フォト

おすすめ本

« アメリと一緒にポーズ | トップページ | アメリと一緒にポーズ・2 »

「闇のしもべ」

イモジェン・ロバートスン「英国式犯罪解剖学」創元推理文庫

18世紀末のイギリスを舞台にしたミステリ。
解剖学者と、活発な提督夫人がコンビを組んでの活躍。

題名がやや暗い印象なので、後回しにしていました。
内容は主役の理性的なコンビと、展開のテンポのよさで、思ったほど重くないです。

1780年、英国ウエスト・サセックス。
研究に没頭している解剖学者クラウザーは、隣家の提督夫人ハリエットの訪問を受けます。
敷地内に見知らぬ男の死体があるというのです。
ソーンリー伯の次男が、何か関わりがありそうなのですが‥

イギリスでも有数の名門のサセックス伯爵ソーンリー家が、王のように支配する地域。
ハリエットの場合、海外にいる夫は現役提督で尊敬される職業ではありますが、土地を買って数年の新参者で、ハリエットはもともと牧師の娘。
大貴族に太刀打ちできる立場ではないんですね。
治安判事らに警告を受けたりもすることに。

ハリエットは数年間、夫の艦に乗り組んでいたことがあり、看護婦のような経験もしていて、この時代には珍しい行動的な女性。
クラウザーは世間と没交渉だったのが、ハリエットに引っ張り出され、解剖学的な興味から事件に関わっていきます。

ソーンリー卿は病の床にあり、後妻は元女優、息子は幼い。
長男アレクサンダーは、出奔して行方知れず。
次男ヒューは、アメリカの独立戦争に従軍していたが、父が倒れた後に帰国していました。
ハリエットの妹は、かってヒューに好意を抱いていたらしいのですが‥

一方、ロンドンに住む楽譜店主のアレクサンダーは、幼い子二人と和やかに暮らしていましたが。
何者かに襲われ‥?!
こちらの成り行きと、サセックスの事情が交互に描かれます。
利発な女の子スーザンの目を通しての部分などは、ディケンズ的かも。
アメリカでの戦争なども出てきて、イギリス側から描いてあるのが珍しい。
その時代の空気が生き生きと描かれていて、引き込まれます。
隠棲していた解剖学者のクラウザーにも、過去がありました。

ちょうどロンドンでは暴動が起き、町中が大混乱。
実際に起きたゴードン暴動は10日間も続き、監獄が破壊されたために囚人が脱獄、死者も多く出たという。
クラウザーは恩師の家を、避難先に紹介します。
恩師とは、解剖学者で奇人ですが、科学的医学の祖として有名な実在の人物ジョン・ハンターでした。私設動物園に豹を飼っていたのも本当だそうです。
(皆川博子さんの「開かせていただき光栄です」のモデルですね!)

必死の逃避行、伯爵邸での対決など、動きの多いスリリングな展開。
ミステリ的には途中で予想のつくストーリーではあるけど、しっかり書き込まれていて、迫力がありますよ。
翻訳は訳語がやや硬めだけど、内容には合ってます。

作者は1973年生まれ。
ケンブリッジ大学でロシア語とドイツ語を学び、テレビや映画のディレクターに。
2007年、この話の元になる作品でコンテストに優勝。シリーズは歓迎され、快調に続いているそうです。
続きも翻訳してくださいよ~楽しみです!

« アメリと一緒にポーズ | トップページ | アメリと一緒にポーズ・2 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/145558/57900059

この記事へのトラックバック一覧です: 「闇のしもべ」:

« アメリと一緒にポーズ | トップページ | アメリと一緒にポーズ・2 »

2018年7月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

カテゴリー

無料ブログはココログ

最近のトラックバック