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「月の輪草子」

瀬戸内寂聴「月の輪草子」講談社

瀬戸内寂聴が2012年、90歳になっての書き下ろし。
「枕草子」を書いた清少納言が90歳になっての回想記というもの。

うつらうつらしていたり、話が順不同になったり、付き合った男達の誰がどうだったかもう忘れたとか言いつつ、若い頃のことは時に鮮やかに思い出したり。
老いた心境は、二人が混ざり合って同化したかのようです。

定子の墓所に近い月の輪に庵を設けて住んでいる少納言。
最初のほうは紫式部に悪口を言われた怒りなど、ショッキングな導入部。
まああれは確かにひどいけど~紫式部がなぜそこまで言ったかは意地悪な性格なんだと思っているのも、単純?
(式部は清少納言と比較して悪く言われたことがあったのだろう、それも出仕して間もない頃に強烈に、と私は推測しますね)

蜻蛉日記の著者のことや、和泉式部、赤染右衛門など、当時の女流たちについてもいろいろ。
清少納言の父との会話なども、面白いですよ。

清少納言が宮廷に入ったのは、28歳のとき。
中宮・定子は18歳。
15歳で4つ年下の一条天皇の妃となり、すぐにむつまじくなりました。
美しくおおらかで気品高く、茶目っ気もある定子。
清少納言の、定子へのまっすぐな敬愛は、無邪気で可愛い~あとがきにも書かれています♪

だが、幸せなときは、清少納言が出仕して、わずか1年半ほど。
定子の父である関白・藤原道隆がなくなり、兄・伊周と弟・隆家が花山院と騒ぎを起こして流罪に。
定子は思いつめて髪を切らせ出家する。このあたりは迫真の描写です。が、天皇に連れ戻され、出産することに。
この上なくめでたいことのはずが、尼になった身で後宮にいるという間の悪いことになってしまったのです。僧に頼んで手続きしたことではないので正式なものではないのですが。

そして数年。
道長の娘・彰子が入内している宮中で、定子は帝の愛は一身に受けながら、25歳ではかなくなります。
紫式部が彰子のところに出仕したのはその後なので、直接のライバル関係ではないんですけどね。

清少納言は、16歳で橘則光と結婚。
子供を生んだ後は夫に興味がなくなりましたが、他の女が出来たと知るたびに怒り狂う。このあたり、史実としてははっきりしていないのでしょうが、率直な清少納言らしい感じ。
ついに別れることにしますが、未練を残す則光に「私だって他の男を見つけるわよ」と言い放つ。
かなり年上の夫と再婚するが、子供を死産した後に宮中へ出仕することになります。
則光も、何かと用事を見つけて少納言の元へ顔を出す微笑ましい仲。

定子のもとで、新参者と最初はかたくなっていましたが、定子に仕える女房達のなかでは年齢も教養も上のほうなので、皆を導いてやってくれと頼まれ、しだいにのびのびしていくのです。
「枕草子」は定子を楽しませるために書いたので、つらいことには一切触れていない。
その背景に何があったのか、わかりやすく書かれています。

独特な軽ろみといぶし銀のような輝きを放つ物語。
さすがに書き下ろしはもう出来ないと実感したのことですが、短いものでも書き続けてもらえたならとお待ちしてます。

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