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「十二単衣を着た悪魔」

内館牧子「十二単衣を着た悪魔」幻冬舎

源氏物語を弘徽殿女御の立場から描いた変り種。
面白おかしく、快調に勢いよく書かれています。
現代の大学生がタイムスリップしたという設定なので、わかりやすいかも。

就職試験に落ちまくりの伊藤雷(らい)は、バイトで源氏物語のイベントに行き、なぜか物語の中に入り込んでしまいました。
パンフレットを持っていたので、物語世界の未来がわかり、陰陽師・伊藤雷鳴として認められることに。
安部晴明にはまったことがあったので、多少の知識はあったのです。

弘徽殿女御(こきでんのにょうご)は、光源氏の父である桐壺帝の正妃。
次の天皇になる一宮を産んだ女性なのですね。
源氏物語では、いわば敵方。源氏の母の桐壺をいじめる側ですからね。
怖い中年のおばさんというイメージではないかな。
藤壺もいわば恋敵。
藤壺と光源氏の不倫を、この作品の中では、天皇に言いつけています。
さらに妹の朧月夜が光源氏に手をつけられるにいたっては、怒り心頭も無理ない立場。
しかし、朧月夜は息子の妃にと考えていたんですね。叔母と甥‥当時は可能だったわけですが。

女御がお気に入りの作者は、名誉挽回をしたかったよう。
ひいきの引き倒しになって、事実と違うというか~別の話になってるところもありますが。
女としてはほとんど愛されなかったけれど「政治にまで腕をふるった女性は史上初めて」と豪語するんですが、そんなことないでしょう。
有力者の娘で天皇の妻で天皇の母になった女性はいくらでもいますから。そのうち何人かは力をふるったでしょう‥え、この物語世界では持統天皇いないとか?(笑)

雷が出会った弘徽殿女御はまだ若く、幼い息子をひたすら大事にしています。
クールで気が強く、現代女性の先取りといった雰囲気。
迫力ありすぎて、女としては可愛くないだろうという点もあるのですが。本人は怖がられるほうがましと言い切ります。
26年もの間、弘徽殿女御との縁が続き、さらに須磨に流された光源氏の見張り役もつとめる雷。
その頃には結婚もし、その時代の家族の哀歓というものも実感を持って知っていました‥ 悲しみのさなか、光源氏の一言に慰められます。
このくだりは感動的です。

皇太子は決して出来が悪いわけではないのに、弟の光源氏があまりにも優れていて、誰の目にも光り輝かんばかりなため、割を食っているんですね。
いろいろ困ったところがありつつも、確かに魅力はあるという光源氏。

雷には水(すい)という弟がいて、見た目もよければ勉強もスポーツも出来る。親は分け隔てないようにと気をつかい、ちょっとしたことでも雷を褒め、水のことばかり褒めないようにしていたという。そんなふうに気をつかわれるのも苦しかったのですが‥
一宮に共感を覚える雷。
雷の弟への気持ちや、タイムスリップから戻っての兄弟の関係も面白いですね。

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