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「影の王国」

ロイス・マクマスター・ビジョルド「影の王国」創元推理文庫

大人にも若い人にもオススメのファンタジーです。
魅力的な男女が苦難を乗り越える冒険を中心に、巧者ビジョルドの描ききる芳醇なイメージの世界が広がります。

「五神教シリーズ」3部作の3作目。
五神が並び立つ独特な信仰がある世界。
1作目は、捕虜となって疲弊した30代男性が主人公で、失地回復の物語。設定の奇想天外さは一番インパクトがありました。
2作目は、狂気として幽閉されていた王妃(1作目のお姫様の母)が解放されてから!の40歳の新たな生き方と意外なロマンスの話。

3作目はなんと、20代半ばの美男イングレイが主人公なのです。
とはいえ、苦虫を噛み潰したような怖い顔をしていることが多いらしい。
聖王が統べる森の国ウィールド。
古代ウィールドでは、動物の精霊を身内に宿す精霊戦士というものがあり、かってイングレイの父がその禁断の術に手を出してしまったのです。
イングレイは過酷な訓練を経て、今は有力者ヘトワル卿に仕える身。狼を宿した男と恐れられ、人々に遠巻きにされていました。

聖王の第三王子ボレソが遠い城で殺され、イングレイが派遣されます。
イジャダという美しい侍女が犯人ですが、イジャダには豹の精霊が‥!
ボレソが禁断の術に利用したための正当防衛でした。
しかし、王家のスキャンダルを封印し、イジャダをさっさと処刑しようとする動きが。
都まで護送するイングレイは‥?!

琥珀の瞳が輝くはつらつとしたイジャダとの出会いに、インパクトがあります。
風景描写が美しく、映像化してほしいよう。
思いっきり架空の絵空事なのに、ええ~次はどうなるの?!とはらはら。

イングレイの従弟ウェンセルは、今は王女ファラの婿となっています。
ウェンセルに再会したイングレイは、ウェンセルも精霊を宿していることに気づきます。
古代の秘法がなぜ今、3人もの人間に?
この出会いの意味は‥
イジャダと旧知の博学な女医ハラナや、その夫のひょうひょうとした神官。
イングレイの主で一癖ある実力者のヘトワル、イングレイを畏れつつ気配りする部下のゲスカ。
広場で出会った氷熊を連れた赤毛の巨漢ジョコル。
魅力的な登場人物が織り成す出来事が、続きます。
聖王の家系の問題とともに、古代ウィールドの悲劇が解き明かされていく‥

聖王がおさめるウィールドは、400年前に征服されて五神教を強制されました。
今は主権を回復しているのですが、五神教は根付いています。
五神とは、父神、母神、姫神、御子神、庶子神。
一神教であるキリスト教からするとファンタジックなのでしょうが、父と子と聖霊、聖母マリアなどを連想させますね。
五神は対立しているわけではなく家族のようなものらしいし。
古代の魔術は、ケルト系のイメージでしょうか。

父神は灰、母神は緑、姫神は青、御子神は赤、庶子神は白。
それぞれに神殿があり、象徴する色の神獣を葬儀では棺の前に連れて行き、どの神に死者の魂が受け入れられたかを確かめるという。どの神にも受け入れられないとなると、大変なことなのです。
異端の術を行った王子はどこにも受け入れられない。王子の魂を救う立場になったイングレイは‥

苦難を乗り越え、ロマンチックな大団円へ。
大人向きの格調高い文章ですが、物語の骨格はわかりやすい。
苦しみを抱えたヒーロー、気丈ではつらつとしたヒロインがビジョルドらしく、イメージ豊かで面白かったです。
前の2作とは国も時代も違い、これで3部作で終わり、というのがやや納得いかないけど。
そのぶん、この作品からでも読めます。

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