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「楽園のカンヴァス」

原田マハ「楽園のカンヴァス」新潮社

キュレーター(学芸員)だった経歴のある著者が、満を持して発表した作品。
ルソーの名画に魅せられた人々が交錯する、凝った構成。
絵画への愛が熱っぽく、引き込まれます。
美術館の内幕物としても面白く、美術史の知識は余裕をもって描かれているのが、さすが。

2000年、倉敷の大原美術館で、監視員をつとめる早川織絵は、思いがけない申し出を受けます。
大規模な展覧会のため、アンリ・ルソーの絵を借り受ける窓口として、MoMA側から指名されたのです。
17年前に帰国、シングルマザーとして実家でひっそりと子育てをしていた織絵でしたが‥

1983年、スイスのバーゼルに、二人の若きキュレーターが呼び出されました。
MoMAつまりニューヨーク近代美術館のティム・ブラウン、30歳。
もう一人は新進気鋭のオリエ・ハヤカワ、26歳でした。
大富豪で伝説的な絵画コレクター、コンラート・バイラーが秘蔵するルソーの知られざる作品「夢をみた」を見せられる二人。
MoMAの所蔵作「夢」とそっくりな題材で、同じタッチの大作なのです。
これが真作か贋作か1週間後に講評し、バイラーが気に入ったほうにこの絵の処理権を与えるという。
7日の間に与えられるヒントとして、毎日少しずつ古書を読まされることに。
その内容とは‥

ルソーの晩年、家族を失った孤独な暮らしでしたが、特異な作品に注目する人も出始めていました。
近所に住む美しい洗濯女ヤドヴィガに惹かれ、何かとささやかなプレゼントや作品をあげています。ヤドヴィガは妙な絵を描く変人を最初は相手にしませんが、しだいにその妙な絵にふしぎな魅力を感じ始めます。
若き日のピカソがルソーと関わりがあった様子も、いきいきと描かれていて、夢がありますね。

世界的なオークションハウスや国際刑事警察機構まで登場、怪しげな要素が絡み合いつつ、真贋の判定やいかに?
織絵がヒロインとするならやや説明不足で、何があったか推測は出来るけど、読者には不親切ですが~
真のヒロインはヤドヴィガというか、彼女が入り込んだ世界、彼女の描かれた絵なのでしょう。

芸術には人の運命を狂わせるほどの力がある。
けれども、狂わされた運命が悪いとは限らない。ということでしょうか。
第二の人生のスタートへ、希望の感じられる結末。

著者は1962年生まれ。中学高校を岡山県で暮らす。
森ビル在籍中に、ニューヨーク近代美術館にも勤務。
2002年フリーのキュレーター、カルチャーライターに。
2005年作家デビュー。
この作品は第25回山本周五郎賞受賞。
第147回2012年上期直木賞候補作。
第10回2013年本屋大賞第3位。

原田マハという作家さんをちょっと前までは読んだこともなかったんだなぁ‥と思うと不思議な気がします。
まだ読んでない作品で好評のがいくつもあるので、これからも楽しみ!

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コメント

アンリ・ルソーの絵は一度見たら忘れられません~
この小説は二重構造になっていて、あれあれ、こんな手があるのかなあ~と。
なんだかうまくいきすぎだけど、読後感がいいから許す~(笑)
ここに出てくる絵は、ネットで見られますよ。

marieさん、
確かに~一度見たら忘れられないですよね!
特に本物は美しい‥
二重構造、そうですね~かなり技巧的ですよね。
あらすじ書くのがめんどくさかったです^^;
全部書いちゃう気はしないし、でもあっさりした書き方だと雰囲気が伝わらない?

>なんだかうまくいきすぎだけど、読後感がいいから許す~(笑)
いえてます!
絵は見たくなりますよね~なるほど、ネットで見られるようになってるんですね。
さすが~^^

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