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「天使のゲーム」

カルロス・ルイス・サフォン「天使のゲーム」集英社文庫

ベストセラー「風の影」の続編。
「忘れられた本の墓場」という秘密の書庫があるという~本好きには嬉しい話がまた出てくる物語。
20世紀前半のバルセロナを舞台にした~きらきらしいゴシックオペラです。
主人公は違いますが、前作の親子も出てきます。

1917年、ダビッド・マルティンは17歳。
父は本も読めない男で、戦後妻に逃げられてしまい、不遇な暮らし。
息子が本を読むのを好まず、ダビッドは子供時代に「大いなる遺産」という本に魅せられますが、本屋に返しに行かされます。
その本屋が「センペーレと息子書店」

新聞社の守衛をしていた父が死に、ダビッドはそこの使い走りに。
「産業の声」という新聞の穴埋めに、小説を書くチャンスを与えられます。
大金持ちの御曹司で作家でもあるペドロ・ビダルが何かを目をかけてくれ、推薦してくれたのです。
ダビッドが書いたのは「バルセロナのミステリー」という妖婦と謎の男が活躍するシリーズでした。

後にペンネームであやしげな出版社と契約を結びます。酷使される仕事でしたが、夢中で大量の小説を書き続けます。
「塔の家」という何年も空き家だったいわくありげな館に憧れ、借り受けるまでになりました。
ビダルの運転手の娘で秘書となったクリスティーナに恋心を抱きますが、相手はいつも無表情でそっけない。
ところが28歳になった日、ビダルが本格的な文学作品を書こうとして何年も行き詰っていると、クリスティーナが心配して相談に来ます。
クリスティーナと会いたいがために、ビダルの没原稿に手を入れて清書するのを手伝うダビッド。

ダビッドには腫瘍が出来ていると宣告され、必死で心をこめた作品を書き上げますが黙殺されてしまいます。
コレッリという謎の人物が近づいてきて、1年かけて期待通りの作品を書き上げれば巨額の金を支払うという。

イサベッラという小説家志望の17歳の少女が訪れ、沈滞した館の空気を揺り動かします。
助手になったイサベッラとのやり取りが楽しい。
みずみずしい文章で陰影に富む内容。翻訳も素晴らしいです。

「忘れられた本の墓場」で見つけた「不滅の光」という本を持ち帰ったダビッド。
宗教書のように見えた本は、書き手が錯乱しているかのような内容。
しかも、ダビッドの住む「塔の家」の前の住人マルラスカが書いたものでした。
マルラスカには一体何が起きたのか?
そして、運命の女性クリスティーナは‥?

行く先々で不思議な出来事が起こり、つぎつぎに不慮の死が‥!
めくるめく感覚、惑いと恐怖のさなか、イサベッラとの友情が一筋さわやか。
思いがけない結末に、静謐な印象が残ります。
エピローグが1945年6月で、「風の影」の冒頭に繋がるのも楽しい。

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