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「くちびるに歌を」

中田永一「くちびるに歌を」小学館

中学の合唱部の話。
入っていけるかな?という大人のためらいを吹き飛ばす~ほどほどに可愛くてリアルで、さわやかで切ない、いい感じの作品世界でした。

長崎県五島列島の中学にある合唱部。
顧問の先生が産休をとり、その友人の柏木先生が赴任してきます。
神童だったと紹介されますが、自称はニートというややだるそうな性格。
すらりとした美人なので男子は興味津々、男子がいなかった合唱部は、いきなり混声合唱で合唱コンクールに出ることに。
練習を真面目にしない男子に、女子は不満を抱きます。
今年の課題曲はアンジェラ・アキの「手紙 拝啓十五の君へ」
柏木先生は部員に、十五年後の自分に手紙を書くことを提案します。提出はしなくていいからと。

部長のエリは、真面目なしっかり者で、ちょっと無理をしてしまう。
その友達の仲村ナズナは、母親が闘病中に父親が家を出て行ったことから男性不信になり、男子にも心を開けないでいました。
コトミは可愛くて優しくて人気がありますが、性格のとがった部分は隠している子。
衝突もしながら、少しずつ変わっていく中学生達。
成長期なんだなあ。
顧問の先生を素直に慕い、出産が無事にできるか心配したり、遠くから歌を聞かせるくだりも、いいですね。

桑原サトルは、発達障害の兄の面倒を見るべく運命づけられていて、兄とは仲がいいので不満というのでもないけれど、気力の出ない日々を送っていました。
友達もいなかったのですが、ふと接近する機会があったコトミにはひそかな好意を抱いています。
合唱部に入りたいと初めて親に主張し、何気なく友達も出来ていく。男子もなんだか面白い。
内気なサトルがかわいくて、応援したくなりましたね~。
男子の中では練習を真面目にしているほうだったので、男子の自主練を指導することに。
存在感がないため、所々で皆にえらい言われようしてるんだけど。

五島列島ののどかな空気と狭い人間関係、知っているようで知らない微妙な距離感をなんとなく想像しながら、心地よく読みました。
サトルの兄を合唱コンクールに連れてくるエピソードも無理のない流れで、子供達の歌声がしみわたるようなシーンに。
素直な気持ちがまぶしい。
そういうことが、幼い日の大事な思い出にもリンクしてくるとは‥
よかったねと遠くから思う気持ちになるのでした。

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