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「ツナグ」

辻村深月「」新潮文庫

死者と生者をつなぐ使者「ツナグ」
生きている人間が望み、死者が受け入れれば、一晩だけ会って普通に話すことができるという。
死んだ人と一生に一度、一人だけと会うことができるとしたら‥?

「アイドルの心得」
38歳で急死したタレント・サヲリに会いたいと願う女性・平瀬。
酔って過呼吸に陥っていたところを助けられ、以来ファンになっていました。
「世の中はみんなに平等に不公平なんだよ」と去って行ったアイドル。
一ファンに過ぎない自分に、会ってもらえるとは思わなかったのですが‥
死んだときには大騒動になったけれど、4ヶ月たっても会いたいといってくる人は他にいなかったと話す彼女。
生きる望みを失っていた平瀬に、サヲリは一言告げたかったのだ‥

地味すぎて華やかな家族からも疎まれ、気力を失っていた平瀬。
会社でも浮いていて、同僚に「いつも暗くて怖い本を読んでいる、そんなの読んでると呪われるんじゃない」と言われるのが可笑しい。どんなんや~?
ミステリかホラー??

「長男の心得」
店を継いだ長男・畠田靖彦は口が悪く、周りとちょっとした衝突を起こしてばかりいる中年男。
ツナグの存在を教えてくれた亡き母に、聞きたいことがあるとやってきたのだが‥
不器用な困ったおじさんの内心抱えていた後悔は‥?

「親友の心得」
事故死した親友・御園を死なせたのは自分だ、と苦しむ嵐美砂。
高校の演技部で、いつも自分を立ててくれていた優しい御園に裏切られたと感じ、嫉妬を抑えきれなくなって‥
女子高校生の微妙な張り合いが緊迫して、痛いほど。
すれ違いが起きた原因、結局ちゃんと話せなかったいきさつとは。

「待ち人の心得」
突然、失踪した恋人を待って、7年になる土屋。
知り合ったのも偶然で、何も知らないことに後から気づいたのです。
日向キラリと名乗った彼女ですが、偽名だったのだろうと思う。
騙されたんだよと言われますが‥
(土屋の抱えるものすごい肩凝りに思わず共感~パソコンが普及してから増えた症状だそう。結局、それなのかなあ‥いやこの時期に強くなったのはストレスってことですか)

「使者の心得」
ツナグという存在が、高校生の男の子の姿をしている‥
という最初は印象でしたが、家系に伝わる仕事で、それを託されたばかりだったとは。
思いがけない役割と、意外に個人的な関わりに戸惑う歩美。
そして‥

よくまとまっている印象でした。
暗いものを突きつけてくる部分もありますが、人の関わり方や優しいまなざしに励まされる部分もあり、最後はあたたかなものが胸に残ります。
所々にさりげなくあるいい言葉を、多くの人に読んでもらいたいなという気持ちになりました。

単行本化は2010年10月。
映画化のキャスティングも合っていたらしいですね。

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