形の視点で、エピローグ的に。

1冊目よりもトーンが整っていて、快適に読めました。
事件性は1冊目のほうが濃く、人形のある意味怖いイメージを生かしてあったので、その辺は好みによるかも。

若くて怖いもの知らずな富永くんのまだまだこれからな混乱と成長。
渋い職人の控えめな気迫が光る師村さん。
気難しいのがだんだんツンデレになってきた束前氏。
澪と同世代の女性創作家というまた違う立場の五十埜さん。
キャラが立ってきたので、楽しみなシリーズになりました!

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