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「クローバー・レイン」

大崎梢「クローバー・レイン」ポプラ社

これは、とてもよかったです!
大崎さん、ちょっと変わった‥?
満を持して書かれた感のある、出版社で出したい本を出すために編集者が奮闘する話。

工藤彰彦は29歳。
老舗の出版社・千石社に入社7年、文芸部3年。まずは順調なキャリアを送ってきました。
ベテラン作家の家永の原稿を読ませてもらい、「シロツメクサの頃」というその小説に惚れ込みます。
ところが、既に盛りを過ぎたという評価のある家永はランクが低く、慎重に作品を選ぶ千石社では、会議にすらかけて貰えない。
工藤の熱意で、何とか編集長を動かすことに成功しますが‥

ライバル社の相馬出版の国木戸は、うちからなら出せるから譲れと持ちかけてきます。
千石社の営業担当で「王子」とあだ名される人気者・若王子の存在を知り、工藤は協力を求めるのですが‥?

一方、作品中に娘の書いた詩があるのが問題かもしれないと家永。
娘の冬実に掲載の承諾を得るため、工藤は会いに行きますが断られてしまいます。
その詩はやはり作品の核になっているのです。
承諾を得ようとするうちに、工藤は気まずくなっている父娘の仲も何とかしたくなるのでした。

中盤、すごくいいなーと思いつつ、何か弱点があるとすれば主人公のキャラがいまいちはっきりしないことぐらいかしらと考えていました。
優等生的なのか、それほどでもない普通の男が成長する話なのか?というあたりが。
実家に帰ったときに「打ち解けない息子」だとは、前半ではまったく気がつかない。(ちらりと伏線はあります)
どういう人間なのかは、後半で明らかになっていきます。
大好きだった「なおちゃん」の行方は。
仕事にかける思いや、この作品に入れ込んでいく経過も含めて、重層的に盛り上がっていくのです。

本好きにはこたえられない作品の素晴らしさと本への愛情、かかわる人の熱意や工夫、上手くいかない部分も含めた人間模様の親しみやすさ。
しみじみと満足な読み応えでした。

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