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「冷たい校舎の時は止まる」

「冷たい校舎の時は止まる」講談社文庫

辻村深月のデビュー作。
メフィスト賞受賞。
高校が舞台で、ホラー的な構成の作品です。
悩み迷う様子は、いたってリアルに、まじめに描かれています。

ある雪の日、進学校に通う8人の男女は、ほかの生徒が来ないことに戸惑います。
こうこうと明かりがついている校舎には、ほかに誰もいない。
閉じ込められ、2ヶ月前の事件を思い出す‥
文化祭の最終日に、屋上から飛び降り自殺をした生徒がいたのです。
ところが、それが誰だったのか、どうしても思い出せない‥

それぞれに人には言えない悩みを抱えている高校生たち。
委員長でしっかりしている鷹野、特待生の清水、鷹野とは幼馴染の辻村深月、深月が苦しんだときに相談に乗った昭彦、髪を茶色に染めている梨香、梨香に片想いの充、梨香と幼馴染の景子、停学が終わったばかりの菅原。
クラス委員をつとめる仲間で、居心地のいい関係だったはずなのですが。
誰かが自殺したいほど苦しんでいたのを見過ごしたのか?
この状況は、その生徒が作り出した空間らしい‥

悩みがあるとみんなが知っているのは、このうちでも辻村深月くらい。
友達だと思っていた相手に距離をおかれ、理由を聞いたところ、再三ひどく傷つけられたのです。
食事を取ることが出来ない時期があり、カウンセラーの下へも通いました。
自分でも、最初は自分が自殺したのではと考え込むほどでしたが‥

上巻はペースが遅くて、正直、長い。
少しずつ、登場人物の境遇や気持ちがわかってはくるけれど、本筋に迫る決定打はないので。
文章は難しいわけではないから、一気に読めるし、一人また一人と姿を消すホラー効果は出ています。
構成が二重三重に凝っていて、それが話の運びに生かされています。
よく練り上げられていますね。
前半でやや謎に思った点は、すべてヒントに。
重い内容ですが、救いがあり、読後感がよくなるように考えてあるのがいいですね。

このヒロインの名前をペンネームと同じにするとは、痛々しいけれど。
真摯な気持ちでそうしたのだと思います。
ネタばれしないで、これ以上書くのは難しいかな‥
心に食い入るような作品でした。

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