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「シフォン・リボン・シフォン」

近藤史恵「シフォン・リボン・シフォン」朝日新聞出版

田舎町の小さな商店街にできたランジェリー・ショップをめぐる話。
淡々と描かれる軽くはない現実に押しつぶされそうなとき、綺麗なランジェリーを選ぶことが、ふと次への一歩を促す。
4話の連作を収録。

第1話
川巻町の商店街は、半ばシャッター通りになりつつあります。
32歳の佐菜子は行きつけの書店がなくなることを知って、がっかり。
骨折して以来動けなくなった母の介護をする身で、仕事は近くのスーパーのパート。
仕事帰りに寄れる店は貴重だったのです。
新しく出来た店はいささか場違いなランジェリーショップで、その名も<シフォン・リボン・シフォン> 品がよく美しい展示に、佐菜子は目を奪われます。
胸が大きいことを少女の頃から恥ずかしく思い、合わないブラに胸を押し込めてきたのでしたが‥
両親の心無い言葉に傷つけられますが、それが以前から自分に刺さった棘だったことにやっと気づくのでした。
背筋を伸ばして、自分を大事にし始める佐菜子。

第2話
商店街で米穀店をやっている60前の均。
悪気はないが、いささか了見が狭い。
一人息子の篤紀が結婚しないことだけが気がかりでした。
ランジェリーショップに息子が出入りしていることに気づき、年上の女性である店主と関係があるのかと疑うのですが、実は‥
頑固親父が漏らした一言が救いに。
均が見る奇妙な夢が、息子の性向にどこかで気づいていたのかもと思わせます。

第3話
ランジェリーショップを経営する水橋かなえ。
東京でファッションビルに店を出して成功していたが、母の介護のために戻ってきたのです。
教員一家に育ち、最初に出版社に勤めただけでも驚かれましたが、店を出すときには「なぜ下着屋なの」と母には詰られた経緯がありました。
かなえは37で乳がんになり、がむしゃらに無理をし過ぎたと反省はしたのですが。今は、乳がんの女性のための品を用意することにも力を入れていました。
好きなことを仕事にする幸福と熱意があれば、親の干渉などはね返せる?

第4話
身綺麗で裕福そうな高齢の女性がかなえの店を訪れ、取り寄せの注文をしてはキャンセルしてしまうことが続きます。
商店街ではすでに知られた存在で、若い頃までは大金持ちだったらしく、いまだにその感覚が忘れられない様子。
その家の嫁が、実はかなえの同級生とわかったり。姑には認知症も出てきたらしい‥

キーワードは「自分を大切にすること」
分かり合えるとはいえないまでも、縁を切るほどのこともなく傍にいるのが家族。
きついことを言う親の側には、捨てられる恐怖心や寂しさがあったことにも気づき始める。
中年になり、老いた親の世話をする立場での実感がこもる結末に、じんわり。

綺麗なもの、可愛いものが大好きな私。
ランジェリーやハンカチやスカーフなどの引き出しはとてもカラフル☆開けて見るだけでも楽しいのです。
そして高校の頃までは合わない下着を着けていて、専門店に行ったら店員さんが張り切ったという経験も。

個人的に琴線に触れる要素が多いので、なんともいえず心惹かれましたが、苦みが強すぎて共感できるとまで言いがたい面も。
ここまでひどいこと言われてないだけ幸せってことかしら~それは家によって違うだろうけど。
親と同居して介護する立場なので、いや~~シビアな現実、掛け値なしの大変さは十分、わかるんだけど!
でも、こういう面ばかりではないのでは‥?という気持ちが一抹、残ります。

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