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「けさくしゃ」

畠中恵「けさくしゃ」新潮社

実在した戯作者・柳亭種彦を探偵役にしたお江戸人情もの。
若き日の無名時代の話で、当時の出版のやり方などもよくわかります。

柳亭種彦、本名は高屋彦四郎知久という二百俵取りの旗本。
れっきとした武士のお殿様なのだが、実際には何の役もなく暇をもてあまして狂歌などの趣味に生きていました。
かわいい妻の勝子を大事にしている愛妻家。
他人事と構えていた問題も、妻に迷惑が及びそうになると、腹を決めてかかります。

版元の山青屋と知り合い、戯作を書くように勧められます。
この山青屋は調子がいい妙な人物で、おだてたりすかしたりの合間に、仮にもトノサマの彦さんにかなり失敬なことを言うため、蹴飛ばされたり大人気ない取っ組み合いにまでなる。

6話収録。
最初に面白おかしく、登場人物やその時代の説明が入ります。
連載中だとわかりやすいのかな。
問題が起きたとき、種彦がその場で戯作の筋を思いついて語ると、それが推理になっていて、事件の真相に近かったという展開がユニーク。

1話では、山青屋の手代・長助が町名主の屋敷の女中・お仙にほれて、二人で団子屋の店を出すための金を用意しましたが‥?
2話では、上役に当たる旗本からの依頼で、遺された歌の意味を解くことになる種彦。
3話では人気作「御江戸出世物語」の作者は覆面頭巾と名乗り、正体不明。
種彦の妻・勝子がその作者だという噂が流れ、大迷惑。
4話では、夏乃東雲の筆名で「恋不思議江戸紫」という本を出した種彦に、重版(当時は盗作のこと)の訴えがおきます。

しだいに広がる人間関係や、当時ならではの問題、種彦の屋敷に仕える腕が立つ中間の善太の正体なども面白く生かされています。
創作に取り付かれていく人間の気持ちは、現代に通じるというか、作者の心境に通じているような。

種彦は武士だけど腕っ節はからきし弱い、のはシーンによっては面白いけど、病弱とまでいくと若だんなとだぶっちゃって、それは要らない気分に。
たまにプライドも顔を出すあたり、さすが武士?
読者のこちらも畠中さんの新境地は読みたいし、いつもの良さもちょっと欲しいというのが難しいところかな。
面白く読めましたけど~若き日の話なので、シリーズには出来ないのかな‥?

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コメント

週刊誌の連載で読みました!
ホンワカと後味のよいお話ばかりでした。
覆面頭巾の正体がねえ… 分かるような気も。

若旦那とキャラが似ているのは、感じました。
作者はこういう殿方がお好きなのかな?

marieさん、
連載で読まれたんですか!
そうですよね~ほんわかとしてるのが持ち味ですよね。
なかなか良い話でした☆
覆面頭巾‥そんな人がいたかもしれませんね!?
別な作品では、若旦那と設定は出来るだけ変えてスタートするみたいなんですが、だんだん似てくる?ような‥^^;
どうしても好みが出るんでしょうか♪

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