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「窓の向こうのガーシュイン」

宮下奈都「窓の向こうのガーシュイン」集英社

宮下奈都さんはいいですね~。
この作品は、これまでと少し語り口が違います。
それがまたなんともいい感じです。

女の子の一人称で、淡々と語られます。
未熟児で生まれ、子供の頃から人の話す言葉が聞き取りにくい障害がある~19歳の佐古さん。
目立たないので、いじめられるまではいかなかったのですが、友達は出来ないまま。
父親はふいと三ヶ月いなくなったり、母親は部屋を片付けないという育ち。
10歳の頃に、よその家のほうが片付いていて居心地がいい事に気づき、自分から家事を手伝うようになりました。
団地の部屋に寝転がって、拭いた窓を見上げるのが好きだったのです。

就職先がすぐにつぶれてしまい、ホームヘルパーの資格を取ることに。
会話がスムーズにいかないので、すぐに担当替えを申し出られたりしますが。
横江さんの家はなぜか落ち着き、話す言葉も聞き取れたのです。
左半身が不自由な横江先生は、79歳で要介護度1、息子と二人暮らし。
品が良く優しい人柄で、ちょっと茶目っ気があるお爺さん。
認知症もおき始めているようです。

その息子は、額装が仕事で、家の正面が店になっています。
横江先生に「友達になってやってくれ」と頼まれ、戸惑う佐古さん。
思いがけなく、佐古さんはここでどうやら天職にめぐり合います。
午後は額装を手伝うことに。

横江先生の孫は、なんと中学の同級生の隼でした。
確か金髪だった?と思い出す佐古さん。
隼は、祖父の認知症にいたたまれない思いをすることもある様子。
隼も額装をやってみますが、これは向いてない。
そういうこともあるのですね。

「サマータイム」の曲は好きですが、歌詞の意味はぜんぜん知りませんでした。
確かに哀愁に満ちた曲調です。
素直に幸福な情景を思い描いていた佐古さんでしたが。
エラ・フィッツジェラルドが歌う内容は、そういうことだったんですね‥

佐古さんの控えめでユニークな感性。
寂しさもはっきり意識しないで生きてきた彼女が、少しずつ新しいことに目を開かれ、いつしか前に進んでいく‥
静かな雰囲気と、こまやかなユーモア。
心温まります。

著者は1967年福井県生まれ。2004年「静かな雨」でデビュー。
この本は2012年5月の作品。
植田真さんの挿画もすてきです。

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