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「サースキの笛がきこえる」

エロイーズ・マッグロウ「サースキの笛がきこえる」偕成社

とりかえ子の少女の話。
自分は何者なのか、まわりとの違和感を覚えたことは誰しもあるでしょう。
胸に響く物語です。

とりかえ子とは、妖精が人間の赤ちゃんを気に入って連れ去り、妖精の子供をおいていくことがあるという、西洋とくにイギリスではよく知られた伝説。

サースキは変わった子供でした。
鍛冶屋をしている父親のヤノも、その妻のアンワラも青い目だったが、どちらにも似ていない。
ふわふわのまとまらない髪の毛、つりあがった大きな目は色が定まらないのです。
アンワラの母べスは薬草師で、一人暮らしをしていました。
最初にサースキをとりかえ子ではと思ったのはベスだったが、両親は激しく否定するのですが。

じつは、サースキは妖精と人間との間に生まれた子。
姿を消す能力がないとわかったため、人間の家においていかれたのです。
サースキは記憶をなくし、人間と思って育ちますが、しだいに違和感が目立ってきます。
村の子供達にいじめられるようになってしまいますが、何とかかわしていました。

バグパイプを見つけたサースキは、すぐに吹きこなすことが出来て、誰も知らない不思議な曲を次々に演奏してのけます。
人は魅了されつつも気味悪がり、父には取り上げられそうになるけれど、アンワラとベスがかばってくれました。
サースキは、覚えのない気持ちでいっぱいになります。
アンワラとベスに何かしてあげたい‥

サースキは荒野で、山羊を連れたタムという少年に出会います。
旅回りの鋳かけ屋の下働きをしているタムは、サースキに出来た初めての友達。
荒野は危険な場所だからと行くのを禁じられますが、どうしても我慢が出来ないサースキ。
荒野で妖精の姿を見ることが出来るようになったサースキは、しだいに自分のことがわかってくるのです。
アンワラのために、妖精の暮らす塚の奥へ入ろうとし‥

妖精にはなりきれないけれど、普通の人の気持ちにも判らない部分があるサースキ。
たとえば、憎しみという感情とか。
村人の憎しみがサースキを追い詰めようとするときの醜さは、人間の側にいたくないと思うほど。

アンワラはひたすら娘を守ろうとし、ベスは途中からよき理解者となり、ヤノも本心は娘を大事にしているのが救い。
別れは哀切なものがありますが、おだやかなエンディングといえるでしょう。
サースキの旅の行く末を祈りたくなります。

作者は1915年アメリカのテキサス州生まれ。1950年に作家活動を始め、三度、ニューベリー賞の次席に選出された。この本もその一つ。

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