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「世界から猫が消えたなら」

川村元気「世界から猫が消えたなら」マガジンハウス

ああ、そうなのか。
最後のほうになって、ふと腑に落ちました。
人は誰でもいつかは死ぬもの。
その日が、急に来ることもありえる。
それは、特別なことではない‥

自分の寿命を一日延ばすために、引き換えに何かを消せるか?
素直なトーンで軽めに描かれ、じわじわと心に入ってくるストーリー。

世界から猫がいなくなる話なのかと(一瞬でも)、考えるのも嫌で~最初は敬遠していました。
逆に、猫を消すことだけは出来ないという話だったんですね。
それならわかるわ!(笑)

30歳の郵便配達員がある日、脳腫瘍で余命数ヶ月と宣告されてしまった。
1週間後に死ぬこともありえると。
戸惑う主人公の前に、悪魔が現れ、寿命を一日延ばす代わりに、何かを消せばいいという取引を持ちかけます。
何を消すかを選ぶのは悪魔で、些細なものというわけにはいかないのですが。

主人公とそっくりの外見で、ずっと軽いノリの悪魔という設定。
チョコレートを消そうとしたけど、食べてみたらおいしすぎて消せないというのが可笑しい。
電話、映画、時計‥
大事なものが消されてしまう前に、好きだったものを思い出したり。
消した後で、世界があまり変わらないのはやや物足りないですね。
そこが書きたい部分じゃないんだってことでしょうね。

この主人公、かなり孤独なんだわ。
恋人とは別れ、親友もいない。
母親をなくした後、父親とは口も聞いていないという状態。
もともと無口で仕事一途な父親とは、あまり気が合わなかったのですが。
というより、お母さんがよすぎたんだな、これは。
父親になにを言う気もしなかったのが、しだいに気持ちは変わってくるのでした。

電話が消える前にかけた最後の電話は、別れた彼女へでした。
喧嘩別れしたわけではないけれど、別れただけあって、いささか辛らつな彼女。
でもその彼女に、亡き母が手紙を託していたのです。
母も「死ぬまでにしたい10のこと」を書き始めたけれど、それはすべて「あなたのためにしたい10のこと」だったという。
そのことに気づいた母は「あなたの素敵なところ10」を書き残してくれていたのです。

5歳のときに、母が飼い始めた猫の名前は、レタス。
その後に来た今の猫キャベツと、二人暮らしで4年になるのです。
キャベツはすごく可愛い。
いうまでもなく普通に可愛い。
(猫が出てくることを売りにしているような本でも、いやわかってないんじゃないというケースもごく稀にあるけどそういうことはなく)
それだけでなく、突然しゃべることが出来るようになった時期にも‥

最初のうちは何が消えても本気で惜しいと思えなかった様子。
自分が死ぬと考えると、そういう気分にもなるでしょう。
けれど、本当は‥ 消していいものなど何もない。
今の自分にでも出来ることは?
父もキャベツを可愛がっていたことを思い出す主人公。

あちこちの書評を見てみると、否定的な意見も案外多いのですね。
死をテーマにしている割には書き込みが薄く、ぐいぐい引き込まれるような描写ではないから?感情移入できなかった人もいらっしゃるようです。
‥そういわれれば、そうか‥?
いや、この内容で描写が重過ぎるのもねえ‥

わかりやすく、やや淡々としていて、時々ふざけるけど、そこはかとなく哀しいトーンで統一されていて。
身近なものの大事さを実感する、それはささやかだけれど、大切なこと。
当たり前のようにたくさんあるものに埋もれて、一番大切なものを見失いそうになることも。
これはこれでいいと思います♪

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