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「ノエル」

道尾秀介「ノエル a story of stories」新潮社

3つの中篇と、中にさしはさまれる童話で構成された連作集。
いじめられていた子供が話作りをすることに希望を見出し、作品の一つを読んだ人が‥
世代の異なる人の思わぬつながりに、心温まる展開に。

「光の箱」
同窓会に出るため故郷に戻った童話作家の圭介。
小学4年のときに、初めて童話らしきものを書いたことを思い出します。
いじめられていた圭介を気にかけてくれた弥生と友達になったこと。
思わぬ出来事で、弥生とは別れてしまったのですが‥?
途中に何度も危機があり、その迫力で、うわ、これは怖いミステリなのか?!と冷や汗。
暗い事件も入るけど、何とハッピーストーリーでした。

「暗がりの子供」
雛人形の壇の下に隠れていて、大人の会話を聞いてしまった莉子。
下に赤ちゃんが生まれることに動揺し、祖母が病気で入院していることでも悩みます。
架空の友達にそそのかされて、大変なことをしでかしそうになりますが。
図書館で借りた『空とぶ宝物』の結末まで読んだとき‥
知恵がつき始める年齢の危うさが、一気に逆転。
後日談には、ほっとします。

「物語の夕暮れ」
児童館の「おはなし会」も最後になろうとしていました。
与沢は妻の時子を失い、妻と始めた「おはなし会」を続けることも辛くなっていたのです。
かって住んでいた家の写真を雑誌で見つけ、そこに住む人に電話をしてみます。その住人とは?
妻が飼っていた「ときちゃん」というインコを空に放し、自分は‥
ここにいたる与沢の絶望と、とぎれとぎれにはさまれる与沢が作った童話の重い部分がリンクして、ずしっと印象に残ります。
結末は~エピローグで、光溢れるお話になるんですけどね!

3編の後に「四つのエピローグ」があり、その後の話とそれぞれの関連がわかります。
ほっとさせてくれる結末。
こんな話を書いてくれる作家さんになったんですねえ。
ノエルはクリスマスのことですが、もとはラテン語で「誕生」という意味だそう。この指摘にも作者の思いが表れているようです。

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