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「青い城」

ルーシー・モード・モンゴメリモンゴメリ「青い城」角川文庫

モンゴメリ後期の単発作品。
大人の女性向けのロマンスもので、「赤毛のアン」シリーズではありません。
楽しみにとっておいたんですが~ついに読みました。
面白かったです☆

29歳の独身女性に巻き起こる事件。
内気でぱっとしない外見のヴァランシー・スターリングは、愛称でドス(本人は大嫌いな呼び名)と呼ばれています。
父を早く亡くしたつつましい家庭で、高圧的な母親にきつく束縛されながら育ちました。
口うるさい親戚に囲まれ、一つ年下の従妹オリーブが美人で明るい人気者だったために、割を食ってもいました。
これから結婚が出来る望みを捨ててはいないけれど、これまで恋人が出来たこともないのは、苦にしています。

いつも怯えていて、逆らうことも出来ず、言いなりになっているヴァランシー。
ヴァランシーの楽しみは二つだけ。
図書館で借りてきた本を読むこと。
自分で夢に描いた空想の世界に入り込むこと。
小さい頃から目をつぶれば、青い城を思い浮かべることが出来たのです。
ありとあらゆる美しいものがあるお城で、夢のような恋人と暮らすお姫様という自分を思い描いていました。

最初のほうは嫌なことばかりが書き連ねられ、「モンゴメリ、本気?」と思わずその嫌な文章を読み返してしまったほど。
それほど、ばしっと書かれていて猶予がないのですが、それもどこか透徹したユーモアが。
切れる寸前の心境だったことをうかがわせ、「あと1年の命」と医師に宣告されたヴァランシーが思い切った行動に出る前哨となります。
親戚の集まる祝いの席で、これまで言えなかったことを言い放つヴァランシー。驚愕する一同に苦笑。読者は内心、快哉を叫ぶ?

子供の頃の級友シシイが、看病する人手も足りない状況で重い病の床に伏していると知り、住み込みの家政婦として働くことを決意、シシイに寄り添うのです。
スターリング家の社会的地位としては明らかに格下の仕事で、家族は勘当同然の態度に。
しだいに自分らしく生きるようになるヴァランシー。
シシイのことを気にかけてくれていたバーニイ・スネイスと親しくなり、あるとき「結婚してくれない?」と自分から申し込みます。自分はあと1年足らずの命だからと。
バーニイは森に一人で住み、身元もはっきりしないので、街での評判は悪い男でしたが、ヴァランシーは惹かれていたのです。
街から離れた森はとても美しく、これこそ青い城だと思うのでした。
ところが‥?

面白おかしく、はらはらさせる展開で、大逆転のハッピーエンド。
良く出来た喜劇なので、ミュージカルにしたら面白そうだなと思ったら、やはり舞台化されたそうです。
モンゴメリ自身が祖父母に厳しく育てられたのもありますが~牧師夫人として世間を見ていて、おとなしい女性が不当な目に遭うのを見てきたからじゃないのかな。
苦労の甲斐あってお似合いの恋人に出会い、個性を花開かせるヒロインに嬉しくなります☆

原著は1926年の発行。
ルーシー・モード・モンゴメリは、1874年プリンス・エドワード島生まれ。36歳で結婚後、牧師の夫の赴任先で暮らす。
この作品の美しい森のモデルは、トロントの北バラにあるマコウスカ湖周辺だそう。

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