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「カフーを待ちわびて」

原田マハ「カフーを待ちわびて」宝島社文庫

2005年第1回日本ラブストーリー大賞受賞作。
原田マハさんのデビュー作です。

沖縄の与那喜島で、小さな店をやりながら、ひとり暮らす友寄明青(ともよせあきお)。
友寄商店は戦前から続くよろずやで、昼間は中休みをとるのんびりしたやり方なのです。
明青が子供の頃に、母は家を出ました。

祖母もなくなった7年前からは、裏の家に住むおばあが、夕食は作ってくれています。
おばあは、ユタという沖縄の巫女。ユタは今も地域の要で、代々続いている家系もあります。神託を受けた後、厳しい修行をしてユタになるんだそうです。
島人(シマンチュ)が折節に相談に来たり祈ったりしている特別な家。おばあは本物の神人(カミンチュ)だと明青は感じていました。
ことあるごとに、おばあはそれを予言するウシラシ(お知らせ)を告げてきたからです。

犬のカフーも一緒にいます。
黒いラブラドール犬。
カフーとは、良い知らせの果報という意味と、幸せという二つの意味があります。

友達と生まれてはじめて島を出て旅行した先で、飛泡神社の絵馬に「嫁に来ないか、幸せにします」と、名前も書いた明青。
崖が心中の名所になっているというところだったのですが。
なんと、「お嫁に行きます」という手紙が来ました。
まさかと驚きつつも、それとなく支度をして、待ちわびる明青。
あきらめた頃になって、すらりとした綺麗な娘・幸がやってきました。
笑顔で店を手伝い、すぐにカフーと仲良しになります。

町では開発計画が進んでいて、乗り気でない数軒も、次第に説得されていきます。
人口800万の島に、観光客を5万集めようというリゾート計画なのです。
かっての級友・俊一がその会社にいるのですが、いかにもやり手で調子がいい男。犬のカフーは俊一が来ると必ず吠え立てていました。
祈りを重ねてきた家を手放したがらないおばあでしたが。
明青は、幸と結婚するために家を売ろうとついに決心します。
ところが、幸の正体を友達から聞かされて‥?

まぶしい日差し、珊瑚の石垣、晴れ晴れとした水平線。
小学校の校庭にある巨大なデイゴに登った思い出。
犬のカフーと散歩し、近所の人とおしゃべりする毎日がなんだか羨ましい。
何気ない生活の中で、ゆったりと育まれるラブストーリー。
気立てが優しく不器用な二人の、控えめな気持ちが、切ない。
大ハッピーエンドではないけれど、たぶんそうなるだろうと‥
想像させる余韻を味わえます。

作者はキュレーター、ライター。
大手総合商社、ニューヨーク近代美術館勤務などを経て、2002年独立。

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